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≪目次≫
第1章 都立中高一貫校の構想
第2章 都立中高一貫校の誕生
第3章 10校の都立中高一貫校と九段中等教育学校
第4章 都立中高一貫校の現実とその矛盾
≪内容≫
中高一貫校の様子を知りたくて購入。ただ、前半は役に立たないかな、と思ったら予想通り。まとめてくれているが、都が外部に見せている資料を並べている。一部内部的な感想も盛り込まれているが、著者が当初からここに関わったわけではないので(適性検査の作問もしていない模様)、部内の関係ない人の感想程度。4章は問題点を提示しているが、都立の場合かな?という部分と、中高一貫校でなくでも、現在の高校内部は同じだなという、安心感(?)を感じただけ。
著者が先生を止めていたことと、九段校が「千代田区立」だったことが驚き。
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都立高校改革の中で、目玉の一つであった都立中高一貫校。内部の人間であった作者が、経験を踏まえて書いている。私のところにも漏れ聞こえてくる噂があるが、ほぼその通り。教員の勤務状況は過酷だということらしい。ただ、生徒・保護者の側から見れば、質の高い教育サービスが受けられるということも意味しており、都民のニーズには合致しているのであろう。都内は私立中高一貫校の数も多く、その役割分担をどこで線引きするのかという問題は、ますます難しくなってきている。教育内容なのか、進学指導なのか、それとも・・・!?
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実際に都立の中高一貫校で教えていた先生が書かれた本。都立一貫校は入試の倍率が高く人気があるが、だからといって難関大学合格にも有利というわけではないようだ。
大学受験には関係ないかもしれないが、白鴎高校の伝統文化の授業などは面白い試みだと思う。
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都立中高一貫校が今、大変人気である。
でも、本当にいいのか? という思いもあった。
そんな思いに答えてくれた本である。
いいところもたくさんあるが、
・教員の質の問題
・生徒の中だるみの問題
・学力試験を行えないということによる弊害
などなど、問題も多くあるのだなぁと思った。
よい点と悪い点をはかりにかけて、どう考えるか。
それが問題。
著者は長く東京都で教員をしていただけに、内容が具体的でわかりやすかった。
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2005年の白鷗高校・付属中学を皮切りに、都内にできた11の中高一貫校が「ゆとり教育」の一環として生まれたこと、都立高校復活を目指したものであったこと、しかしエリート校を作る目的ではないとの理念の下、入試は学力テストを実施できない制約の中で、適性検査(思考力、判断力、創造力などを問う)を実施し、この問題作成・採点が極めて厳しいものであったことなど裏話の数々。生まれる背景となった中教審答申を読むと今の大学改革で言われていることがそのまま!その中で大学入試実績の向上が見られ成果が出つつあるものの、有名私立中高の滑り止め化してきたこと、教員の過酷な労働環境による退職・私学への引抜きの増加などの課題が出てきている。そして私自身の娘の出身校・三鷹高校(三鷹中等教育学校)もまたこの一つとして2010年にスタートしたということが嬉しく、将来が楽しみ。
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結局いいのか悪いのかよくわかりませんでした。あと3年後くらいに読むと切実になって真剣に読むかもしれません…
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中高一貫の特色、利点、弊害が分かりやすくまとまっている。かつ私立や他の公立との比較も多く、納得のできる内容である。今後、子供の進路を考えていく際には重宝する情報だ。
早期に選別し、長期的・継続的に、限定された環境で子供を育てることには大いに違和感を感じている。
確かにその方法で私自身が育っていたらより学歴のよい人間になっていたかもしれない、だがそれだけではなかろうか。あの大学入学前の3年間は高校時代を無為に過ごしてしまった私を一気に変えたとても意味のある時間だった。
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[墨田区図書館]
本当はもう少し「都立中高一貫校の内情(校内環境、違い)」を知りたかったんだけど、どちらかというと「都立中高一貫校の成り立ち」的な書物だった。
内容としては近年もてはやされて人気もあがっている?都立中高一貫校が本当に期待するほどにいいのかどうか、それどころか下手に小卒で進路を決めずにしっかりと実力と意志を決めてからしかるべき高校を選んだほうがいいのでは、という批判?に近いもの。ただ、都立中高一貫校自身を否定したり卑下しているわけではなく、どちらかというと、都立中高一貫校の成長のために、警鐘を鳴らすために一石を投じた本、といった感じ?
