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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代より様々な国から影響を受けてきた日本が江戸期に整理発展してた思想を集約させている。人物を中心に思想内容までも解説。
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大学受験などで日本史を選択したものなら、お馴染みの名前、中江藤樹、山崎闇斎、熊沢蕃山、伊藤仁斎、荻生徂徠、貝原益軒、宮崎安貞、新井白石、安藤昌益、本居宣長、富永仲基、三浦梅安、司馬江漢、海保青陵、本多利明、佐藤信淵、平田篤胤、etc...。それらの思想家の大まかな思想を、大まかな時代の流れ・系統を整理しつつ紹介してくれる。
受験用日本史だとほんの数行の特徴と生存した時代、代表的書物名くらいしか覚えてなかったりしたので(あるいはもうちょっと勉強したような気もするのだがきれいに忘れたので)、「名前は知ってるけどどういう人かは詳しく知らない故人の親戚」の話を聞いているようで楽しかった。
また、この本が示した江戸時代の思想の胎動、大まかな発展の流れも、中々興味深いし、納得がいくものだった。中世の、他力中心の仏教から始まり、知識人はより内面を見つめようと禅を学ぶことから始め、禅を越える可能性の模索として朱子学が注目される。時代が下るにつれ、その朱子学も文献学上発生経緯上また内容上の批判に晒されることとなり、様々な日本独自の視点が生まれ、国学なども登場していくこととなる。さらに江戸後期末期の都市部独特の物の見方、蘭学の登場、国富論、海外からの国難に当たって改めて日本の政治制度の正統性が問題になっていく姿。面白かった。
不満を言えば、平田篤胤に関する記述論考の貧弱さくらいかな。これだけの内容を薄い新書本に詰め込んでいるのだから、やや不当な不満かも知れんが。この本はあくまでガイドブック、入り口で、興味があればそれぞれの思想家の専門書に当たるべきなのだろうとは思う。
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明治、敗戦、高度経済成長と経験してきた日本の現代でもその文化風習、習慣には江戸のながれを組んだものが多く含まれている。
江戸を考える時にまず≪人と人の繋がり≫≪イエ≫を見つめる必要がある。骨格には朱子学を中心にした儒教がある。これも人と人との繋がりをどうみつめるかであった。伊藤仁斎、荻生徂徠しかり。
そこに内憂外患で蘭学の発展で国家が真に公共的国家であるための政治的・思想的要件を探求した。アジア(中国)からの脱皮、西洋の取り込み。
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あとがきにあるように、大学での講義ノートが元になっており、儒教・仏教・蘭学・国学など、江戸期に登場した百花繚乱のごとき思想家たちを網羅的に解説していて、入門書としては格好だろう。
その中で著者は、伊藤仁斎と荻生徂徠、それに本居宣長、この三者に紙数を割き、やや詳細に説いている。
私には、ごく短い紹介ながら、弁証法ともみえる三浦梅園の方法論への解説、画家でありながら地動説など蘭学的知識の普及に務めたという司馬江漢のこと、「西域物語」を著した本多利明がカムチャッカ国家建設を企図提唱したこと、などの知見が耳新しく印象に残った。
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江戸時代にあらわれた諸思想を概観する。各思想家の紹介は短いが、それらが、江戸の思想の中でどのように位置づけられるかを、わかりやすく説いている。特に、各章の冒頭と結びの部分の指摘は、頭を整理するのに役立った。
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江戸時代の様々な思想を、<人と人との繋がり>のあり方から整理し、通観した本。江戸時代を世俗の秩序化の時代ととらえ、そこから近現代の我々と共有される問題を導き出そうとしている。世俗の秩序化は、イエ、出版(江戸時代は紛れもなく<書物の時代>である)、商品・市場、「日本」意識、性・差別といった場面で現れる。
取り上げられた思想家は数多く、一人ひとりの思想家に割かれる紙幅は多くないので、その分、いささか教科書的なところもあるが、著者の最初の問題設定にしたがった大きな軸に沿って位置付けられており、理解がしやすいように思う。
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≪目次≫
序章 江戸思想の底流
第1章 宗教と国家
第2章 泰平の世の武士
第3章 禅と儒教
第4章 仁斎と徂徠①-方法と自覚
第5章 仁斎と徂徠②-他者の発見、社会の構想
第6章 啓蒙と実学
第7章 町人の思想・農民の思想
第8章 宣長ー理知を超えるもの
第9章 蘭学の衝撃
第10章 国益の追求
第11章 篤胤の神学
第12章 公論の形成ー内憂と外患
第13章 民衆宗教の世界
おわりに
≪内容≫江戸時代の儒教、国学、洋学の人物を紹介したもの。このあたりは、なかなか深みが得られないところなので、そこが補充される感じであった。
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全然本論と関係ないのですが、あとがきの最後に「徳川思想小史」の著者、源了圓の話がちょろっと出てきて、特別思い入れがあるわけではないのに、うるっときてしまった。
