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なんと初の重松清作品…遅すぎ。 期待していたものの、こんなにも暗い人とは思ってもいなかった!もっと希望の持てる話を持つ人かと思いきや、ものすごい暗い…篠田節子的怖さとかだけど、でも篠田節子よりも現実味が強すぎる!恐ろしい。でも、もちろん面白いですが、が、暗くてどんどん読もうと言う気には…。でも、文書はとても上手くて、読ませる。
マンションでのいじめを描いた「カラス」 子供を失った夫婦の苦悩「扉を開けて」 夫にも義母にもまともに扱ってもらえない、「みどりさん」を作り上げる20歳の若妻の話「陽だまりの猫」 誰も皆良い人で、ありえる人物たちで、そしてラストは…哀しい。これがもし山田詠美や姫野カオルコだったら、最後に殻を破ってどーんって出発しちゃうんだろうけど、現実をそのまま生きるのだ。彼らは…。 哀しい。でも、上手い作家だ。確かに。と思う。 ちょっと辛い時期には読みたくないね。でも、上手いねぇ・・・。
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『見張り塔からずっと』には、3編の小説が入っている。
「カラス」、「扉を開けて」、「陽だまりの猫」の3作であるが、どれも考えてみると恐ろしい内容である。
サスペンスとか、ホラーとかいう類ではないが、なにか、精神の奥底に、ゾクッとする感覚を起こさせる作品である。
「カラス」は、重松の小説の舞台としては有名なとあるニュータウン。滅び行くニュータウンで起こる人間模様を描いている。
重松は、いじめの本質をいじめる側、傍観者の側の心理をうまく分析して描いている。そこが、天才だなと感じさせる部分である。
「扉を開けて」も設定としては上手い。子どもをなくした夫婦。そして、亡くした子どもと同じ名前、同い年の少年。この少年に抱く妻の感情と自身の感情。
結末はまさにゾクッとしてしまうものだが、とても面白い。
「陽だまりの猫」は、できちゃった結婚をしてしまった若妻が主人公であるが、もう、取り巻きの人物がヒドイのなんのって。ストーリーの本流からは外れてしまうかもしれないが、もし、彼女をはらませたら、自分はどういう態度をとるのだろうと考えさせられてしまった。結末は、読者に委ねる形式だろうか。
この珠玉の3作はぜひたくさんの人に読んでもらいたい。
重松のスタンス、日常を観察する。言うなれば、巷(仮の)で起った出来事を、重松自身が、中心人物を選んで、観察して記していく。そういった心構えがみごとに実を結んでいるように思う。
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苦しいのに、本を読むのをやめられない自分がいた。大人にもある。あたしにもある。保身。そしていじめの誘惑。
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雑誌記者として出版社に長年勤めてきた重松清さん、様々な社会現象を目の当たりに「目撃」してきた自分自身のことを、見張り塔にいる哨兵にたとえている。
そして、われわれ読者もその断片を本書以後の彼の作品を通して「目撃」させられることになる。
3つの短編で成り立つ本書は、以後の重松作品の方向付けをしていると思う。
ニュータウンでひそかに行なわれる主婦間のいじめと、その流れ玉を浴びる夫たちの話、「カラス」。
1歳で亡くした息子と同じ歳、同じ名前の子供が、夫婦を悩ませる「扉を開けて」。
姑に見放され、マザコン夫には邪険に扱われる若妻は、18で結婚した。世間知らずとののしられ、その存在さえも消し去られる「陽だまりの猫」。
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中年夫婦の視点に立った作品。評価は高いらしいのですが、個人的にはあまり好きになれなかった作品。暗い気持ちになるのは請け合いです。
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発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。
三篇からなる中篇集。心理サスペンス系です。こ、怖かった・・・!
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我々の世代にとっては、とってもイヤーな
話ばかり書いている重松清さんですが、
読了感が悪くなく、むしろさわやかなのが不思議。
でもマンション買うのをためらっちゃいますね。
これ読んだら。
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重松清のかなり初期の作品です。3篇共に家族の閉塞感が淡々と綴られています。Focusが曖昧な感じがして、もうちょっとthemaを突っ込んで欲しい気がしました。同年代が主役で、その点ではリアリティを感じやすかったです。
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3つの家族のお話。どれも人間の怖さが出ていてビクビクしてました。重松さんの作品初挑戦!
