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ああ…本当に冲方丁さんの人物造形は胸に迫るなあ…
リアルだ、というのとはまたちょっと違う、フィクションにしか、作品を通してしか味わえない感情の追体験。
しかも今回は清少納言の物語ですよ。
裏テーマは「ことばの力」だと感じた私は、水村美苗『日本語が亡びるとき』を読んだ時のように目頭が熱くなりました。
読めて良かった。
装丁も素敵。
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冲方作品初読みでした。はなとゆめ、まさにこの小説を表すのに的を得ていると思えて仕方ありませんでした。
大内裏という神の域と思われる場所で繰り広げられる政権争い。一時の華と夢。その中心にいても、翌日には天地がひっくり返ることもある。清少納言の目から、中宮定子を中心に一条帝との愛、藤原家の政権争いの様子が描かれた作品。中宮定子が気配りのでき、凛とした女性の姿がとてもすてきでした。
平安時代というと、道長の世、歌を歌い、男女の駆け引きが多かったイメージですが、駆け引きがあり、一つ間違えれば自分の足元が救われ、上り詰めた地位を守るために策を謀る。
はなとゆめをみたあとに、その時が過ぎてしまうなら、見ない方がいいのではないか・・・感じている間こそが、幸せならそれでよいのではないだろうか。
子どものころの伝記で紫式部よりも自分の知識を振りかざしている嫌な人というイメージしかなかったけれど、主に対するプライドを持ち、謙虚な人だとは思いませんでした。こういった感じの紫式部を描いた作品を読んでみたくなりました。
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清少納言の昔語り。本人の回想という語りです。
とにかく、中宮定子のことが大好きで仕方がありませんでした。
こんな私でも、あの人のそばに使えている間は、華やかな幸せな時間をすごしていました。
その思い出を、書き綴っていきましょう。
と、枕草子の前文であるかのような本です。
ウブカタワールド・テイストは、あんまり感じられなかったなぁ。
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最近割とよく読んでいる平安時代もの。
「枕草子」も読んだし、ほぼ同時代の紫式部のお話も読みました。
今回は、清少納言の定子中宮にお仕えして「枕草子」を執筆するあたりを描いた物語です。
清少納言自身が、半生を振り返って思い出を懐かしく語っていく、という形をとっているので、知的で情緒のある一方でやや単調で謙遜が鼻につくような部分もありました。
でも全体的には清少納言が等身大の女性に感じられるし、宮中の人間模様はやはり面白い。
これ「枕草子」そのままってところもあって、直前に読んでただけに理解が深まったような。
「枕草子」は時系列も題材もばらばらなんだけど、こちらはちゃんと経時的になっているので、あぁこういう流れでこういうことがあってそれでこうだったのね、みたいな分かりやすさがありました。
百人一首の和歌も何首か出てくるのですけど、こんな状況で詠まれていたのかーとちょっと新鮮に感じられました。
そうか、特別に歌を詠んだわけではなく普通の手紙なのね。
そういう私信がその状況とともにこんなに知れ渡ってしまってるってのは驚きですが。
全体的には、おそらく史実に即している分、たいして盛り上がりもなく淡々としてますが、こないだ読んだ「千年の黙」と同じ場面があって、清少納言側、紫式部側、両側から見るとなかなか面白かったです。
それにしてもどちら側からも腹黒くて気が許せない人物とされてる道長ってほんと鼻持ちならない男だったんだろうね。
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本屋大賞で「天地明察」を知ってからのミーハーな冲方さんファンです。
ひたむきに精進を尽くした渋川春海の「天地明察」。
迷い翻弄されながらも燃え上がる道を突き進んだ水戸光圀の「光圀伝」。
