紙の本
死神シリーズ第2弾
2017/01/12 10:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「死神の精度」とおなじく千葉が活躍する。前作は6つの短編から構成されていたが、本書は長編のため間延びした印象だった。
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とにかくサイコパスの本城が、あまりにあまりな人でなしで、彼の行動のひとつひとつが胸くそ悪すぎる。ここまで不快になるってことは、逆に言えば伊坂さんの創作の能力が優れているからってことになるのだろうが、だからといって本を読んでいて不快になるのは、ちょっと勘弁だ。
生きているということ。死ぬということ。親というもの、子というもの。いやが上にもあれこれ考えさせられて、ちょっとどんよりしてしまった。
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死神・千葉と山野辺夫婦とのチグハグな会話など、ところどころに散りばめられた遊びが秀逸。
還元キャンペーンとか、そんな安直でいいのかと、笑ってしまう。
個人的には山野辺の父親の死に対する向かう姿に、息子への愛情が感じられて良かった。
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死神の精度の千葉が書き下ろし長編になって戻ってきました。
これだけで伊坂作品読んでる人にはたまんないよね。死神の精度は伊坂作品短編集のなかでも群を抜いて好きでした。上質なの。
無罪判決の出たサイコパスに娘を殺害された小説家とその妻の、死神千葉の判決が下される一週間の物語。
以下ネタバレ含みます
初期の作品がいい、と何度か出るけれどこれは伊坂さんの作品にも言えるよね。わたしは伊坂作品初期のころが大好きです。死神の精度の世界観ですからこれは初期作品です。
でもね、晩年も悪くなかった、というラストになんかじーんってなっちゃった、いろんな意味で。
還元キャンペーンでも判決を可にした千葉の判断は仕事として間違えてなくて、サイコパスの担当になった死神の香川はキャンペーンに踊らせれサイコパスを見送りとした。その結果20年間下半身不随で、誰からも助けられることなく、鰐の餌になりながらも死ぬことはできない20年間を送ることになる、(鰐のくだりは定かではないけれど)そんなことは誰も知る由はないのだが。
人間はいつか死ぬものです。死神の判決が先送りになったとしてもいつかは死ぬものです。
小説家山野辺の父の、怖いところであるか確認してくる、というくだりが好き。先に死んでそこが怖くない場所であるか確認してきてあげる、というところ。
わたしはやっぱり伊坂作品はこういう【初期】のにおいがするものが好きです。そして伊坂作品では珍しく序盤から楽しかったのもよかった。うん、面白かった。
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久々に死神「千葉」の登場。なんとなくずれているところが素敵。雨の中、無表情の男がこぐ猛スピードのママチャリが自分の車に近づいてきたら、ものすごく怖いだろうな~
あくまで仕事だからといえど、とことん付き合う千葉の真面目っぷりも楽しい。
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生を受けたものに等しく訪れる死。だけど、生まれる環境を選べないように死も選べない。
安らかな死、緩やかな死、穏やかな死がある反面、突然の死、無惨な死、残酷な死。
寿命というものだと認識はできても、その死が残念なものであれば受け入れることなどできるはずがない。ただ一方的で抵抗できない。どうにもならない感情が鬱積する中で、ただただ悶々とする。
しばらくは堪えそうだ。
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死神の精度の続編。さすが伊坂作品、悪は法の下ではなくもっと別のところでもっと凶悪に罰せられる!死神に目をつけられた人間の死期の定義が興味深い。
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千葉さん、初の長編。
キャラクターは相変わらず。
話自体はおもしろいんだけど
悪役が気分悪くなるほど嫌なキャラクターとして描かれているので★マイナスイチ。
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「死神の浮力」
千葉が帰ってきた。見届けるのは、敵討ちに全てを投げ打つ夫婦。
“一年で三万人が自殺をすると言われている国で日々を生きていることがすでに、出口不明のお化け屋敷を歩いているも同然で、世界ではさらに莫大な数の人間が死を遂げているのだから、そちらに目を向けたほうがよほど恐怖を感じることが出来るのではないか”
千葉はそう言う。彼は死神である。鎌は持って人間を死の世界へ誘う訳でも、斬魄刀を持って戦う訳でもない。彼は、ただ対象の人間を調査し、見届ける。
千葉は、仕事をきっちりこなす。こなした結果が、たまたま可であるだけなのだ。千葉は、音楽のみを愛する。音楽は、人間が生み出したものなのに、音楽から人間を取り除いてしまう。だから、彼には、人間はただの対象でしかない。
