紙の本
内容の割に文章が大人すぎるかな、って思いはします。だって、結局はガンダムでしょ? いや、アニメに詳しくない人間がガンダムなんていうと違うって怒られそうだけど、イメージ的にはガンダム+エイリアン? なんか違うような気もするけど・・・
2012/02/13 19:38
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初に書いちゃいますけど、これってガンダムだよな。って、実は私、ガンダム、まともに見たことありません。娘たちはよく見てましたけど、私はだめ。で、何がガンダムか、っていえば怪獣の中に入って、それを操り、同類をぶち壊して行くところ。怪獣と機械じゃ違うだろ、って言われればそうで、別にパトレイバーでもマクロスでもいいんです。でも『獣の奏者』じゃあ絶対にない。
いやね、獣を操るっていう意味では、『獣の奏者』でも『ネヴァー・エンディング・ストーリー』でもいいんです。問題は操縦法。つまりです、操るものの外にいる、っていうスタイルじゃあダメなんです。体の中に入って、一体化する、そこがキモ。そういう意味じゃ、エイリアンが一番近いんでしょうけど、あれは逆ね。だって、あいつら人間の中に入っちゃうんだから。あれに人間が入って動かす、っていうなら正しい。
ま、地中に埋もれた怪獣を掘り起こす、そして侵入する、というあたりも加味すれば、エイリアン、結構近いんです。いやはや、書き出したときはこんな結論になるとは思わなかったけど、そうかツヌガアラシトは人間で、カムロギがエイリアン、って考えればいいんだ。って、なわけ、ないでしょうが。
で、こういう怪獣を操る、っていう話になると、どうしても話がアニメっていうかSFになってしまう。いや、もとからSFではあるんですが、でも新しいっていう雰囲気はないです。リーダー・カムロギていうのが、もう日本人でしょ。そのカムロギが一体化する地中で見つけた四体目の邪神というのがアマツカミボシ。連合国家アッバースの司令官がツヌガアラシト、なんで日本人なんだよ、って思います。
登場人物の名前って結構重要なんですが、四人組でいえば、カリティはいいとしても娘の名前がエレクトラとか、他の二人、ナタとヨシュアはないだろう、って思うんです。三体の邪神のうちカルラを所有するウインナー村の長老がザビタン。村ですか? ウインナー村? 邪神ワイバーンを所有するンバンバ村の村長がエゼキエル。ンバンバ村の村長ですか? 邪神エクトプラズムを所有する第四帝国の皇帝がチョゴノウ。エクトプラズム? おまけにシャヘラザードに操られる邪神がレギオン・・・。
いやあもう、全身全霊で過去の寄せ集めです。ま、小林にそれがわかっていないはずはない。となると、彼が描きたかったのはそういう古臭い世界なんだろう、っていうことになります。でも、結果的にアニメや特撮映画を超えることはなかったな、という感じ。本のスタイルを全く変えて、少年少女向けファンタジーにしたほうが、意味があったんじゃないか、そんな気がします。
え、内容紹介になってない? たしかにそうでした。雰囲気的には小松左京やダン・シモンズの傑作、それと映画のエイリアン、それにガンダムを混ぜて、ファンタジー味を付けたようなものでしょうか。登場人物では、娘エレクトラが住んでいるかもしれない伝説の地国に行こうとしているタフな女性カリティと、冷静さと情熱をあわせもつ、小説中もっとも優れた人間、連合国家アッバースの司令官ツヌガアラシトがいいかな。
カバー後ろの内容紹介は
*
頭上に地面、足下に星空が広がる
世界。人々は僅かな資源を分け合
い村に暮らしていた。村に住めな
い者たちは「空賊」となり村々か
ら資源を掠め取るか、空賊の取り
こぼしを目当てに彷徨う「落穂拾
い」になるしかない。世界の果て
にもっと人間の暮らしやすい別天
地があると確信した、落穂拾い四
人組のリーダー・カムロギは、多
くの敵と生き残りを賭けた戦いを
繰り返し、楽園をめざす旅を続け
る――。傑作短篇の長篇化完全版
*
となっています。
目次は
1 巨神覚醒
2 神々の闘争
3 アルゴスの目
あとがき
