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私この本すごく好きです!!
主人公が7カ国語が完璧っていう点は現実味に欠けていて違和感があったけど、宗教や思想、文化のようなその土地特有の色と謎が合わさって、「異世界」の感触のようなものが感じられる。異文化や得体のしれないものに対する漠然とした不安に触れてみるのも面白いと思った。
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収録された5編とも、すべて海外の別々の国が舞台で、7か国語を操る日本人旅人の斉木が遭遇する事件を描いています。
舞台となった国、その地域の社会事情が(我々日本人にとって)意外な犯行動機を生み出しており、フーダニットやハウダニットというより、ホワイダニットの面白さが顕著だったと思います。
語り口は静かでありながら、不思議な余韻の残る連作短編集でした。
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国際情勢に関する雑誌を扱う会社のジャーナリストの青年が世界で出会った出来事をまとめた感じにしたフィクション短編集。
舞台は
サハラ砂漠。スペイン。ロシア西部。南米アマゾン。東ティモール。と多岐に渡り、世界を旅する感覚を味わえる。まあフィクションなんだけど。
起きる出来事は大体人の命に関わること。
命に対する価値観の違いを妙に描いている。
不完全燃焼の部分もあるけど、なかなか面白い。
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世界が舞台のミステリ短編集。創元推理文庫にふさわしい文体。こういったゴシック的なミステリー小説を読むのは久しぶりだった。前半の短編は好みだったが、残念ながら表題になっている2作は好みのものではなかった。
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コロコロと実に他愛もなく叙述トリックに引っかかる。コロコロ。
自分の先入観というか頭の固さを知らされる。
主人公同一の連作短編集だが、主人公は『学校怪談』の山岸のような扱われかたをしてる。
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本格ミステリアンソロジーで「凍えるルーシー」をよんで、際立って素晴らしかったので購入。
新人さんだとはおもわなかった。少女小説をずいぶん書き慣れて、ミステリに移行した人なのかなというくらいの印象でした。
すごくよくできた一冊。
迷わず周囲に薦めたい。
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世界を又にかけるジャーナリストの斉木が各国で遭遇する事件の連作短編集です。
その場所でないと成り立たない舞台で、その場所故の価値観により起こる事件の数々。納得するには場所の描写が欠かせません。色や空気感の表現にかなり力を入れているのは分かるのですが、抽象的なイメージで止まってしまって、そこから想像ができませんでした。動機についても、その場所特有の考え方により起こしたというよりは、大した理由なく被害者が増えていくミステリに慣れてしまっている読み手からすると「こんな理由でも殺せるよね」と作られたもののように感じられます。砂漠の事件では本筋と関係ないところで疑問が残り、スペインの事件ではトラップをあちこちに仕掛けすぎているのが目につき、さらには文章や言葉の使い方などに違和感を覚え、これは外したかなぁ?と思ったのですが。
偉そうな言い方をさせてもらうと、後半の「叫び」と「祈り」で一気に化けました。著者が言いたいのはこれだったのかと。よくぞこの流れを作った。自分が自分である以上、どうやっても求めずにいられない理想や希望を追っていこうとする、まるで著者の決意表明のような二章でした。
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以前読んだ短編が良かったので読んでみた。なぞが解き明かされると同時に、登場人物達の考え方や在り方を考えさせられる。さまざまな舞台でいろいろな民族の考え方を肯定した上で、彼らのルールに則った出来事を語る作者の想像力はすごいと思う。
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今作が梓崎優氏のデビュー作である、これには驚く!凄まじいまでの完成度、Twitter上にて行われた短編ミステリ・オールタイムベスト50に、このデビュー作の中からなんと2作品が入選している。(さらにもう1作が入選しており作家としては3作品)「砂漠を渡る船の道」は、なんと3位である。並み居る大家の煌く傑作たちとすでに肩を並べているのだ。
