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犬や猫がいたから何とか生きてこれた、っていうのは、普通に幸せに育った人にはわかりづらいかもしれない。
でも自分を否定しないものの存在が人には必要なんだ。
つまんないなあ、と思いながら読み進めていったけど、結局最後まで一気に読んでしまった。
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ああ、ヤバい…と思った時にはどっと涙があふれていました。
『マロン』という名の犬と出会ったくだりあたりから。
感想をレビューしようと本を開こうとするともうダメなんです。
昭和を生き、時を経てはっきりと見える自分の今までの輪郭を捉えていく
柏木イク自身と関わった犬たちの物語。
風変わりな父母と一人っ子のイクの3人の生活。
褒められることのない両親のぬくもりを感じない生活が
自分を表現し、発する声そのものを出づらくさせてしまいます。
全部自分の中に飲み込んでしまい、
何事にも抗わず受け入れてしまうイク。
そんなイクに刺激を与え、助けるように現れてくる犬や猫。
厳しい環境のようであり、人々の心もおおらかだった昭和の風景。
私も小2から12年間、自分の気持ちを上手く外に表現できない時に
生活し隣で寄り添ってくれていた犬との思い出が洪水のように溢れてきました。
イクの犬たちとの関わり方がとても素敵です。
特に最後の方に出てくる『マロン』と一緒にいるときに
大声で言う一言が…そんな風に思えたことが…涙・涙です。
やはり動物とかかわることは、神様のはからいなんだと思います。
会話ができないもの同士の感覚のコミュニケーションは
深いところを揺さぶってきますから。
ここぞ!という時に天から派遣されてきているんじゃないかと私は思ってます。
巻末に載っているジョシュア・レイノルズ『小さき祈り』の絵に
この物語を直木賞に選んでいただきありがとうございましたと感謝したくなる一冊です。
あの時どうすればよかったのかをずっと探し続けたとしても
イクさんのあの一言のような気持ちになれれば、
どんな人生だったとしてもやはり幸せなんだと思います。
小ずるく欲張りな私は、どれだけ先に進めばそうなるのか見当もつきませんけどね…。
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猫派の自分が言うのもナンだが、犬こそが人間の最大の友になりうるペットだろう。それくらいに犬と人との結びつきは強いものだ。
主人公・イクは、人付き合いが苦手な女性だ。その代わり犬と関わるのがとても得意である。イクは犬を通じて多くの人と出会う。
この作品には、各章ごとにメインとなる犬が登場する(ちなみに各章のタイトルは、当時放映されていた海外ドラマのタイトルだそうだ)。その犬たちを通じて、イクはその飼い主あるいはその周辺の人びとと関わっていく。
攻撃的な人、境遇が全く違う人、悩める人。コミュニケーションが取りにくい人同士でも、犬が間に入ると、驚くほどスムーズに交わせることがある。
犬の話であり、人情話である。また昭和の断面図としても楽しめる作品だ。
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第150回直木賞受賞作
最初、関西の言葉に古風な空気が加わり、小難しい言葉が並び脚注までついているので読みづらさむんむん出てたけど、そうでもなかったです。リズムに馴れればどうってことない。むしろこの類ではかなり読みやすかった。
昭和33年に生まれた柏木イクの幼い頃からの軌跡とそこにいた犬や猫たち。
地味なんだけどとても優しい。そしてこれらを書ききったのがすごいなぁとただ単に思った。
憎しみと孤独と優しさとあたたかさがうまい具合に混じり合ってる、そんな感じ。
すごい、けど好みではなかった。ただそれだけ。昭和の犬っていうタイトルに読後じわーときます。
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滋賀県の話や、昭和30年代生まれの人にしか分からないような話題もあり、共感できた。
「心に愛がなければ、どんなに美しいことばも相手の胸に響かない」聖パウロの言葉より・・・なんて、「心のともしび」を知ってないと胸に響かないかも・・・
犬のことも詳しく書かれており「ある・ある」って感じです。
面白かったけど、なぜ直木賞なのかは分かりません・・・
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直前に読んだのが超駄作だったので、知性を感じさせる文章にホッとしながら読み始めました。
どんな話?と人に聞かれたときに上手く説明できないようなストーリーなんだけど、良かったよ、と推薦できるような本。一見寂しい人生だったような、でもどこか幸せな人生だったような。
他の著書はパンチがありそうなので、早速読んでみたいと思います。
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祝・直木賞受賞!