読み直しナシの記憶違いや誤解ありかもな状態で簡単に流れをまとめると、本来中高一貫校はゆとり教育の一環として提唱され、設立当時は現在とは逆に、緊張感のない6年間から中だるみをしてしまう環境なのではと、入学志望者がさしていないほどだったこと、けれども白鴎の第一期卒業生が現役5人の東大入学者を輩出したせいで、一気に設立当初とは真逆の、現在の流れに続く「私立のように先取教育可能なのに安く済む進学校」としてのステイタスが確立されたことが紹介されている。
ここまではどちらかというと現在の私たちが知らない、いわば過去の話。そして「先」しか見据えていない私たちには、正直その経緯はどうでもいい話。けれども「進学校」として評価し先を期待していこう、となったときに、それまでの経緯で顔を覗かせた「公立校ならではの弊害」が成長の足かせとして浮き彫りにされてくる。具体的には、「中高一貫」とまとめたことによる教員手配の大変さから始まり、横連携の取れていない「教科ごと」での対応による、各教員の大変さ(特殊な授業が指導項目に入ると、現場の一教員レベルが貧乏くじをひく、進路がからんだ年などは面接だけでも大変、中高一貫のため高校での変化がなく保護者の距離が近すぎる)、教科間での足並みが取れないことでの生徒の成長のアンバランスさ(補講などは教諭ごと、但し主要三教科が熱心すぎても生徒は連日の補講になったり、その他の教科がおざなりになったりする)、高入生がいると入試問題の作成もある、など。
但しいずれも「教師側が大変だからサポートしきれず内容が薄くなる」と言いまとめられる節もあるので、教員次第だろう、システムが違うとはいえ、"大変さ"が生じる作業自体は私立も同じ分だけ発生しているだろう、と言えなくもないが、結局「中高一貫校」が、土俵が同じはずの「有名都立高校」に追いつけない理由としてはわかる気がした。確かに教員の大変さという裏側を見なくても、中学で実力をつけてやる気も備えて高校入試で上位校を狙う、という方が、より大学入試でも良い成績に結び付けそうだ。
ただ、本書で最も私にとって意味があったのは「本当に都立の中間一貫校はお買い得なのか(P.180)」だった。常日頃、対象校のトップの成績以上に、「大半」がどのレベルで卒業するのか、「下層」がどのレベルにしかいけないのか、を意識してきた私にとっては、正に欲しか��た情報の一例だ。白鴎ショックで有名な一期生の合格大学数を見ると240名のほぼ全員がGMARCH以上に入学したように見えるが、実際は20%が浪人だったらしい。それもGMARCH以上に受かってはいるがそれ以上を、という"上を目指した"浪人は殆どおらず、5%弱は短大・専門学校などで、現役合格の半数程度も日東駒専同等かそれ以下の大学だという事実。つまり半数以上は現役でGMARCH以上への合格ができなかったということだ。そうではないかと思っていた事実が、この本を読んで実証された形になった。更に数ページだけ書かれた著者の目からみた他の都立中高一貫校のカラーの中で、両国に対する記述も、やはりという実感が思えた。
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都立中高一貫の設立経緯やら理念は分かった。がタイトルにあるように10校全部を掘り下げているわけではなく、白鷗が8割、小石川1割、残り全部で1割くらいの配分。
しかし、これ読むとあまり都立一貫の効果は期待ほど無いということのような気がしてならないんだけど…
教員の質が落ちてきているのは致命的だよね。今もそうなのかな。
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2024年3月25日読了。中学受験に取り組んでいると気になる「都立中高一貫校」の歴史と実態について、白鷗で教員を務めた著者が解説する本。「学校群制度」という悪名高い受験制度により没落した都立中高の地位の復権、というテーマと「受験競争の過熱を抑え、ゆとりを持った6年間の教育を行いたい」という教育委員会の希望と「高い大学進学実績を持つ学校にしたい」という周囲の野心が噛み合わず矛盾を引き起こしているのが都立中高一貫校、ということか…。タダに近い授業料で質の高い教育を受けられる、といいことずくめに見えるが、公務員に近く低い給与の教員に半端ない残業を強いて離職率も高い、など、永続的な仕組みではない・学力のある子どもはいいが授業についていけなくなったとき適切なサポートが受けられない懸念がある、ということは非常に気になる。いまの社会では、資本主義に乗らない仕組みはうまく働かないんだよな。あとがきの著者の養護学校でのエピソードには希望を感じる。