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投稿者:くりんぐりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この事件をニュースで聞いたときの衝撃は忘れられそうもない。
子供を閉じ込め、蒸し風呂のような室内で餓死するように放置した母親。
インターホンから子供の声を聴いても何もしなかった住人(通報したひとはいるようだが)、対応はしたものの、助けられなかった行政。
生活保護にタカりに来日する外国人がいる一方、公的扶助の存在を知らない、利用し方を知らない若い母親。この本に書かれていることが本当なら、離婚した父親とその家族の対応も少々信じがたいものだ。
当方の周囲にはそういう人がいないからなのか、ベビーカーに赤ん坊を載せ、もう一人の幼子の手をひいて風俗の面接に行ったという話にはただただ驚くしかできない。しかもそれが決して珍しいことではないということで、さらに驚き、その上、そんな母親と面接したあと、即、性行為をした風俗店店長……。二人の子が最中にどうしていたのかしらないが(まさか預けたわけではないだろうから、そのままホテルにつれていったのか?)、よくもまぁできるものだと感心してしまう。
子供の死体を確認したあと、男を呼び出し性行為に及んだ母親。
最後の方で、風俗産業の価格破壊について書いてあり、それに対して「いらない」「蛇足」だというレビューを目にしたことがあるが、当方はこれは必要だったと思う。
かつては、女の最終的な行き先として風俗があった。
そこに身を落とすことは、本当に最後の手段だったが、女性の供給が少なく、男性側の需要が多かったので、女性は高給を手にすることができ、生活ができた。
しかし、今では価格破壊が進み、垣根を超える女性が増えてきた。結果、苦界に身を落としても、子供をかかえながらまともな生活ができるだけの収入が確保できなくなるという負のスパイラルである。
読み終えて、この事件はどうにも防げなかったのだなという印象を持った。
亡くなった二人の子がただただかわいそうだった。
どうしようもない父親、母親はこれからも出てくるだろう。
虐待死を少しでも食い止めるためには、育てられないと思った親から子供をできるだけ早く隔離することくらいしかできないだろう。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代日本の貧困問題の一つとして、小児虐待の問題が大きいことがよくわかりよかったです。現場に密着しているので、素晴らしかったです。
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大阪で起きた2人の子供に対するネグレクト事件を扱っている。丁寧な裏づけ取材を元にかかれた良書。
子供が餓死してしまった要因は色々なところにあるのはわかるけど、子供の無念さを考えると、懲役30年は軽すぎると思う。
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どの段階・分岐点なら最悪のシナリオを避けることができたのだろうか。悲劇を繰り返さないためにもここから学ばなければならない。
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大阪市で起きた児童放置致死のレポート。なぜ、まわりが手をさしのべなかったのか。彼女の問題性に気づいていた人間は多くいたはずなのに。
いろんな困難を「知らないこと」にして、ネットSNSで自分の姿を書くというところに、「自分探し」の行き着く先があるような気がする。
著者の杉山さんとはお知り合い。今度、詳しく中身が聴けるのが楽しみです。
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幼い子供二人の置き去り餓死事件。母親の生育環境が詳しい。「遺族の処罰感情」を加味して懲役30年が確定したことには目を疑った。無力な母親に押し付けたのは自分たちではないか…。報道を詳しく追ってたわけではないけど,周囲の責任が大きいと感じた。母親の嘘言癖もその結果であり,行政介入の余地は乏しかったようだ。
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子育てのある時期、孤独で辛いと感じることがあることを思い出した。例えば六本木のミッドタウン、ヒールでマクラーレンのベビーカーを押す母親を見る時、孤独や不安が透けて見える。アナウンサーの妊娠さえ話題になり、子育ては一種のファションとなっているけれど、現実は地味で忍耐のいることだと私は思う。振り返ればかなり危ないこともあった。一歩間違えば、自分がネグレクトの母親だったかもしれない。いろいろな人に支えられてここまで来た。支援が届かなかったことに対して、行政を責めるのは簡単だ。行政が機能しない構造的な原因を探り改善するべきだ。消費税を上げるなら、そういうことに使ってほいし。(話が飛躍した〜σ^_^;) あと…この本、文はあまり良くない。文章にねじれがあって読みにくい部分があったなぁ。
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無責任な母親が子供を置き去りにして餓死させた、なんて単純な事件ではなく、問題は家族、環境、ひいては社会にもある。
単に母親を懲役刑にしただけでは、同じような悲劇が起こる可能性があると思う。
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虐待死事件の背景を多方面から探っている。
「母親だけが悪かったのか?」
考えさせられた。
大阪二児置き去り死事件ほど重大ではないにしろ、似たような事例はたくさん起きているであろう。そんな環境にいる子どもたちを救うには、「母親だけが子育ての責任を負わなくてもよい」という考えが社会に浸透する必要があるのではないか。
