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鬱になった夫が会社を辞め東京から実家のある田舎へ戻るという。北陸のとある県。チェーン店ばかりの全国どこにでもあるような風景、みんな何が楽しくてここで暮らしているのだろう「こんな町」でくすぶる「ちょっときれいなだけが取り柄」の二児の母である梨々子。
10年に渡り、幸せとは外にあるものだと探し続けていた彼女が、静かな田舎暮らし、時々波乱の中起こす内なる闘争を描く。
出かけようとしただけでどこに行くのか聞かれる田舎特有の閉塞感。舞台は恐らく福井。
私が18まで過ごしてここからだけは脱出したいと思った「こんな町」だ。
今ここにいる自分は本当の自分ではないはず。
現状に満足していない人はきっとこう思うであろう。
しかし幸せとは他人に見せるための「誰か」になることではなく、自分自身の中にあるもの。それは自分で気付くしかない。梨々子のように。
「こんな町」から逃げ出したはずの私はまだ答えを見つけられずにいる。自分の中にしかないはずの「幸せ」を。
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始めのうちは梨々子の気持ちに共感できず、イライラしてましたが・・・段々読み進めていくうちに、なんだかしみじみと共感してきた感じです。
特に前半は梨々子の思考がウジウジ・グダグダしてるので、結構
暗いのですが(^o^;)
まぁ段々と何かが変わっていく感じがはっきりと分かるので、その暗さも必要なんだなって最後には思います。
最後は中々良かったです。
夫との関係・子供との関係、10年の間に積み上げてきたものが
輝いて見えるようなラスト。
そしてその余韻に浸りながらの、辻村深月さんの解説がまためっちゃよかったです!
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21冊目の本は終始暗くてじめじめした話。結婚に纏わる未婚の人にも、既婚の人にもお勧めしない1冊でした。
最初は、田舎でモデルをしている妻の話かと思っていたのに、妻への形容詞が”田舎の紳士服店のモデルの”だった。どれも妻を指したものではなく、旦那さんを指したもの、そしてそれがこの1冊を確かに一番端的に表現していると思う。昔の家系図の”藤原俊成女”みたいな、ね。
どんな話かと言えば、うつになったご主人と、ちょっと普通とは違うかもしれない子どもを持ったっていう現代の要素は取り入れてるものの、そりゃ形容詞が旦那さんになるよねって感じの前時代の典型的な妻の話。
何が前時代的かと言えば、主婦が家に居ることに何の疑問も感じていないところ。今時こんな人いる!?私の周りが特に仕事好きが多いだけかもしれないけれど、梨々子は絶対バブル期齧った組だと思う。感覚がまるで違う!しかも常に自分のことしか考えてないナルシスト!
主人の都合で田舎に引っ越して鬱の人とくらした経験のある私でも共感はゼロ。確かに、田舎ではご近所さん達のほとんどが、ボランティアと自治会と習い事に日々を費やしているけれど、みんな定年退職した人達だよ。もちろん、健全な街づくりには不可欠なことだけど、若者ならもっと生産的なことしようよ・・・と思わずにはいられない。もっと言えば、働け、と。
同じような夫婦・家族の中の孤独感を書いているにもかかわらず、すごく共感できてハッピーエンドだと感じた”ベターハーフ”と違って、私にはハッピーエンドな話とは感じられなかった。
でも、もしかしたら最初に梨々子が八王子出身在住なのに東京出身を誇っているところにイラッとして感情移入できなかったってだけかも(笑)
八王子が田舎を田舎って思えるほどに東京なのだとしたら隣接県も大概東京だわ。
とは言え、梨々子のような母や、妻に絶対ならないかと言われたら、自信はない。ただ、少なくとも梨々子とは違って鬱になった旦那さんに経済力を求めるなんてことはしないわな。稼ぎが悪かろうがそんときゃそんとき!私が養ってやるわくらいの覚悟で結婚してるわ。
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全編とおして薄っぺらな印象。
夫がうつで、子供がやや発達遅延(あるいは内向的過ぎ?)とか、少なくない人が直面する一大事なのに、葛藤する様が感じ取れない。こういった身近な問題だからこそ、奥にある、普通の人が言葉にできないものを取り出してみせてほしいのに、そこが全くなかった。残念。
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「スコーレNo4」がよかったから読んだけれど、なんだか。現実的じゃない恋にいつまでもくよくよしてて、友人は東京で上辺だけの付き合いでしかなかった人、田舎暮らしとは言っても子供二人も抱えてたら家計も苦しいはずなのにボランティアなんて。子供ふたりの成長も一方的な主観だけだったこともあり、母としての描き方もあんなに恋焦がれて結婚したダンナさんとの関係、登場の少なさからして妻としても、中途半端な生き方なんじゃない。と感じてしまった。残念
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男の子の子供二人、イケメンの旦那の4人家族である程度うらやましがられるような都内の住宅街に暮らしていた主人公。ある日夫がうつ病で会社にはもういけないと言い出し、会社を辞めて一家四人で夫の郷里に引っ越すことになる。