ちょうど読んでいる最中に報を聞きました。
滋賀県で育ち、家庭から脱出するように東京の大学に入った柏木イクという女性の50歳前までの話。
自伝的小説です。
父親は突然、理不尽に「割れた」ような怒り方をする。シベリア抑留が長く、悲惨な体験をしたのだろう。
そんな夫に絶望している母親もどこか壊れている。
イクは幼い頃はあちこちに預けられ、教会の託児所から移った初めての我が家は、仮設事務所だったので安く借りられたもの。
山中に一軒だけ建つ、「ララミー牧場」の家のようだと思う。
家には迷い込んだトンという黒い犬と、シャアという猫がいた。
シャアは人懐こく優しい気立てだったので、イクは犬と猫の性質を逆に感じて育つ。
身近にはいつも犬がいた。
ただし、当時は犬を飼うといっても、繋ぐことさえするとは限らず、名前をつけて餌をやれば飼っているという。餌も残飯を与えるだけ。
父親は犬に言うことを聞かせることが出来て、それは初めて会うドーベルマンですらそうだった。
(犬が主人と認めるような権威を発散していたのでしょうね)
そんな父のやり方を見ていたせいで、犬の扱いが上手いイク。
何のとりえもないと感じていたが、学生時代に貸間を転々として住んでいるときに大家の飼っている犬の世話をしたり、何かと関わっていた。
就職して住んだ家の大家の初音清香はお嬢ちゃまがおばちゃまになったような女性で、白い小型犬(ビションフリーゼ)のベルに洋服を着せて室内で飼っていた。
そういう犬を初めて見たイクは違和感を覚える。
まだ珍しい時代だったんですね。
だんだん懐かれると、かわいくなってくるのだが。
イクが35のときに父はなくなり、その後5年間は人が変わったように母は明るくなる。
だがその後は病気になり、人が変わったのも病気ゆえの変調だったのかと思われた。
両親がやや高齢だったので介護で往復するのも早い時期からあり、下宿先の初音家に病人がいたせいもあってか、どこか暗い印象を持たれるイク。
子供の頃飼っていた犬ペーにそっくりなマロンという犬に出会う。
思わずすぐに手を出して撫でたら、犬のほうもふしぎと嫌がらない。
連れていた老人が散歩で通りかかる時間を見計らい、10分ほど犬と遊ぶ時間を過ごすことになる。
ある日、ふとこれまでを振り返り、特別でない日々を送ってきた自分が幸せだったと感じるのだ。
父を苦しめた戦争を経験することもなく、平凡に生きてこられた。
そこに犬がいたせいで、父も母も癒されたことがあったのだろうと。
ラストで幸福感が溢れるようになるとは、これまでの淡々として苦味のある描写からは予測していませんでした!
