これぞ本当の安楽椅子探偵
2005/10/13 00:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前に上海の租界でイギリス人のために作られた安楽椅子を、小学生・及川衛が買う。骨董屋の店先で衛が見初めたこの椅子、何といびきをかくし、口をきく!?
しかもこの椅子、名探偵でもあったのだ。
今まで様々な「安楽椅子探偵」を見て来たけれど、なるほど、これはどう見ても文句のつけようがない、本物だ。「居ながらにして謎を解く」安楽椅子探偵の特徴にしても、本当に動けないのだから、それしか推理方法がない。人間と違って、物には寿命も国境もない。いろんな人を見ているから、観察眼は鋭い。パーカー・パイン氏みたいに、人間カタログ、人間の行動パターンについての知識を持ってる。これが彼の探偵としての強み。だけど、できない事ももちろんある。
自ら証言を取る事は困難で、故に容疑者の表情を確かめる事もできない。自ら物的証拠を集める事も、アリバイ確認のための実験もできない。じゃあ自らが駄目だからといって、主人公や関係者を新聞記者や刑事にして、「彼」のデメリットをカバーすればどうか。でも、それはズルイし、制約がなくなったら他の探偵ものと何ら変わりない。今回、あえて探偵とコミュニケーションできるのが、ごく普通の小学生という設定にしたのは、他との差別化を明確にするためだろう。ただ、子供が関わるとなると、限られた場所と時間でしか動けないし、容疑者に対しても大人のやるような事情聴取は無理だ。そのため、「首なし宇宙人の謎」ならば、あまり感じないが、大人が関わってくる「クリスマスの靴の謎」「外人墓地幽霊の謎」では、事件の真相への矛先がちと緩い。でもまぁ、メインの聞き手が
子供ならば、あまりどろどろした大人の内容を持ってきても興ざめか。ひらいたかこさんの挿絵が、クールな作品のテイストによく似合う。
『子供の頃、名探偵が出てくるお話が好きで、どうしようもなく惹かれるのは特徴的な外見や困った習慣、うるさい口癖などを持つ奇人変人の名探偵』という著者のお気に入り作品は、山田風太郎氏の『明治断頭台』だとか。なるほど、こんな彼女から奇想天外未来都市「バルーンタウン」が生まれたのか。
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投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分は安楽椅子ものが好きなんだなーと思って調べてたら出会った作品。
まさに安楽椅子探偵。
むしろ椅子!!!
設定だけで他の安楽椅子ものとは差がついてる。
安楽椅子に事件を伝えるのが子供ってのも、
軽めの事件を持ってくるわけだからいいね。
椅子の性格も子供とよくあってる。
全体的に優しめ。
椅子が喋る突飛な設定なのにあまり違和感を感じない作品。
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相も変わらず東京創元社は文庫買い。最近の小学生ってこれくらい頭いいんだろうか。あまり描写はないけど、主人公のお父さんはとってもいいひとっぽい。あと最後にでてきた清六さんも。清六さんとの交流を描いた続きが読みたい。
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読みやすかったです。子供が主人公の話って好きだなぁ。主人公が子供っぽすぎず、かといって変に作られすぎてもいなくてよかったです。椅子が探偵ってすごいですな。まさに。
ラスト1話はあんまり好きではないです。急に荒唐無稽になる感じがして。でもハッピーエンドだからよかったかな。
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読むのに結構時間が掛かってしまった;
営業さんの話を聞いて
安楽椅子が喋るなんて・・・?!
どんなおもしろ話かと思っていたら
意外と真剣。
日常的な子供が事件を解決していく
ほのぼのかなと思いきや
さすが松尾さん!
最後の最後に重く来ました。
これは子供向けって感じではないなぁ・・・
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世に安楽椅子探偵は多けれど、文字どおりの安楽椅子探偵は彼だけでしょう。
・・・・・・ってか、安楽椅子を探偵にする?!
こんなとんでも設定で作品を成立させるのは、氏しか有り得ないでしょう。
妊婦や幽霊の**を探偵に仕上げてきた氏の実力を存分にお楽しみ下さい。
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ミステリは好きだけど主人公が子供の作品は避けていたのに
これは安楽椅子探偵物ということで読んでみたらハマった。
松尾由美さんの文章がとても好きみたい。
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安楽椅子探偵が、文字通り「椅子」でもいいじゃない。
まず、安楽椅子=探偵という設定が目からうろこ。舞台設定が雰囲気を出していて好き。横浜には少しエキゾチックで、ファンタジックな謎が良く似合う。
児童文学で、青い鳥とかそこらへんの少年少女文庫に持っていってもいいのではないかと思う。
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小学生の衛くんと同級生野山芙紗さんと文字通りの安楽椅子、おしゃべりする安楽椅子アーチーの探偵物。四話はちょっとって思ったけど。。。
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まさかの椅子が探偵という連作集。主人公が小学生ということで、その突拍子の無い設定もほのぼのしたものに中和されてます。
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【再読】連作短編集/ファンタジーミステリー/これぞまさに“安楽椅子”探偵/子どもらしかったりそうじゃなかったり/ある意味で人間らしさを感じる『外人墓地幽霊事件』ラストが個人的に嫌いじゃない/
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児童書っぽいファンタジックミステリ。
ちょっとご都合主義的なところが気になったかなぁ。
第三話が特に。
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特殊な探偵役の作品を挙げる際に、必ず出てくる一冊。冗談みたいな設定ですが、最近教育テレビを見ていたら、椅子なのに歌って踊るコッシーというキャラクターが出てて、なんだか通じるなぁと(苦笑)
全体的に児童文学的で、そう思って読めば面白い作品だと思います。シャーロックホームズ的構成も、これからそちらへシフトしていく少年少女の導入としてありなのかも。
しかし最終的なオチが解せない部分もありました。どちらかというと、ホームドラマのようなホッコリするストーリーのが合うように思います。
シリーズとしてもう一冊あるようなので、是非読みたいです。ゆったりと流れる少年時代の時間の中で、それでも少しずつ成長する衛や仲間達に期待です。
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安楽椅子探偵の短編集。
その探偵がなんと…椅子!あの家具の椅子が、話すわ考えるわ…それどころか謎解きまでする!我考える、故に我あり。
謎については、ちょっと無理があるような気がする。そもそも椅子がしゃべって推理するってかなり斬新な気がするけど。
個人的にはうーん…ちょっと…な感じでした。
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ミステリの短編集。
安楽椅子"に座った"探偵ではなく、安楽椅子"が"探偵。
椅子がしゃべる、寝る、推理する。
面白い設定で、キャラも良い。
読みやすかった。
主人公の衛が、安楽椅子のアーチーをとても大切に思っていることや、衛とアーチーの絆が素敵。