07/10/04
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様々な問題を抱える夫婦の短編3作が入ってます。
バブル時代に超郊外のニュータウンを高く買ってしまった夫婦が、近所の人たちと一緒に、後から来て値下がりした部屋を安く買った夫婦を虐める話。
幼くして亡くなった我が子と、いつも家の前でサッカーボールを蹴る同じ名前、生きていれば同い年の子どもを重ね、狂っていく夫婦。
超マザコンの夫と鬼姑の仕打ちをどこか第三者的な眼差しで見ることにより耐える若妻の話。
重松清得意の壊れてしまった家族の話、結構好きです。
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団地内いじめとか子供を亡くした夫婦やなんかどろどろしてます。特に団地話がコワイ。絶対現実にありそうと思わされる。
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このころの重松清の小説は、
見たくないからと目をつぶることを許してくれない、
そんなホラー映画と似ている気がする。
すごく怖くて、見ているなんて耐えられないのに、
それでも目をむりやり開けられて、
一部始終を凝視してなければいけないような、
そんな感じ。
一話目の『カラス』は、
高い値段で購入した振興住宅地が
バブルでどんどん値下がりしていくなか、
手にしたはずだった将来の夢が
どんどん色褪せていく様子を描いていて。
二話目の『扉を開けて』は、
突然死で息子を失った夫婦の苦しみと、
狂気に滑り落ちていく過程が
すっごくリアルに描かれていて。
状況そのものが悲しいんでもなく、
登場人物に感情移入してつらいのでもなく、
ただ、日本のどこかにこういう人たちが確実にいるんだぞと
目の前に突きつけられて、それで終わり。
結論めいたものは何も用意されていなくて、
ただその過程と、逃げ場のない日常だけが描かれている。
その事を考えなくても生きていけるし、
目をつぶってやり過ごすこともできるのに、
重松清の小説はそれを許してくれないの。
だから、読むのがとってもしんどい。
石田衣良の『約束』も、同じようにこちらに向かって
どう考えるんだ、と問題を投げてくるような小説なんだけど、
石田衣良は答えを用意している。
自分はこう考えるけど、とヒントをくれる。
重松清はそれすらなくて、読んだあとはほんとにしんどい。
悶々と考えちゃって、こうやってアウトプットしないとやってられない。
でもついつい読んじゃう。
ホント、これ以上ないくらいテンション落ちるのにな。
不思議だ。
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重松清さんの作品の中では一番リアルでシビアな話が多かった。その分感情移入をしてしまいました。カラスはどんどんマンションの値段が下がってきて、安く買って引っ越してきた人を住民皆がいじめ抜くはなし。旦那さんの視点から書かれてるんだけど、とにかくその旦那さんが恐ろしい。男でもこんな小さい人いるのかな、いるんだろうなーでも自分が苦労して働いて買った家だし、分からなくも無かったりでそこが複雑。扉を開けては半年で子供を亡くした夫婦の葛藤。正直余り気持ちは分からない。親になれば別なのかなぁ。みどりさんの話は憤慨!マザコン旦那がまだ20歳のみどりさんをとにかく傷つける・・みどりさんは「バカ」になってもうひとりの自分だと信じていくんだけど最後その母親の死で爆発しかけるんだけど上手くいかない・・・本当悲しいとしか言いようが無かった。
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昔むかーし、重松清にハマっていた時期がありました。
「見張り塔…」は、中3の時に買って途中まで読んで投げ出してしまった本です。
当時の記憶というのは曖昧なのでよく覚えていませんが、読んでいて陰鬱な気分に耐えられなくなり、放り投げたのを覚えています。
それ以来、トラウマ本として自分の中で消化不良のまま残っていました。
今回、間もなく社会の荒波に飛び出るわけだし、読みなおしてみるのもいいか、と再チャレンジした次第であります。
なんでしょうね、読んでみて何となくだけど、当時の心境がよみがえってきました。
3番目に収録されている「陽だまりの猫」が、自分の限界点だったはずです。
どこかしら、「信雄さん」と「おかあさん」に、自分と自分のお袋の将来像を重ねていたような気がします。
まぁ、今にしてみると、私と母の関係は、こんな生真面目マザコンチックなものではないと、冷静に見れます。
三篇読みとおしてみて、「まぁこういうこともあるよね、世の中」と思えるようになったのは、それだけ私がオトナになったということでしょうか。
「ナイフ」なり「エイジ」なり含めて、重松清の「家庭小説」てのは、当事者としての中学生には変に刺激が強かったんでしょうね。
不安定な時期に、不安定な同世代の登場人物とか家庭とか描かれたら、たまったもんじゃありませんよ。
いずれ家族ができれば、親の視点とかで重松清の作品と向き合うことになるのだろうな、とか思いました。
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人間の怖さを書いた作品。
なんかホラーものなんかより全然怖い。。
カラス、カラス、カラス・・・