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ラストは悲しかったけれど、納得、そして満足でした。これぞ戦争小説。しかし浅田先生の作品の主要人物はどうしてこうも愛おしいのか。
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この時期になると毎年戦争を扱った本を読みたくなる。行き先もわからないまま家族を残して戦地に行くなんて、見送る方も見送られる方も辛くて戦争はやっぱり起こすべきではないです。
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全3巻。
ポツダム宣言受諾後の日本。
千島列島北東端、占守島にロシアが攻め込んできた。
第二次世界大戦末期の日本を、
占守島の戦いを舞台に描いた物語。
これは。
哀しい。
ただただ、哀しい。
最初は読みずらいかもしれないが、
最後まで読んで欲しい。
清末期の中国を描いた著者の「蒼天の昴」シリーズにも見られる、
供述的な形式やファンタジックな要素に
好き嫌いが別れるかもしれないが、
最後まで読んで欲しい。
大戦末期、極秘任務のために3人の国民が招集された。
彼らは徴兵の基準からほぼ外れており、
自分が当事者として戦争に関わるとは考えていなかった。
それだけに、いままで夢想していた未来が理不尽に閉ざされ、
戦争に巻き込まれていく一般市民の戸惑い、哀しさ、絶望が
リアルに切実に胸に迫る。
さらに、妻、子供、母、教師、やくざ、敵国の兵士まで、
3人をとりまく様々な立場の様々な葛藤が描かれ、
国、兵士、文字の連なりでしかない歴史の裏側に、
当然あったはずのそれぞれの思いに改めて気付かされ、
ハッとする。
自分は正直、近年の近隣諸国による
(日本の立場から見ると)理不尽な要求に腹が立っている。
さらには、要求をのまない日本に対し
「ならば戦争だ」と声を上げるそれらの国に対抗するには、
日本の再武装もやむをえないとも考えている。
ただ、それ以前に、
戦争が遠い歴史になってしまったこの国で、
戦争は悪だと教えられて育った人間として、
簡単に「ならば戦争だ」と言ってしまう国々の思考に
疑問と哀しさを感じる。
物語の後半に、やくざものが子供たちに願ったセリフがある。
少し長いが、下に引用する。
「二度と戦争はするな。
戦争に勝ち敗けもあるもんか。
戦争する奴はみんなが敗けだ。
大人たちは勝手に戦争をしちまったが、
このざまをよく覚えておいて、
おめえらは二度と戦争をするんじゃねぇぞ。
一生戦争をしないで畳の上で死ねるなら、その時が勝ちだ。
その時に万歳しろ。分かったか」
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終戦間際の1945年の夏、沖縄も陥落し本土決戦のため大規模な動員計画が実施される。
来月で徴兵免除の45歳の片岡にも赤紙がくる。
翻訳家として英語が得意な片岡はある計画のため、ソ連との国境の島に派遣される。
彼に課せられた任務とは?
そして、この先どうなるのか?
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本当は「戦争もの」なんて、読みたくないし見たくないんです。
悲惨なのがわかりきってるから。
だけど私はそんな戦争をしちゃった日本に生まれたわけで。
終戦からもう68年。
今後も「戦争はダメだ」と後世の人に少しでも伝えられるように、
私だって勉強しなくちゃいけないと、自分を励まして読んでいます。
だけどすでに、大体のことはわかったかなあなんて思っていました。
原爆とか空襲とか沖縄とか南の島での戦いや、アッツ島玉砕とか。
まさか、北方領土でこんな戦いがあったなんて。
新聞の広告でこの本の存在を知り、慌てて買いに行きましたですよ。
作者は、浅田次郎さん。
これは、期待できそうです。
まだまだ上巻では、片岡直哉は占守島には辿り着きませんでしたが、
十分濃い内容。
序章からすでに、考えさせられます。
片岡と一緒に占守島に行くのは、菊池という医師と鬼熊軍曹ですが、
私はひょっとしたらこの鬼熊は、よく見るガチガチの軍国主義者で、
「降伏なんぞ許さん! 腹を切れ!」みたいな人かと思って
怯えて(?)いましたが、どうやらそんな人ではなさそうなので、
ちょっと安心して先を読めそうです。
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好みの作家の力作で、巷間でも終戦の話題に触れる機会が増えるこの時期、本作品に手が伸びたのも無理はないと思える。内容も期待に違わぬもので、マルチな視点で、多時代的に物語りは繰り広げられていく。上官であったり、過去の軍人経験者であったり、はたまた戦争とは無縁と思われた駆け出しの医者であったり、更には徴兵免除を目前に控えた翻訳者とその家族であったり。この上巻では、まずは登場人物の略歴紹介といったところ。それを軸に、あの戦争の真実が抉り出されていくのであろう。今後の展開に期待大。
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第二次世界大戦も終わりに近づき、いよいよ本土決戦、一億玉砕とまことしやかに語られていた時代のお話。
まだこの物語のプロローグに過ぎないとは思いながら、登場人物の紹介を読んでいました。
なんだか自分自身が持っていた大日本帝国の人達とは違う。
反戦の気持ちを持つ人がこんなにもいたのか?