日本人の若者斉木が、さまざまな国々で遭遇する事件を描いている。ほとんどに殺人が絡み、謎解きの主眼を「why」においているのが共通項である。舞台が海外であるがゆえ、日本人の我々にはおよびもつかない「why」があり異文化の衝突と相互理解も、作品の骨組みとして重要項となっているようだ。
個人的にお気に入りは「白い巨人」であった。白い巨人(ヒガンテ・ブランコ)と聞けば判る人は判る挑戦的タイトルである。日本が世界に誇る劇画「ゴルゴ13」に同じタイトルがあり、しかもミステリ色の強い、それでいて叙情に富む佳作なのである。
果たして梓崎作品の「白い巨人」も負けるとも劣らぬ良作であった。人体消失を描いており、歴史ミステリにも波及する。さらに若い二人の男女が思いを寄せながらも離れざるをえなかった「why」が見事な筆致で綴られ、そこに作品共通項の「異文化との衝突」があり、希望に溢れた未来を予感させるハッピィエンドがあった。
今後が非常に注目される作家さんとの出会いとなった今作に感謝したい。
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独特な雰囲気を持った文体であり、とても新人とは思えない上手さを感じる。殆ど純文学(純文学など読んでいないけれど)のような感じだが、読みずらさがなく、情景描写もとてもリアル。
人間の極限の心情がテーマだと思うのだが、発想が独特でとても新鮮に感じられた。
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描写、構成、文章が緻密で濃厚。短編の一編一編がエスプレッソコーヒーの味わいのような。
短編で描かれるシーン以外の部分を想像させる奥行きもいい。
文章は抑えめで理性的。それでいて詩的でもある。
ミステリの連作短編というと、一話完結のTVドラマのような物足りなさを感じがちだが、これは世界観を楽しめた。
基本的には密室のような限定条件下の殺人ということになる。不可能な密室殺人ではなく、条件的に限られた場所で、複数人が介在し「この中に犯人がいる!」というもの。
その「密室」の作り方が良い。
広大な砂漠、どこかに誰かが潜むはずのないあからさまな場所。少人数の隊商内で起こる殺人。
霧に包まれたロシアの正教修道院、または町から数時間かかる熱帯雨林の少数民族の集落。
「こういう理由と条件があるから、ここには誰もいないはずだ」という無粋な説明はない。
ただ、他に人はいないんだということを感覚的に知らせてくれる。
「こういうやりとりがあったから、あの人があやしい」という余計な情報もない。
ただ、そこにあった感情の動きが後で知れる。
短編だから、何もかもは説明しない。けれど、そこに余白の美を感じた。
作風が好みだったので★5。
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ミステリーとして秀逸なのかなぁ。ミステリーに熱心な読み手ではないので、その辺の評価はできないので、そこは割り引いて考えても、なんだかどうにも期待外れ。
(ネタバレ)
5作品中、後半2作が描き下ろしでタイトルが「叫び」と「祈り」そこまでで、主人公は散々な目にあってくるわけである(1作除)。ほんなら最後の「祈り」では何かが収束すると思うやん。ましてそれを思わせる展開をしてるわけやし
期待は見事に裏切られる。ドンデン返しなしのフワフワな状態でおいてけぼりにされた感じがかなり寂しいぞ。
勝手な思い込みをしてた俺が悪いんやろうけど、もうちょっとこう、腑に落ちる終わり方するか「祈り」の作風を変えて欲しかったなぁ
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七ヶ国語を話す斉木の旅、遭遇するサスペンスと推理。
砂漠を走る船の道 サハラ砂漠塩の道
白い巨人 スペイン風車
凍れるルーシー ロシア正教会
叫び 南米エボラ出血熱
祈り
TSUTAYAおすすめで購入。
情景描写から本当に旅してる気分になれる。
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2011年本屋大賞6位
社会派雑誌の記者が各国で遭遇するミステリ。
砂漠、スペイン、ロシア、アマゾンとイメージ通りの異国に出会えるので、現実逃避するには良いかもw
ミステリは凝ったものではなく、筆者が伝えたいことを表現するための道具となっている。
美徳や道徳といった価値観を図るのに「日本のものさし」しか持っていない人には、この作品はどう映るのだろうか…
そんなことを考えちゃいましたw
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広い世界の広い価値観をふんだんに利用したミステリーです。
海外の描写がとても丁寧だったので風景や様子が目に浮かぶようでした。
非常に独特な表現かつ鋭い言葉が非常に魅力的です。