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『錦繍』は久々の再読。宮本輝は時々無性に読みたくなります。この話は中でもとりわけ好きなほうです。
往復書簡形式の話を他であまり目にしたことが無いと思うのですが、この書き方って凄く難しいんじゃないかな、って。
解説にもありましたが、なかなか古風な感じがします。情景の広がりも動きが少なくなりそうな上に、ただ相手に向かって書かれてますからね。先日読んだ『月光の東』の日記形式を読んで、これを読みたくなりました。
ただ一人へ向けた手紙。それも十年前に別れた夫へ、妻へ書き綴る思いは、複雑だし、別れてからの十年が互いに様々なものを抱えているものだよな、と。
あるときの手紙は激情的になっていたり、ある時は後悔の念が滲み出ていたり…というように、続く往復書簡は最後に向かって盛り上がっていくだけではなく、人の人生、二人の十年のように起伏が感じられます。その辺りにこの作家が描く人情味の上手さがあるのではないかと私は思ってます。
ただ一度の再開を果たし、手紙を交し合い、また新たにそれぞれの『人生』を力強く歩んでいく様子に、人の生きていく力と孤独を見たような気がします。
個人的には手紙を書くことはメールでも郵便でも大好きなのですが、電子ではない手紙は今後減ってしまうのでしょうね…。寂しいものです。
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何かでおすぎかピーコが「読みなさいッ!」と勧めていてなんとなく読んでみたのだけど、じっくりと読めた。
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離婚した二人が偶然10年後に再会するところから始まる往復書簡小説。主人公がおいしい珈琲を飲みながら、マスターとモーツァルトの音楽について語るシーンが、とても好きだ。モーツァルトの音楽、しいては生と死の本質に迫っていくくだりは、何故かしら読むたびに胸が熱くなる。「錦繍」の中で繰り返し語られる、「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じかもしれない。」ということが、何とはなく体の中に、しみ込んでくるような心地がする。
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最近この手の(?)本を読んでなかったんですが、良かったです。
正直、こんなにキレイな文章での手紙のやり取りなんて現実問題、難しいよなぁ・・・。なんて始めに思いましたが、そんなこと小説だからいいんです(自分で解決)。それにしても、深いなぁ・・・。とはいっても、まだピンときてないところなんてたくさんあるのですが。またもう少し年をとって、いろんな経験をしてから読むと、また違う読み方ができそうです。最後の締め方にも納得。
こんな文章が似合う・書ける女の人になりたいなぁ・・・なってみたいなぁ(ちょっと弱気)。
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宮本輝といえばこれでしょう!蔵王の紅葉(錦繍)のなかで再会した元夫婦の往復書簡のお話です。実際に蔵王の紅葉を見ているので、心のなかにその画像と共に残る1冊です。
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手紙のやりとりを描いたシンプルな構成で、とても読み易かった。『戦場から遠く離れた安全な場所で、人々を戦争に駆り出していた偉い人たちは、今度生まれてくるときは、どれもみな人間になることは出来ないに違いない』というおばあさんの話がとても印象深かったです。
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夫の浮気が理由で離婚した元夫婦の往復書簡。あのとき本当の気持ちが伝えられていたら・・・。男と女の考え方の違いに気づく本
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宮本輝 初期の作品。
書簡体という形で、話が進んでいく。過去と、現在と、未来について。
やっぱりいつものとおり再生の物語。
でももうちょっと足りない…。ラスト60ページくらいは意外と面白かったけど、前半はいまいち。
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書簡小説に徹底するのは良いが、この小説の場合は男女どちらの書簡も言葉が丁寧に選ばれて過ぎている分、逆にリアリティが生れてこない。宮本輝という第三者がふたりの文通の間に顔を出しすぎている気がしてならない。
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一番好きな小説
映画がショーシャンクなら、小説は「錦繍」優しさとはなにかというのが分かる作品。
既に書いてるだけで読み返したくなる(笑)
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とある事件をきっかけに別れた夫婦が、偶然の出会いから綴り始めた往復書簡を通して、過去を決別し、未来へ視線を向けてゆく。
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蔵王のトロッコで再開した、かつては夫婦だった男女。2人は互いの上に降り積もった年月を思い、手紙を送るようになる。長い、長い、手紙のやりとりを通じた、心の浄化の物語。
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読み始めて、過去の男女が傷舐め合って、ヨリ戻す系?と思ったのですが(私はその手の話はあまり好きではないので)、なんの!なんとも前向きなえぇ話じゃございませんか^^。ハッピーエンドではないかもしれんませんが、「さ、明日がくるよ〜」って気分でした。色々心に傷はあっても、人は前を見られるんです!
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最終的にハッピーエンドではないけれど、でも2人はそれぞれの道を前向きに歩んでいけるようになったわけです。読んだあと、とっても不思議な気持ちになった一冊でした。過去は変えることはできないけれど、
それによる自分の意識や考え方は今からでも変えることはできるだと教えてもらった気がします。そして手紙っていいなぁ〜って思いました
今はメールばっかりで最近手紙を書いたのはいつ?(思い出せない!)
っと言うくらい書いてないんだけど・・・これ読んだら誰かに手紙書きたくなりました。
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年を重ねるからこそ、こんなふうに誰かを想うことができるのだろうか。
人生の軌跡を相手と重ねるように、往復書簡は続いていく。
たとえ、ふたりの関係がもう終わったものだとしても、ふたりがお互いを想う気持ちは、変わらずに静かであたたかい。
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文字にしてあらわすことで、自分を見つめなおすことができたり
新たな自分に気づいたり、
手紙を書くって不思議な行為だと思う。
手紙を通してお互いを支えあう大人の物語。
でも、本当は手紙は自分自身に宛てて書いているものなのかもしれない、そんな気がした。