俗にイメージするイナカよりは栄えている、今の言葉で言えばファスト風土化した何の特色もない地方都市なんだろう。
ほんの少しなまってて、海とか山とか畑が広がってはいない、本当に普通の地方都市。
ちょっと人よりキレイであることだけが取り柄の主人公と優秀な長男、成長が遅れてるのか3年生になってもろくな挨拶もできない変わり者の二男と夫との普通の生活が描かれている。
主人公の葛藤が痛いほどわかります。
「私」の濃度がどんどん薄くなっていく。年代ごとにぶつっと区切られた章立てだから成り行きの自然さは味わえなかったんだけど、きっと特筆すべきエピソードなんてないうちに「私」というのは薄まっていくものなのだろう。
それがとても「楽」で「誕生日が楽しみ」というぐらい年齢に感謝するまでの10年。
三人称で書かれているにも関わらずものすごく一人称的な見え方でしか描かない書き方は遠すぎたり近すぎたりして「私」からうまく見えない部分をうまく補強してくれたように思う。
自然に私が薄くなる、という過程は露悪的に言えば知らないうちに白髪が増えてるみたいなもんなんだろうなー。
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旦那のうつ病による退職と予期せぬ福井へのUターンに困惑する嫁の10年。
Uターンは考えていなかったが嫁に読まして様子をみてみたい。
著者が福井の人。ひとつ下。学校かぶってたりするのかな?
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主婦の心情が描かれていたが、読んでいると気分が重くなりました。
主婦の方は自信と重ね合わせられる部分もあるのかもしれませんが。
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うつ病の夫と息子二人と東京から夫の田舎へ引っ越した妻、梨々子の成長物語でした。中盤まで鬱々としたジメっとした雰囲気が続き、もう読みすすめられないと思っていたら、終盤やっと梨々子に寄り添えたように感じた。私もこれから十年、あのように思い悩み悶え苦しむのだろうかと思うと、今からとても苦しい。
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再読です。一度目は普通の主婦の姿がこっぱずかしい感じで読んでましたが(自分がそうだから)、再び読んでみるといろんな言葉がじんじん胸に染みてきて何度もうるっと涙してしまいました(電車の中でやばかった・・・^^;) 歩人くんのマイペースぶりに、うちも長男のグレーゾーンぷりに悩んだことがあったのですごく共感しました。
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都会から田舎へ引っ越した専業主婦の10年間。
うつ病の夫、ちょっと風変わりな子供達、妻として母として日々をこなすように過ごしていく。
自分は何なのか、自分探しをするような日々だったのだろうか。
最後、まだ続く途中だけど、着地点があるわけではなく、もがきながら生きていく、それが人生なんだと考えさせられる。
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紳士服店の話ではありません。
何者でもない、ある女性の30歳から10年間の物語です。
タイトルの意味は、読めばわかります。
主人公梨々子は、体裁をひどく気にしていて、それでいて、空っぽ。
そういった多くの人が隠そうとしている部分を、作中でリアルに描いています。
正直、梨々子が自分を受け入れた経緯がよくわからなかったのは、自分がまだその途中だからでしょうか。まだ、わたしは、何者でもないことを受け入れられません。他者との関係で自分というものができるとしても、まだ、他者に十分な敬意を払える度量もないのです。あと、何年かかるのでしょうか。
宮下作品は、こころの奥底にしまい込んだはずの感情に言葉を与えてくれます。だから、読む時は切なくなったり、かなしくなったり、気持ちをかみしめながらゆっくりと読むのです。
体験している全ての感情を、言葉にのせることは、非常に難しいことだと思うのですが、なぜか宮下作品は、ひとつの言葉に、どれくらいの喜びと幸せとあたたかさが、どれくらいの無念さや怒りや悲しみが、そこに込められているのか、ひしひしと伝わってきます。
2013.11.11
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都会から夫の田舎に引っ越すことになった女の人の、家族やご近所とのお話。家庭生活のこと、妻であり母でありひとりの女性でもある人の、葛藤だったり幸せだったりについて。
2013/11/19
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主人公の揺れ動く感じがリアル。「自分は何者か」
今の私自身に響いた作品でした。
ただ、自分探しの過程の中で、お決まりのように不倫ストーリーが
出てくるのは嫌です…
他のレビュアーさんによると、この作品はかなりじめじめ度が高い
ようなので、次はさっぱり系の宮下奈都さんを読んでみたいです。
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自分と重ね合わせて読んでいた。途中重ねすぎて、敗北感と未来絵図をみているようで読めなくなった…
梨々子は6年目頃から変わっていくんだけど、私はどうなんだろうか。