紙の本
ディスコミュニケーションのコミュニケーション
2001/05/15 00:44
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投稿者:ざぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1話2ページの短いエピソードの積み重ねで描かれるクロの日常は、不思議なコミュニケーションに溢れている。猫も人も一応吹き出しつきで喋るタイプの漫画だが、それは伝えるための台詞ではなく、言わば全てが独り言。でも、その伝わらない言葉も含めた身体全体の表情が、行動が、テンポが、画面が、漫画の中の充分なコミュニケーションとディスコミュニケーションを表現し、目に見える画面の奥に深みのあるドラマを生んでいる。
分かりやすいのが、不良中学生だけど実は猫好きのメラブーと、クロの絡み。この二人(一人と一匹)の間には、ちゃんとしたコミュニケーションが生まれた試しがない。でも、そのディスコミュニケーションぶりは、二人のキャラクターがそれぞれ「生きている」からこそ生まれるものなのだ。他のちらりとしか出てこないようなキャラクターにも、それぞれのドラマが見える。
でも逆に、結構重要な役柄であるはずのクロの飼い主・ヒゲについても、守るべきディスコミュニケーションの線引きがびっちり引かれていて、決してクロの目線以上に漫画が近寄ることはない。ストイックな筆致には唸らされる。
クロの身の回りで起きる猫たちの事件に対する視線も、ドライすぎず、ウェットすぎず、あるがまま、クロが感じるままを描き出す。交通事故、去勢、捨て猫、凍死、発情期。あ、誕生が描かれていないね(クロ自身の誕生を除く)。そのうち描かれるのだろうか。これからが楽しみだ。
筆で描かれているらしい絵もシンプルなのに可愛くて表情が豊か。お勧め。
ざぼん
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筆で書かれた優しいタッチの絵柄と、
リアリティのあるシビアな世界観。
でも、描写は猫への愛情にあふれている。
記号として、アニメのキャラクターとしての『猫』じゃなく、
生きている動物として、猫が描かれているように感じました。
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自由奔放に駆け回るクロ、その仲間達。
彼らの目から見た不思議な人間達。
最終巻(9巻)、悲しいです。
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全9巻。
最初、杉作J太郎氏が路線変えたのかと勝手に勘違いして
手に取ったら全く違う作者さんでした。ゴメンナサイ。
ねこのコミュニティを尊重してる感じ。
特にベタベタ接しているわけでもないのに猫への愛に溢れている。
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猫マンガ。猫目線で描かれています。
だから、飼い主のセリフを理解せずに、気ままに行動する猫の姿を見ることができる。
猫、かわいいなあ。
猫の思い通りにならない人間社会。
猫目線で見ると、なかなかシビアな世界です。
なんか上手く説明できないけど、いろんな人に読んでもらいたいマンガだ。
それにしても最終巻らへんが、割と手に入りづらいっぽい。
Amazonのユーズドでも最終巻がちょっと高くなっていました。
【巻数】全9巻
【掲載誌】モーニング、イブニング
【連載年】2000年~2005年
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拾われた黒い半外ネコの日々のお話。シビヤな世界に飄々と生きて、恋して、死んで行く猫達の姿に泣けた…
星が四つなのは、ときどき悲しすぎるのと、すでに入手しずらくなっているため。
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かわいらしい絵に反して、猫たちの生活を真実のままに、優しく時に残酷に描いたこの作品。こんなにも猫に厳しい猫漫画は初めてです。モーニング連載時から読んでおり、最初は普通のネコエッセイ漫画かと思っていたら、突如として人間に蹴られたり、脚を切られたりするので、そのような回を読んだ後の一週間はずーーーんっっと気分が落ち込みました。もちろん残酷なだけでなく、飼い主達とのご飯を巡る攻防や、恋人猫達との恋愛、仲間猫たちの友情などもおもしろおかしく描かれており、にんまりする回も多いのでご安心を。外猫の自由か家猫の安心か。猫にとっての本当の幸せが、はたして何であるのかは知る由もありませんが、とにかくまた猫と一緒に生活したい!と強く思える作品です。ここでこのような主張をするのはちょっと違うかな、とは思うのですが、猫や犬と暮らしたいな、と思う方はペットショップやブリーダーからではなく、保護施設などから引き取ると幸せな猫が増えると思います。ペットショップに行く前に一度のぞいてみてはいかがでしょうか。生体売買が少しでも減る事を、切に願います。(ふじた)