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学生のときに日本史用語集で時期と名前と著作を延々と暗記していた
固有名詞が色鮮やかに立ち上がってくる。
その思想は世の中をより良くするための思想で満ちている。
主に儒学・朱子学をテキストとして実に様々な批判や改良を試みて独自の思想を築いている。
どうしたらより正確に判断できるか、どうしたらより便利で豊かに暮らせるか。
現世におけるそのような思いが詰まっている。
誠実なプラグマティズムとでも言いたくなるほどに。
豊穣な近世の格闘を知らずに明治以降の思想を知ることはできないというのは正論だ。
近代的な輸入物である民権、自由、平等、憲法などが比較的短期で理解され定着したのは、
それもまた現世に対する思い入れの深さという点では近世と同じだったということだろう。
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丸山眞男講義録(一)の補完として読了。
江戸時代というか、徳川幕府の政治思想の根幹が、
盤石な様でいて実はたくさんの課題を抱えていたことは興味深い。
また、戦国時代が終わった後の
武士の役割、在り方の変容の過程はもっと知りたいと感じた。
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特に心に残ったのは二宮尊徳。これといった強力な宗教や思想があったわけでもない日本で、人々を労働へと導いた二宮。彼が用いたのは「暴力」でも「宗教」でもなく「言葉」であった。
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江戸時代の思想史を概説している入門書です。
本書の冒頭では、応仁の乱以後の日本を連続的なものとして捉える内藤湖南や網野善彦の議論が参照されています。中世の日本人が異界に近しい生活を送っていたのに対し、近世に入ると社会が安定し世俗的な秩序が整えられるようになります。江戸時代の思想は、そうした社会的条件のもとで形成されていきました。本書では、朱子学の諸概念がこの時代の思想を明確にすることに役立ったことを指摘しつつも、近世以降の日本人が直接的に触れることになった問題を、江戸時代の諸種の思想のうちに読みとっています。
同じ「中公新書」には、伝統的な思想のなかに土着の近代性を見るという立場をとる源了圓の『徳川思想小史』があります。本書は、源とは異なる観点から日本近世思想史の全体を見通すことのできる、優れた入門書だと思います。
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江戸時代の思想の博覧会。朱子学から国学、蘭学さらに天理教などまで及ぶ。どこかで聞いたことくらいはある思想、人名が多いのだが、改めてこうして総ざらえにされると、江戸の世に百花繚乱の思想があった様がよく分かる。あとがきに、思想に寄り添いすぎて批判的に読むのが苦手、と記してあるがたしかにその通りみたいで、正反対な志向を持つ思想を取り上げてもそれぞれの長所を誉めてしまう。厚くはない新書にこれだけ幅広く詰め込んでいるので細部の突っ込みはあまりないのだが、初心者には好適の見取り図。てんこ盛りすぎて消化不良のきらいはありますが。
元禄ルネサンスなんて言葉をどこかで聞いた記憶があるが、この様子にはルネサンスを思わせるものがある。戦乱の中世を抜けて、はじめは武士のあり方を模索したりしているが、やがて都市に文化が花開く。仁斎や徂徠は、朱子学を突き抜けて孔孟に帰ったという点で古典復興と呼べるだろう。徂徠や富永仲基、吉見幸和のテキスト分析の実証性や白石にみられる合理性、古いドグマを振り払って蘭学等々の実学が生まれるのもルネサンス的と思える。
だから何なのか?都市で束縛の少ない、より匿名的な社会関係が生まれると思想もそういう方向に向かうのかも。本書は序章でそういった社会条件を列挙しているが、そこと思想の関連性をもっと問うと面白いかも。
宣長のニヒリズムには魅力を感じるが、国学の自国中心主義はさすがに少し鼻白む。さらに神がかった感のある篤胤がもっとも多くのフォロワーを各地に残したというのは面白い。天理教などの新興宗教をあわせ考えても、分かりやすさ、受け入れやすさは重要な要素だと分かる。
中国・朝鮮との比較。大陸では儒学が官学で、科挙により儒学者が支配者層になる。日本でも官学は儒学だが、支配者層は武士で別に必ずしも学問をやっているわけではない。儒学者は在野に多くて、そういう層から新しい思想が生まれる。儒学に限らないが医者が多いというのは興味深い。
横井小楠のワシントン褒めとか面白い。
経験主義的な白石や玄白をやっぱり近しく感じます。
徂徠は、その主張はつまらなく感じるが、方法論がすぐれている。そういうのもあり。主張だけ言うなら仁斎の方が腹に落ちる。
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江戸時代を通じて、儒教・朱子学・陽明学・国学・蘭学などの重要人物、キーワードなどを説明してくれる一冊
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そのタイトルに劣らず、近世日本思想史を適度なバランスで幅広くかつ、十分な分量で概説してくれる良著。仁斎の愛、徂徠の道など、もっと勉強してみたくなる本である。一番の収穫は平田神学の中で、のちの柳田民俗学に連なるような祖先の霊魂の話が出ていたことであり、国学と民俗学の系譜という事で、興味深く読んだ。各論はいつ見ても参考になると思うのであえて触れない(!)