親を見送った後の感慨というのは、実感としておおいに理解できます。
作者とは世代が近く、テレビ番組はわかる方が多いし、犬の飼い方の変化もまさしく!かなり知っています。
作者に比べると生まれたところが都市部なので状況も違い、ずっとのほほんとした育ちなので、申し訳ないぐらい幸せに感じますが(違う苦労はあるに���ても)。
「ハルカ・エイティ」と「リアル・シンデレラ」を前に読んでいます。
どちらも直木賞候補作で、女性の半生記という点は共通。
自伝ではないためか、この作品よりも優しい穏やかな筆致でした。
作品リストを見ると、もっと挑発的で強烈なタイトルが多いのですが、そうでないのを読んだようです。
この作品はやや離れた視点から幼い日のことを眺めていて、その冷静さがいいですね。
感情移入したい人には、あるいはややとっつきにくいのかも知れませんが。
感情がないかのように生きているイクに、実は大きく感情が動いていることが端々に見受けられるのが、読んでいて胸の詰まるところです。
犬のことをべったりと書いてはいないのが、犬を飼ったことのない人には入りやすいのか?わかりやすいのかどうなのか。
猫も犬もべたべた可愛がって育ててきた自分だったら、嫌いな人には付いてこれないぐらい甘い話を書きそうです(笑)
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「リアルシンデレラ」がとても印象的で感動的だったので、前回直木賞獲れなかった時はとても残念だったけど、今回のこの作品を読んで、かつ賞を獲れたことで、なんとなくほっとしている自分がいる。長らく姫野さんのいろんな作品をぽつぽつ読ませて頂いているが、ここ最近の2作品が、わたしにはとてもしっくりくるとともに、姫野さんが書き続けてきたことが、いちばんいいかたちで成熟し、表されているように感じた。
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姫野カオルコさんの本は、初めてでした。
主人公イクが生涯に渡って、関わった犬や猫を通して
描かれている。
犬に馴染みやすいイクを犬を通してリアルに表現を
している。
それでいて、イクも犬もそれぞれのスタンツを淡々と
たもっている距離感が何とも言えない昭和らしさを
感じさせるのだろう。
犬ってやっぱりこんなにも家族を見ているのだと
改めて知らされ、愛犬の目をまた見つめる。
イクと同じく、私も母の病気が発症した時には
20代後半だった。
重なる思いも深い。
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昭和33年生まれの主人公なので、全くわからない訳ではないけれど…入り込めなかった。もともとこの作家さんが苦手という意識があるからかな〜
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「昭和の犬/姫野カオルコ」犬がいつも傍にいたという小説。だけど、劇的にも涙ものにもしない。犬は主の悲しみを理解し慰めたりしない。ただなでたり、餌がほしい。そんなただの犬がいてくれてよかったという話
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内容紹介
辛いこともあったけど、平凡だから、幸せなこと。
柏木イク 昭和33年生まれ
『リアル・シンデレラ』以来、待望の長編小説。
昭和33年、滋賀県のある町で生まれた柏木イク。嬰児のころより、いろいろな人に預けられていたイクが、両親とはじめて同居をするようになったのは、風呂も便所も蛇口もない家だった――。理不尽なことで割れたように怒鳴り散らす父親、娘が犬に激しく咬まれたことを見て奇妙に笑う母親。それでもイクは、淡々と、生きてゆく。やがて大学に進学するため上京し、よその家の貸間に住むようになったイクは、たくさんの家族の事情を、目の当たりにしていく。
そして平成19年。49歳、親の介護に東京と滋賀を行ったり来たりするなかで、イクが、しみじみと感じたことは。
ひとりの女性の45年余の歳月から拾い上げた写真のように、昭和から平成へ日々が移ろう。
ちょっとうれしいこと、すごくかなしいこと、小さなできごとのそばにそっといる犬と猫。
『リアル・シンデレラ』以来となる、姫野カオルコ待望の長編小説!
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技術的にはすぐれているのかもしれないが、私のような凡人にはわからない。そういうスタイルなのだろうが、わかりにくい言葉や言い回しが多く、わくわくもドキドキも感動もない。ストーリーもただ淡々とその時代の犬とのかかわりを描くだけで、ちっともおもしろくない。
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主人公と同年代ということもあり、懐かしさを求めて読みました。確かに、そう感じる場面もあったのですが、入り込めませんでした。
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最初、少し読みづらいと感じましたが、犬の存在が私たちに幸福をもたらしてくれることを、つくづく感じました。よかったです。