千葉は、こんな死神である。一言で言えば、真面目ではある。だが、対象を理解した上で仕事をしているというわけでは無く、ただ仕事に対してのみ真面目なのだから、一言でいうなら頑固である。いや、考慮する余地すら残さないのだから、頑固でもない。さて、これを考えるには、渡辺先生の言葉通り、寛容になる必要がありそうだ。
本作は「死神の精度」の続編です。前作との違いは、大きく言うと3つ。1つは、千葉の対象人数。前作は、短編であった為に、千葉は多くの人に密着マーク。しかし、今回の対象は、夫婦であり、もっと言うと、千葉が調査をするのは、山野辺という作家。正に、山王のあいつみたいなすっぽんマークを見せます。
2つ目の違いは、物語のテイストです。前作は、どの短編もどこか暖かさがあったり、物騒ながらもおかしさがあったり、運命が薫ったりしていました。しかし、今回見届けるのは、敵討ちです。娘を失い、マスコミに苛まれ、犯人は無罪放免になろうとしている。しかも、この犯人は、25人のうちの1人、サイコパスである。正直、前作のようなテイストかと思っていただけに、これにはちょっと面食らいました。死が匂いそうで匂わないのが、千葉という死神なのに、頭からいきなり哀しい死があるんですからね。
物語のテイストに沿うように、死に関する言葉が多く登場します。これが3つ目。死の観念は、人それぞれであるが、死を怖がり、死を受け入れ、死を認識する山野辺は、絶対悪である本城、死に関心がない千葉と対比され、人間度が増します。弱くなり、強くなる、それが人間。しかし、それで終わらないのがまたなんとも言えない。というか、納得いかないw
前作には無い死への観念、怒り、そして、悲しみ。
千葉は、ぶれない。憎らしい程に。しかし、死神は、ぶれる。人間みたく。
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作者特有の恍けたセリフや普通ではない人々の会話が惜しげもなく繰り出されるが、いまひとつ、それに乗れないのが、そもそも人間ではないということだから当たり前だということと、題材が人間の嫌なところを凝縮した話で只、只管に暗くて軽妙なセリフのやり取りをもっていしても拭い去れないことと、死神の話である以上、最後がよめているから。ただし、ラストは暗いながらも良い終わり方だったのが救い。
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そうだそうだ。千葉ってこんな奴だった。
と、懐かしい気持ちで読み終えました。
伊坂さんには絶対的信頼がありますが、今回ももれなくぐっとくる結末で。
こみあがるものがありました。
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(2013年10月31日読了)
久しぶりの「死神」シリーズ。ブグログで見かけてから図書館で借り受けるまでに4ヶ月もかかった。
前半は焦らされているように、なかなか前に進まず、しかし、後半からはみるみる加速し、そのスピードがラストまで止まることはなかった。
人間にとっての「死」。「死」までの人生。
様々な死が書かれているけど、主人公・山野辺の父親の死に対する考え方や行動には、考えさせられた。
自分の死より息子の死が怖くて、現実逃避し、自分が楽しい事だけをして家庭を顧みない。家庭より仕事が楽しかった。。。思いはわかるけど、私にはそんな生き方は出来ない。最期には父親の役割を果たした感じではあるけど。
千葉のやる事が、本人にはそのつもりはなくとも、結果的には山野辺の望む状況に繋がる。
ラストは好き嫌いが分かれるだろうけど、これも有りかと。キャンペーンの顛末は、痛快だった。
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久しぶりの伊坂さん作品。
千葉さんに長編でじっくりとら関われるなんて…!
サイコパスな隣人に一人娘を殺害され、その犯人に復讐を企てる夫婦のお話。
人間っぽく見えて、どうしようもなくズレてて人の機微なんてわからない千葉さんですが、関わった人はなぜか必ず幸せになれる。
死神だし、その翌日とかには死んでしまうのですが、そんな風に感じてしまうから不思議。
そして還元キャンペーン…えぐい…
思い通りといえばそうなのかもですが…
さらっと読める印象ではありましたが、面白かったです!
エピローグ、切なかった…
いろんな人の人生としに向き合うお話。
死神シリーズ、また出してほしいなぁ。
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忙しくてなかなか読了に時間がかかってしまいましたが、それでも面白かったなあと思える作品。
フィクションといえども、「死」について作中ですっと言葉にしてしまう伊坂先生すごい。
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永遠の0を読んだあとだったからか、
伊坂さんが自虐的に会話で成り立つ小説って言ってる理由がようやくわかった
でも、やっぱり素敵な言い回しの会話は憧れるし、こんな会話ができる大人になりたい!
立っている標識は本当にあっているのかわからない
人間は協力する動物
扇子から剣を出すんじゃなく、剣から扇子を出すような小説を
きっと小説のテーマは死だったのかも
お父さんが、先に行って、見てくる的なセリフは感動的だった
2013.12.12