で、Cover Illustration=星野之宣 。上手いか下手かはわかりませんが、全体の色合いがいいので、存在感があります。ここらは、Cover Design=岩郷重力+WONDER WORKZ。のセンスでしょうか。でも、割り切ってファンタジックにするという手もあった、とは思います。
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「天獄と地国」小林泰三
異世界SFアドベンチャー。特になし。
「海を見る人」に収録された同名短編の長編化作品。
天と地のひっくり返った球状世界の外表で、繰り広げられる宇宙船・超兵器戦・ハイテクノロジー・終末感・未知への冒険。
世界の設定が相当に物理で。短編の時から好きでしたけど、もっと深くつっこんだストーリーで読み応えありましたね。
グロテスクはないかなーと思ってたら、全くそんなことはありませんでしたね!甘かった(笑)
泰三さんの長編は共通点があると思うんですが、もっと広く浅くストーリーを拡げて収めてすればいいものを、どこに向かって育つか分からない根のように、思いつくままに進んでいくんです。
悪く言えば伏線とその回収なんてもんは全然見えない、良く言えば次から次へと新しいアイデアが出てきて飽きない。ストーリーからの必然よりも設定をいかに活かすかという。
ま、好みだと思います。自分は嫌いじゃない。
結局カムロギ達は世界が球殻状であることに到達するのですが、まだまだ語り尽くされていないので続編が楽しみです。(4)
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久々の長編、やっぱなんかグロい雰囲気。おもしろいんですが、状況(世界背景)がよくイメージできないまま終わってしまった。あと、あのエンディングはなんだ??
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人が乗り込んでくるたびにパイロットが「あーっ!」となる伝説の巨神の話……というのは嘘です(搭乗口の位置はそこだけど)。
序章みたいなところで終わってしまっているのが残念。
きっちりとした設定があるから、きっとまだまだ、いつか続きを読めるものと思います。
レギオンとかザビタン(ハァハァ(*´д`*))とかいろいろな遊びもあります。
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「無限のリヴァイアス」「ぼくらの」「ヒロイックエイジ」を思い出す。
面白かったけれど、これでおわり?が一番強い思い。
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読了、79点。
**
重力が地面とは逆の上方向に働く世界、人々は非常に乏しい資源の中で生活していた。
地に村を作って資源を採集する人間、その村人を攻撃して資源を奪取する空賊、空賊が襲った村跡から僅かな資源を掻き集める落穂拾いという三種の中で、主人公カムロギたちは最下層の落穂拾いをしながら生き抜いていた。
カムロギはあるとき仲間の死と同時に強大な兵器を見つけたことで、今までの生活を捨て、伝説と思われつつも語られていた地国を発見する旅に出ることを誓う。
**
読み終わったんだけど、う~~んとうなりたくなる。
ネタは満載、ザビタンとかザビタンとかザビタンとか、あとナタうぜええええとか、リーダーって何ですかとか。
1章は結構ガチSF、2章は突然巨大ロボットバトル的な戦闘もの(ちなみに自分が真っ先に思い浮かべたのはARMSでした)、3章は人類vs何か的な超弩級スペクタクルヒューマンドラマ。
人の話を聞けたおかげである程度世界観は理解出来たはずなんだけど、何とも言えないラストが気になります。
人にお勧めはしないけど、その人が年100冊以上読むんならこういうのを混ぜてみても良いんじゃないかな、とかそういう感じの本でした。
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あーー楽しかった!!!面白かった楽しかった。王道娯楽、宇宙活劇だと思う。
泰三先生お得意のグロは大分なりを潜めている…と思うので、そこが苦手な方にもどんとお勧めの逸品となっております!(あ、ゼロではないんですけどね……グロではなくて、リアルを追求していると理解してます!)
