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“わたしが不安を感じている間も、瞳ちゃんの目に浮かぶ憎しみは、手のつけようがないほどふくれ上がってゆく。ひりひりした空気が瞳ちゃんを包み、顔が苦痛にゆがみ、呼吸も荒くなる。
「櫂を裏切った相手を、あたしは絶対許さないっ!」
吐き出された言葉は、熱い渦のようだった。
瞳ちゃんが、こんなに激しい目つきをするなんて!こんなに憎しみをあらわにするなんて!わたしの体も渦に投げ込まれ、真っ赤な炎に炙られたみたいだった。息もできないほどに、鼓動が高まる。
瞳ちゃんが憎んでいるのは、先生?
忍成先生が、『こころ』の先生みたいに、櫂くんを裏切ったから?だから許せないと言っているの?
胸が灼けた鏃で、ぐちゃぐちゃにかき回されているような不安に、頭の中までカアッと熱くなる。
まさか瞳ちゃんは、先生に復讐しようとしているの!?
瞳ちゃんが険しい顔で背中を向ける。もう一言もしゃべらない。
わたしの助けなど必要ないというように、鎖をぐいっと引っぱって、先に歩き出してしまった。
アウグストが瞳ちゃんを心配するように、くんくん鳴いていた。”
見習いちゃんの最終巻。
最後は少しうるっときたり。
今回もまたややこしいのに最後は奇麗にまとまって。
分厚いくせに読みやすい。
“「日坂菜乃さん、ぼくはきみが大好きです」
澄んだ声が、忘れられない言葉を告げる。
「きみの前向きさと明るさが好きです」
顔を上げ、まっすぐにわたしを見て、
「勇敢さと、困っている人を放っておけない優しさが、好きです」
やわらかに、微笑みながら。
「卒業前にちゃんと言っておきたかった。ぼくは、後輩の日坂菜乃さんが大好きです」
心葉先輩の声が、言葉が、微笑みが、胸にあたって甘くはじける。
好きですという言葉が、恋とは別の意味だということも、ちゃんとわかっていた。
心葉先輩の目は、どこまでも晴れやかで——それは、恋をしている人の目じゃなかったから。
けど、ありったけの信頼を込めて、見つめてくれた。
大好きですと言ってくれた。
そのことが嬉しくて、胸がはちきれそうになって、泣きそうになる。
心葉先輩が、優しい声で呼びかける。
「下りておいで。きみに渡したいものがあるんだ」”
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菜乃チャン、良かったね。
少しの寂しさとほっこりとした温かさにつつまれた素敵な終わり方だった。
卒業ってそんな感じだよね。
心葉くんの成長も強く感じられた。
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収録作品
“文学少女”見習いの、寂寞【せきばく】。
題材:こころ/夏目漱石
“文学少女”見習いの、卒業【そつぎょう】。
題材:桜の園/アントン・チェーホフ
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外伝最終巻の本作。結構をシリーズ一作目から借りて過去に罪を背負い、各々がその罪を悔いながら、それを真正面から受け入れて、二人で生きていく。そんな二人の姿に哀しみを包含した真実を見るのでしょう。
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見習いシリーズ最後の本だから凄い期待してて、面白かったけどだからこそ惜しいって感じ。
菜乃ちゃんが心葉くんに告白するシーンが凄く好き。
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「行っちゃ嫌だ、嫌だっ、でも、瞳ちゃんが幸せになるなら、――行っていいよ!」
そこまでに至る過程は勿論違うし別にこんな悲しい物語はなかったけど、菜乃と同じ寂しさを味わった私はここで涙腺崩壊。
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かっぱえびせんのように止まらなくなり、見習い版3冊読んでしまいました。
心葉先輩の最後のプレゼントが素敵でした☆
大好きなまま去った先輩との思い出は、キラキラした宝物ですね~
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この本を読む前、前の刊の終わりから一体どう物語を繋げてくるのか予想できなかったです。
だからなのか、読み終えたときは、とっても清々しい気持ちになりました。
それから、瞳ちゃんと心葉を邪魔するななせと菜乃がとてもかわいかったです^^
思わずくすりと笑ってしまいました。
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三人とも、それぞれのことを大切に思い合っていたのに、裏切られた“私”の最後がとても悲しかった。 私は“私”にも幸せになって欲しかった。三人で笑いあえる日々を実現して欲しかった。 深々とした寂しさを残した“寂寞” “卒業”では、菜乃と心葉の別れのシーンがとても美しかったです。 ななせと夕歌のメールのやりとりも、短いけれど温かなものでした。
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文学少女見習いシリーズ最終巻。
最終巻にふさわしい物語だったと思います。菜乃可愛いよ菜乃。
最後にはみんな幸せに慣れてよかったと思いました。
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そういえば、文学少女シリーズまだ最後まで読んでないなーと思って図書館で借りた。
久々に読んだ。
文学少女は遠子先輩風に言うと、「夏みかんのゼリー」ってイメージ。
見た目は可愛くて一見キラキラして見えるけど、ちょっと苦味が残る感じ。
でもやっぱり最後は後味スッキリ。みたいな。
そんなイメージ。
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夏目漱石の「こころ」編よりもチェーホフの「桜の園」編がグァッ!っときた
自分の卒業式ってどんなだったかなーって思い返してみると
高校の卒業式当日が思い出せない、、、
小学校は自分が引っ越しするせいでみんなと同じ中学に行けないことが悲しくて仕方なかった
中学は答辞読んでサッカーやって、校舎に向かって頭下げて帰った
高校は、、、文化祭実行委員のハッピ3枚重ねで着てたことしか覚えてないわ
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櫂の“雪を降らせたい”っていう台詞が、結衣(と遠子)の“マナのようなお話が書きたい”っていう台詞と重なった。
菜乃とななせのやりとりが良かった。
菜乃は遠子に似てるけど、ななせにも似てるんだよなぁ。
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見習い③でラスト。
[寂寞]
題作は漱石のこころ。
前巻ラストで菜乃の親友の瞳ちゃんがコノハとキスしてる(ような)場面から。
ショックを受けて、即座にコミカルにツッコミを入れるのはさすがです。
別れは寂しいけれど、瞳ちゃんがこの決断をしたのは、好きな人に邪険にされても想い続けてそばに居た親友を見続けてきたからだと思う。
まあ現実問題として、即決即断としても翌日に犬を連れて海外に行くなんて出来るのかね。
[ある日のななせ]
琴吹さんが自分の気持ちにケリを付けつつ、オカ(夕歌)とやり取りする話。
[卒業。]
題作はチェーホフの桜の園。
恋の結末は予想通りではあったけども、スッキリと失恋ができた感じで良かった。
彼女の文学少女への道は続くのでしょう。
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日坂菜乃シリーズになってから、ふわふわとしたストーリーばかりでしたが、久々にどろどろのお話でしたね。それと心葉が「青空に似ている」を客観的に扱えるようになり、作家として本格的に歩み出した姿が印象的でした。