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“でも――志乃ちゃんだぞ?
あの支倉志乃が弱々『ここに居て』なんて言うものか?
いやいや、あり得ない。だってどう考えたってキャラが違ってるでしょ。そういう弱さの見せ方ってのは、所謂ツンデレ系の専売特許ではないのか。でも志乃ちゃんはツンデレじゃない。だって基本的にツンがないし。いや、ツンデレの定義はよく分からないから、もしかしたら、時折向けてくる面倒くさかったり鬱陶しそうだったりする視線はツン要素なのかもしれない。強がりじゃなく本当に面倒くさかったり鬱陶しかったりするだけなのは間違いないけど、好意的に解釈する事は可能なのではないか。そう、つまり志乃ちゃんはツンデレキャラだったのである!な、なんだってー!!
……どう考えたって、「なんだそりゃ」とずっこける結論だった。
というか、ツンデレとかそういうのは激しくどうでも良い。
今はそこが問題じゃない。
志乃ちゃんに、寂しいという感情があった事に驚いたのだ。
先ほど感じた『子供』の部分。
もっと言えば『人間』の部分。
弱さ、だ。
それは僕らが当たり前に抱えているもの。
分かっている。分かっているつもりだ。
だけど……どうしても、そんな彼女の姿に僕は重ねてしまうのである。
四月、あの夜の姿を。”
物語は結末に向けて収束中。
トラと高柳さんが死ぬなんて、全くの予想外すぎて不意打ちだった。
“「それでも―――――」
涼風真白は笑う。
確信をもって微笑む。
「―――――既に悪夢は始まっている」
嵐は起こる。
誰にも避ける事は出来ない。
全ての人間が巻き込まれ、そして誰にも止める事は出来ない。
一人では、誰も。
一人では……。
「そうでしょう――綾瀬シン」”