世界設定は、表紙のイラストとタイトルがきっちり示してくれている。天地が逆になっている空間で生活している人間達の物語だ。天にぶらさがってへばりついて暮らし、そこから踏み外すと真っ逆さまに星の海へ落ちていってしまう。泰三先生お得意、ガチっと理屈をこらした上での仰天世界設定。
物語は三章立て。
減少する一方の資源を切り詰めて生活する"村人"、村人から簒奪する"空賊"、そのおこぼれを拾い集める"落ち穂拾い"の生活を描くところから始まり、超兵器の発見までを描く「Ⅰ巨神覚醒」。
超兵器による闘いを描く「Ⅱ神々の闘争」。スーパーロボット大戦に超燃えた!(そして大笑いした。)
地国信仰の先にあるものを目指す「Ⅲアルゴスの目」。すーっと遠くをみつめる目になってしまう、ラスト。
どの章も異なる目玉を持っており、先へ先へとぐいぐい進んでしまう。また、登場人物達のコミカルな会話など、至る所にブラック、シュール、直球様々なユーモアが散りばめられていて本当に楽しい。笑った、笑った。登場人物の一人、ザビタンのあれがなにするところなど、快哉を叫ばざるを得ない。
泰三先生には、是非、このお話の続きを読ませて頂きたいものです!
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地上が上で宙が下。おもろい世界観だけどリングワールドなんだなと。巨大兵器同士の戦いとかあるんだけど、外観のイメージがまるで固定されなかった。つか、搭乗者がどういう状態で中にいるのかを考えるだけでもうw
終わり方がえーーーーーって感じでどうしよう。と感じながら終わりましたとさ。てか、ザビタンがまさかのザビたんw
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タイトルを見た瞬間に、小林作品で1,2を争うほど好きな短編集「海を見る人」のあのぶらさがってる人たちだ! と思って手にとりました。
前半は読んだ瞬間、懐かしくなる4人のかけあい。
頭上の地面にしがみつかなければ、星くずだらけの宇宙に永遠に落ちていく過酷な世界。落穂拾いと呼ばれる彼らの生き方。
結局エレクトラはどうなったのか、カリテイが見た謎の物体の正体は、と気になる続きが硬派に続くのかと思いきや、そんなことはなかった!
物語はスケールの大きな、宇宙ロボットバトルものに。
ザビタンとか出てくるし。
シリアスなのに、場面を想像すると笑えたり。
アマツミカボシのパイロットになってからのカムロギは、その反動かかっこよくなってるし。
ナタがダメ子ちゃんだ。
そして彼らは世界の秘密を知るため、北限への旅に出る。
なまぐささと小賢しさ溢れる小林節も健在ですが、ザビタンのエピソードとかナタと母の話はせつない。
普通ではありえない世界を構築して、計算をして説得力を持たせて、そしてあんなに泣かせる話を書くなんて小林泰三は鬼だとしか思えない。
ロボットバトルもいいけど、アッバースについてももうちょっと読みたかったなあ。
ツヌガアラシトはいいキャラだ。
で肝心のラストがちょっとわかりにくかったなあ。
世界の形は結局、なんだったの?
リングワールドやら球体、だと崖を登る描写がわからない。
巨大なコンタクトレンズみたいな形で、カムロギたちは外側から凹んでる方にきたのかと思ったけど。
そうすると最初の描写と矛盾する?