どちらも時を忘れて読みふけった思い入れのある本でしたから、新作を手に取るのは少し怖いような思いで、また、題材が清少納言であることも意外でした。
清少納言といえば、雅で、華やかで、軽やかな印象しか持っていなかった私ですので、その一生が、時代小説としてどのように描かれるのか想像がつかなかったのです。期待して、今までと全然違うものだったらどうしようなんて、要らないことまで考えました。
結論から言うと、素晴らしかったです。
どんな道であれ、自分だけの道を見出すこと、そして生涯をかけてその道を歩き続けることは、とても美しいものなのだと、本を閉じてから溜息がこぼれました。
また、小倉百人一首にも選ばれた「夜をこめて」の歌にまつわる小話は私も聞いたことがありましたが、ちょっと失礼なあの返しも、冲方さんの手で、愛らしくて柔らかいやり取りに変化していることが、なんだか嬉しくありました。
「天地明察」とも、「光圀伝」とも違う。違うけれども同じ。
冲方さんの世界観に、また幸せな気分にさせてもらいました。感謝。
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中宮定子という「華」に仕え
知的で、明るく強く生きた清少納言。
詠まれた歌からも内裏の楽しげな様子が伝わってくる。
決して生きやすい時代では無いが
流されず逆らわず強い信頼関係で結ばれた「女房」たち潔い。
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「光圀伝」を読んだ時ほどの、感動、魅力感はなかったが、王朝絵巻を見る華やかさを味わえた。清少納言と、藤原道長が、これほど関わりあっていたとは、寡聞にして知らなかった。どこまでが史実で、どこからがフィクションか。
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清少納言は少し苦手なのだけど、思い定めた貴人に仕え意志を全うする姿は凛としていてよかった。
一人称女房言葉の語りは、全体の歴史の流れが掴みにくく、表す世界も狭いので読みづらかったけれども、最後の締めには大変効果的だった。
行成、いいなあ。
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読んでみたいと思っていた生方丁。平安時代、清少納言とは!
才女で バリバリのキャリアウーマン的なイメージだった清少納言なのですが、
くせっ毛を気にしたり、内裏にあがったばかりの時などは、緊張して 隠れていたとか、他の女房たちよりも年上(28歳)なのを気にしていたりとか・・・ちょっと親近感がわきます。
一条帝の中宮(妃)である定子様にお仕えし、雅で華やかで、気の利いた句(詩)のやりとりをする毎日。 和歌や漢詩に精通し、筆跡をみて誰の書かわかったり、清少納言の知識の深さ、機転のきくやりとりなどは、貴族達の間で評判となってゆく。
しかし、
定子様の父・関白藤原道隆が死去し、藤原道長がその勢力を強めてゆく。
一条帝に深く愛され、帝の子もなした定子様だが、一族は 少しずつ道長の計略にはまっていってしまう。清少納言も その争いに巻き込まれてゆき・・・。
読み始めて 慣れるまでちょっとかかりましたが、
宮中にあがってから ぐいぐい読んで、ラストまで読んだら、最初のほうをもう1度読みたくなりました。
現実は大変でも、明るく、笑って読んでもらえるような枕の話。
清少納言にしか書くことができない ウィットと感性。
物語の中で、 百人一首でもおなじみの歌がでてきて、それも楽しめます。
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清少納言と中宮定子、(枕草子)の出来た(書けた)、理由?動機?は
このようなものだったの?それは良く書けている。それにしても、この時代の宮中は、こんなに、言葉で遊ぶ時代だったのかと、また、その優雅さ、
もっと言えば、(暇人の集まり)が、このような文学が生まれた背景だとは?もう少し、貴族の葛藤を深堀してくれたら・・・。は、望みすぎか?