それと赤紙で招集されるという話は知っていたが、招集する人達を選び出すプロセスには驚かされた!
選び出される人達の辛さだけでなく、選ぶ(自分の意思とは別に)側の人がこんなにも辛い思いをしていたなんて。
まだ物語の全体像が把握できていないが、鬼熊軍曹、菊池軍医、片岡のバックグラウンドが大きく異なる3人がようやく舞台となる占守島へ向かう。
話はそれますが、この作品の前に読んだのが『蝦夷地別件』。
千島列島のクナシリ、エトロフが舞台だった事を考えるとなんとなく、今読むべしとと思いを強めています。
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時は1945年。沖縄が陥落し、いよいよ本土決戦が想定されいる日本。
新たに召集された片岡他主人公達は、千島へ集められていく。
戦争が結末へ向かう中、召集された目的も分からないまま、
片岡達は運命にその身を委ねていく。
果たして彼らの行き着く先は?
全3巻に及ぶ大作の上巻である本書は、
登場人物達のバックボーンを中心に描かれている。
登場人物の多さ・方言・戦争用語のせいもあって、内容がやや難しい面も。
いよいよ、本編とも言える中巻以降に期待。
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8月は戦争関連の本と決めている。
(上巻)本土決戦が逼迫する中、突然の召集で戦地に赴く3名を軸に戦争の悲惨さと日本軍の愚かさを描く。
(中巻)敗戦と降伏がはっきりしているにもかかわらず、さらに不幸の深みに引きずりこまれる国民。
(下巻)無条件降伏後、突然攻め入ってきたソ連軍。もうひとつの戦争が始まり、多くの命が奪われる。知らなかった悲しい史実がここに。独特の浅田節は読ませるが、くどい。吉村昭が描けばもっと違う作品になってたろう。
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上巻は登場人物の背景を描いて終わりという感じ、でもおそらく壮大な物語の導入部、ゆっくりと重々しく動きだす。
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上巻。
戦争末期の日本を舞台に主人公たちのいままでの半生と、赤紙がくるに至った背景が描かれる。
浅田節全開の戦争文学で、胸をつかれるようなエピソードが多数。
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登場人物が多くて、それぞれ平行して進む構造なのですが
そこは浅田次郎。さすがの筆力でそれぞれのドラマを描き分けます。
敗戦目前の日本にあって、
新たな部隊を編成し赤紙を書く者、赤紙を届ける者、赤紙を受け取る者の
それぞれの立場の物語が描かれる。
特に編成側の話ってあまり聞いた事がなかったから興味深い。
1945年、終戦の年。
一億玉砕が叫ばれる中、編成の中には冷静な人間も当然いて。
この戦争は間もなく終わる。終戦を見据えた編成が必要だと、
前線に英語ができる人間を送り込もうというのは、
当時としては相当なアクロバット人事だったと思う。
それによって動くはずのなかった人材が動き、
物語が動き出す。
一路最果ての地、対馬列島最北端、占守島へ。
上巻は各キャラクターの土台語りのようですが
丁寧に描かれるので読み応えがあります。
このパートにこのボリュームを持って来れるのが
多作作家の手腕ということか。
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終戦末期の登場人物達の背景が描かれていく。赤紙一枚で否応無しに戦争に行かねばならない当時の状況の理不尽さや兵隊に憧れる少年達など目の前で見てるかのように感じられる。
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人の幸せは、極めて単純なものなのに、こんな理不尽な戦いの為に奪われた。戦争末期に招集された兵隊の、現実的な不幸に今まで気がついていなかった。
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戦争時代が舞台になっています。戦争が本格化してきて、年齢の高い夫を徴兵に取られてしまった奥さんが気の毒でした。今後、夫は生きて帰ってこられるのか・・・とても気になります。