誰か詳しく解説してほしい……。
大地を踏みしめられる地国には楽園があると信じていたカムロギたちが見たものは、そこでも結局争い合う人類の姿だってことかな。
その世界では「時計の中のレンズ」の族長たちががんばってると思うと胸が熱くなるね。
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面白くてあっという間に読んでしまった。
多分世界設定に惹かれるんだろう。
頭上に地面、足元に星空、極端に資源不足な過酷な世界での生き残りのための生活
超兵器同士の戦闘シーンも面白いけど、空に向かって落ちていくシーンが何とも言えずいいなぁ
ラストが少し暗いけど、明るい面が無いわけじゃないのでイイかな
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冒険ものかと思ったら、巨大ロボものだったでござる。それはそれですごいおもしろかったかな。
あのラストで続編が出なかったら酷いぞ。
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おもしろかったー
がちがちにハードSFだとは思ってたけど,案外途中で巨大ロボット大戦ぽくなったのもいい
てかエヴァ?な気がしたけれども,あそこなくても別によかったけど,そこらへんの茶目っ気が読みやすいのかな.
最後の結末.さすが,
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第43回星雲賞受賞(日本長編部門)。
タイトル、ぼーっと見ていると書き間違えるのでご注意。堅い本かと思っていたけれどとんでもない。
明らかに「異世界」を感じさせる世界設定で、物語のつかみはOK。導入で、少し説明的なセリフも多かったりするけど、最初のうちだけなのでまあ許容範囲か。
一旦物語が動き出すと、序盤から、何となく、ちょっと前のロボットアニメを思わせるようなハイペース/ハイテンション(燃える?)で進んでいく。こういった、次々とイベントが起こり飽きさせない展開や、ほぼ全編会話で進む文体(ライトノベル的?)。攻略法を見つける、ゲーム的な展開。イマドキの読者が触れている、小説だけでない、マンガ、アニメ、ゲームなどの作品/世界、つまりは「時代」に合わせた作風に仕上がっており、読みやすく飽きさせない。その中心にはサイエンス・フィクションが強く息づいている。ゼロ年代SFというと、伊藤計劃あたりの「真面目な」作品が脚光を浴びているが、この作品も、一つのゼロ年代SFの象徴とも言えるのではないだろうか。
さらに、ニヤリとさせられたのは、世界観の周辺を固める様々な細かいネタ。特に、すぐにデータ不足を訴えたり、曖昧な指示は問い詰め、人間関係に応じて翻訳の文体を自動で調節するOS。こういうネタは、今の時代ならではか。
最後にちょっとだけ、気になったところ。全編ハイテンションに飽きさせず進むのは良いのだけれど、ちょっと、ストーリー的に緩急に欠けるきらいがあるかも。主人公が頭が良すぎるため、展開が行き詰まることなく早すぎるのか。ユーモア満載、おちゃらけた?雰囲気も、読みやすく良かったのだけれども、ちょっとだけ下ネタっぽい部分もあるのが、他人にお勧めするのにマイナスかな。
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乗り切れない。
いいタイトルだし、リングワールドみたいで背景はとても楽しいのだが、その世界観がわかりにくいまま物語が展開するので、途中で飽きてしまった。再読することにして今回はパスしよう。
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ーーー頭上に地面、足下に星空が広がる世界。
人々は僅かな資源を分け合い村に暮らしていた。村に住めない者たちは「空賊」となって村から資源を掠めとるか、空賊の取りこぼしをを求めて彷徨う「落穂拾い」になるしかない。
世界の果てにもっと住みやすい世界があると確信したカムロギは、
多くの敵と生き残りを賭けた戦いを繰り返し、
楽園を目指す旅を続ける。
小林泰三の傑作短篇を、完全版として長篇化した作品(・∀・)
同名の短篇は『海を見る人』に収録されています。
非常に完成度の高いハードSFやわ(^p^)
いかに生き残るかに全てを賭ける登場人物とそれを裏付ける精密かつ不自然な
世界。
短篇のときは空賊との絡みがメインになるかと思ってたけど
まさか某汎用人型決戦兵器的な存在を手に入れるとは…。
そしてやはり小林泰三、単なる「驚愕のラスト」では終わらせないところもまたいい!(・∀・)
続編ぜひ刊行してほしいなー(^p^)