紙の本
常軌を逸するって恐ろしい――ストーカーの執念。
2010/10/17 15:11
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕事上の知人に勧められ、出会い系サイトに登録した本間は、リカという女性と知り合う。家庭に満足はしているけれど、別の女とも遊びたい――そんな軽い気持ちだった。しかしリカは「普通」ではなかった。ひっきりなしに掛けられる電話。要件いっぱいまで残される留守番メッセージ。これはヤバイと気付いた本間は、すんでのところでリカとの会見を回避するが、リカは本間の素性を調べ、本間の会社に、自宅付近にと現れる。軽い気持ちではじめた出会い系。その代償は大きすぎた…。
常軌を逸したストーカーによる心理的かつ肉体的圧迫。本人(本間)に落ち度があるとはいえ、これは恐ろしすぎる。段々エスカレートするリカの行動に本間は少しずつ参っていく。これは緩やかな処刑? いや、もっとひどいかもしれない。
展開としては寸分違わず先が読める。しかし、それでもじわりじわりと迫ってくるリカの迫力。リカは本間を追い込んで追いこんで追いこみまくる。
何かを突き詰めるとどのジャンルの作品も最終的にはコメディになることが多いのだけれど――例えば人が次から次へとひたすら死んでいくミステリなど――、本書は違う。リカは手加減なんてしない。本間を追いかけ追い込み追い詰めていく。それでもその過程がが空恐ろしく、最後の最後までぞくぞく感が付きまとう。
文庫化に際して単行本未発表のエピローグが収められているのだけれど、こういう「付加物」は大概の場合、蛇足になることが多い。本書においても読む人によっては不要に感じることもあるかもしれない。しかしわたしにはそうは映らなかった。
ほんの数ページのエピローグ。たった数ページなのに、リカはとてつもなく残酷なことをしでかす。本編(エピローグを除いた部分)は読者の想像力に委ねるラストだったのだけれど、著者が用意したこのエピローグに勝る残酷な結末を想像した人間はは誰一人としていないのではないだろうか。
幽霊も恐ろしいけれど、生きている人間も恐ろしい。みなさん、軽い気持ちで出会い系を利用するのは止めましょうね。いつどこでリカのような怪物に出会うかわかりませんよ…。
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ヒッー!
2019/03/23 20:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
リカに吐き気がする。リカ、不気味。リカ、気持ち悪い。リカ、頭がいかれてる。リカ、異常。リカ、怖い。リカ、怖いです。怖いです。怖いです。怖いです。怖いです。怖い……ええ、続きがあるの~!勘弁してくれよ~!リカ、消えろ~!リカ、夢にでてきそうだ。ヒーッ、怖いよ~!
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後味はかなり悪いです
2015/09/30 01:04
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、これはリカの物語です。リカは本作の主人公を執拗に付け回すストーカーの女性です。細かい容姿や行動はぜひ本作を読んで確認していただくとして、この作品の魅力はやはりエピローグの有無だと思います。
エピローグは文庫化に伴い追加されたもののようですが、正直このエピローグが後味の悪さをかなり引き上げています。
「黒い家」が好きな方はぜひ。同系列の作品です。逆にこの作品を気に入った方は「黒い家」を読むことをおすすめします。
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怖いです。同時に怖い=可笑しいが実感できます。出会い系にハマル男達にとっては笑い事ではないでしょう。
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運が悪いというか、ま、無知もあるし、なんというかなあ。な、お話しですよ。
出会い系プラス電波系っとな、怖い怖い怖い怖い。
終わり方とか後味悪いし、この方『悪魔のいけにえ』とかお好きなのではないかしら?
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第二回ホラー大賞大賞受賞作。単行本でも読んでいたが、エピローグが追加されており、単行本でのラストの余韻(読者に最後を委ねる)を残していたが、その先をちらっと書いていた。これがまたよかったな。”リカ”がどこまでも”リカ”であるつづけることがはっきりとしたしね。
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耳にした前評判ではすごく高評価で、しかも歴代の受賞作が私の好みである賞を受賞しているとあっては、とりあえず期待して読みますよね。が、そうでもなかったです。リカの存在感とか不気味さは確かにあるけれど、人間の奥底にある窺い知れない恐怖については貴志祐介の『黒い家』に及ばないのではないでしょうか。でも、期待はずれというだけで、面白くなかったワケではないです。期待しすぎました。
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女ストーカーの話。こんな人間がもしいたら...と考えると怖すぎます。男性が読んだら眠れなくなるかも。
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読めば読むほどおもしろいお話。狂人リカの恐ろしさが伝わってきます。リカを人間とも怪物とも判別できないような曖昧さは不満。
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第2回ホラーサスペンス受賞作品だという。読んだのは文庫本の方。受賞作に大幅加筆訂正された単行本に加え、さらに文庫になるにあたって完全版エピローグの付いたものらしい。怖い。ただただ怖い。リカの狂気がひたひたと近づいてくる恐怖となって、ただただ怖かった。読み終えた後、寒くもないのに背筋が凍るような震えが続く感覚。怖かった。一気に読んでしまった。五十嵐さんの本は他に「2005年のロケットボーイズ」が手元にある。ホラーとはジャンルの違う理系青春小説だそうで、こちらも楽しみ。また更に時代小説である「安政五年の大脱走」も読んでみたいと思った。
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出会いサイトでほんの出来心ではじめたメール交換の相手が、徐々に常軌を逸する言動、行動にでてくる。読んでいて、大昔に流行った「口裂けおんな」を思い出しました。
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出会い系サイトの攻略本かと思わせるような物語で始まって、出会い系サイトもちょっと面白そう。やってみようかな。さぁこれからというところで、一気に暗転。
これを読んだら、やっぱり出会い系サイトはご遠慮したくなっちゃいました。
2006/6/25
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出会い系をきっかけに、リカと名乗る女にストーキングされる会社員の本間。リカは常軌を逸した怪物だった。リカの狂いぶりが笑える!人間なのか、本当に怪物なのか、その辺が分からなくなってくる。
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非常にテンポよく読める作品です。
映画化したら見たいですね。
いろんな意味で。
主人公本間が出会い系サイトで知り合ったのはリカという女だった。
最初はいい女だと思っていた本間が、段々と追い詰められていく。。。
そして衝撃のラスト。
怖いものが読みたいときはおすすめです。
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読んでいて「うう・・カンベンしてやってくれ」と思わず主人公に同情してしまった!!
以前、「座敷女」という望月峯太郎の漫画を読んだが、これと少し似ているかな。
妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐るべき“怪物”だった。長い黒髪を振り乱し、常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追いつめられた本間は、意を決し怪物と対決する。
中年期にさしかかれば、誰もが自分の人生について色々と考えてみるだろう。
折り返し地点も過ぎ、果たしてこのまま家族や子供のために生きてゆくだけなのか・・
若い頃の自由な恋愛など、あの「ときめく気持ち」をもう一度感じてみたいとか・・。
主人公の本間は遊び人の友人に「出会い系」のことを聞き、何気ないつもりで参加してしまう。
そこで知り合った「リカ」という女性。彼にとっては、再び自分の気持ちを素直に伝えることのできる存在だった。
しかし、そこからが恐怖・・。
最初のほうは「出会い系って、何だか面白そうじゃないか」と誰もに思わせるが、物語が進むにつれ「出会い系は絶対怖い!!」と思わせる小説(笑)