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19世紀、ボルネオ島のサラワクに白人王国を築いた英国人ジェームズ・ブルック。
そのブルック王朝は四代(廃嫡にされた人を除くと三代)100年間存続し、太平洋戦争での日本軍の侵攻で終焉しました。
"ラジャ"というのはブルネイ王国のスルタン(イスラム教の世俗君主)に臣従する藩王という意味ですが、ジェームズ・ブルック自身はイスラム教には改宗せず、さりとて現地人たちにキリスト教を押し付けるでもなく、名君として君臨したようです。
七つの海を支配し、世界中に植民地を築いた大英帝国の時代ですが、意外にも英国はサラワクにはほとんど無関心で、領有するのは消極的だったようです。
英国人には過酷な熱帯を統治する苦しみ、英国政府の無関心、白人が現地人を支配する難しさ、後継を巡る一族との軋轢など、ブルックが味わった君主ゆえの悩みが綴られています。
著者の解説形式で話が進んでいきますが、小説のようにテンポよく読み進めるでしょう。
ただし、ブルックの人格にまで切り込んでいますが、それが果たしてどこまで実像に迫っているか?
多分に著者の主観も含まれている気がしますw
ニン、トン♪