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枕草子をベースとした、清少納言のわかかりしころから人生の華である、中宮定子に仕えた女房時代とその栄華の終焉までを描いた歴史小説。
枕草子を全部読んでないし、史実もそこまで詳しくないので、フィクション部分があるのかはちょっとわからなかったけど、基本的に「もの」、「~は」の章を除いた、実在人物描写の章を現代風に、かつ清少納言の心情、背景をクローズアップして、物語にしたものかなというカンジ。オリジナルでは、時期もバラバラに配置されてた各章が時系列に背景と共に現代風に描かれていて、へーそうなんだ!と楽しめました。
そもそもベースにしてる枕草子のクオリティが高いので、この本自体の評価ってしずらいんだけど、辛いときだからこそ、楽しく雅に華やかに、男にも惑わされるどころか華麗に交わし、唯一と心に定めた中宮定子のために、最高の女房とあろうとする清少納言の凛とした姿がいきいきと描かれていてよかった。道長の最大の敵は、伊周でも道隆でもなく、中宮定子だった。彼女の使命と愛の貫き方もすごい。そして、決して恨みつらみや、暗い部分を描くことなく、華やかで美しい中宮定子の姿を描ききったのは、清少納言の道長への最大の批判かつ、主人への最大限の尊敬だったのかも。遥か平安の昔からやっぱり女は強かったのだなぁ。
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天地明察・光圀伝がとても面白かったので期待して購入。
期待が大きすぎたかなー物足りなかった。
源氏物語を同時進行で読んでたから宮中の行事が理解出来て良かったかなーこっちのほうが私的に分かりやすかった。
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宮中の華やかな世界や清少納言の中宮への熱い思い、枕草子ができるまでなど清少納言を知る本としてはわかりやすく楽しめた。話の展開が早くじっくり風情を感じるまでにはいたらなかったのは今どきの作品という気がする。やはり田辺聖子の「むかし・あけぼの」の方が面白い気がした。
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清少納言の人生。結婚生活や、中宮様の女房として働いた宮中での生活、そして枕草子を書くきっかけや想いなどを清少納言が語っていく。
一条天皇の御代について大変勉強になりました。
あとは、知っているエピソードが出てくると嬉しくなります。私は史実に詳しいわけではないので、フィクション部分がどこなのか判断できませんが、エピソードがきちんと清少納言の人生として繋がっていくのがすごいと思いました。
しかし、枕草子やうた恋い。を読んで自分なりの清少納言像があり、それと沿わなかったためモヤモヤしてしまいました。それからだいたい知っている流れ(歴史小説だから当たり前ですが)だったので盛り上がりきれなかったなと思います。
伊周様は好きだったのですが、読むと時期を待てない男だったのですね…道長にはめられたとばかり思っていたのに、自業自得なところが多々ありでした。
逆に意外だったのは道長がかなり焦っていたこと。もっと権力者としての余裕がある人物だと思っていたけれど、それだけ定子様の存在が大きかったということだと思います。
本書を読んで、一条天皇を好きになりました。こんなに1人の女性を愛した人だったとは!!
2人の妻を愛した人という認識が改まりました。そして、彰子も彰子で一条天皇との結婚に消極的だったのが意外。
一条天皇と定子様は桐壷帝と桐壷更衣ぐらい愛し合っていたのだろうなと思いました。
清少納言と定子様の絆が強まっていくところも好きです。もともと清少納言が定子様に心酔しているところが好きだったし、読んでいるうちにだんだん私も定子様への好感が増していきました。
華を知ったからこそ、終わっていく栄華が儚く哀しく感じられました。
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繊細で優れた歴史小説であり、丁寧な和歌の解説書。
この世の華とも言える中宮定子に仕え、己の才をその華に見いだされた清少納言。宮中の権力争いに翻弄されながら、枕草子を書き綴る姿が描かれている。
「わたしはあの方を守る番人になる」と帯にも書かれているが、これは清少納言の中宮定子への深い愛情の物語だ。こんなにも美しい主従関係を現代でも築くことができるだろうか。
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サイドストーリーとして藤原道長がどれほど必死に皇家に入り込んだかがよくわかった。「この世をば わが世とぞ思う望月の 欠けたることもなしと思えば」という傲慢さが鼻につく内容の、晩年の道長の歌も、必死にこういう策略を積み重ねたことから出たものなのかと妙に納得した。