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いかに女性が、女性だけが、女であること、妻であること、母であることを強いられているか実感しました。
あまりに切ないし、他人事じゃない。
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この事件には、当時から関心があったので、興味深く読んだ。
私自身子どもがいるので、小さい子どもたちがひどい状態で放置されたことを知り、母親に対し憤りを感じたのだが、この本を読んで見方が変わった。
確かに母親は悪い。
しかし、そんな頼りない母親に子どもを任せてしまった元夫、父親、母親、義理の両親。
そんな周囲の無関心も問題だったのだろう。
そして、母親が病気だと言っていると聞いて、またまた罪から逃げようとして~と思っていたが、本当に病気のようだ。(結局は認められなくて、罪が確定したけど)
本当に何とか防げなかったものかと思う事件だ。
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3年前に大阪で起こった2幼児置き去り事件の関係者へのインタビューをまとめたルポ。
この事件は当時からとても気になっていました、事件の特異性や凄惨さの他に、自分が子育て関連の仕事をしているから、彼女が風俗で勤務していたから。
普段本を読む際は、事前に先入観を持たずに読み始めることを心掛けていますが、この本に関しては「絶対に彼女の環境に同情しない」と決めて読み始めました。
でもダメでした、もちろん最も責められるべきは彼女であることは間違いのないことですが、彼女一人にその全責任を負わせるのはあまりにも酷だと感じました。
本書自体、彼女を弁護する立場(明確に弁護しているわけではありません)から書かれていると重々理解しながら読み進めましたが、それでもやはり、彼女の成育環境や離婚前後の環境にこの事件の遠因があったと考えざるを得ません。
彼女の父親、元旦那、元義父母、彼女の母親。
どなたか一人でも常識的な判断をしていれば、このような結果にならなかった確率は高かったのでは、と思わざるを得ません。
本書は「格差」がテーマの一つになっていますが、私はこの言葉が好きではありません、「格。格差」というよりは「層。層化」かと。
「賃金」や「文化的成熟度」のような尺度で測ることで区別するのが一般的な「格差」だと思いますが、例えば「生活の充実度」や「幸福度」のような違った尺度で見れば、必ずしも一般的な「格差」での上のランクの方々が皆、充実しているとは限らないし。
ここで言いたいことは、「自分と異なる層の実態がほぼ見えない」ということ。
職業柄、ありとあらゆる層の実態を把握できるよう日々精進していますが、殊彼女の属している層については本当によくわからない、同世代だけどわからない。
一時期、彼女のような方々が多く登録している、モバゲーやGREEよりもマイナーなSNSに登録していたことがありました、視野を広げるため。
色んな方の日記やつぶやきを読んでいましたが、なかなかその思考法を理解できない。
なぜそんな簡単に好きだの嫌いだの言えるのか。なぜそんな簡単に出会いを求めるのか、依存するのか。
この作者さんのすごいところは、自分の属する層とは全く異なる層の方々を理解しようとする姿勢とその執念。
自分と異なる層の価値観を理解できなければ、適切な手立てを打てない。
この事件では行政の不作為も批判されていましたが、正直彼らにもできないことはあると思います。
最近続いていたバカッター問題、興味があったので様々なブログを読み漁っていました。
その中で面白い考え方に出会いました、ブロガーさんの奥さんの発言とのこと。
>だから、子供できるだろ、結婚すんだろ。そうすると落ち着くんだよ。伝統芸だろ
http://lkhjkljkljdkljl.hatenablog.com/entry/2013/08/06/155425
デキ婚からの責任感。
地元の友人や先輩後輩を見ていて、この感覚は理解できます。しかし伝統芸って(笑)
しかしこの感覚、彼女が属している層では既に一般的ではないのかもしれません。
この伝統芸の前提は、���囲に頼ることのできる「大人」がいること。
彼女の場合はいなかった、自ら他人に頼ることもできなかった。
「彼女もある意味では被害者だった」とは決して言いたくありませんが、彼女の置かれた環境は鑑みるべきだったと思います。
この件で当時から気になっていたことがもう一つ、本筋から少し外れますし、本の内容ともあまり関係がありません。
事件発覚当時の報道、彼女が風俗嬢であることが大々的に報じられていました。
「風俗嬢だから何なんだ」、ずっとそう思っていました。
私も社会人2年目くらいは「若い男の子が精一杯がんばっている」とクライアントに映るよう振舞っていました、そういった点である意味評価をされていたと、今でも思っています。
5年目の中盤を過ぎた今、それをやっていたら「ただの痛いヤツ」なのでもう演じていませんが、そう意図的に振舞っていた頃に起こったのがこの事件でした。
だからこそ、より深く印象に残っていました。
人は程度の差こそあれ、また、意図するしないに関わらず、誰でも自分の性を利用していると思います。
「自分がそうだから、他の皆もそうに決まってる!」といったエゴイスティックな考え方はしないように気をつけていますが、これについては一般的だと思っています。
作品内ではこれとは少し異なる文脈で「商品化」と表現されていましたが、私の場合は「ブランディング」です。
自分自身が他の誰かと代替可能なパーツだと認識しているからこそ、云々。
まぁ言いたいことは、ステレオタイプな「ラベル」を貼って安心することにどれだけの意味があるのか、どれだけの方々が「被害」を受けるのか。
「レッテル」ではなく「ラベル」です。
言いたいことがまとまらなかった、いつかやりたいと思っている活動、仕事はこの周辺のはず、何年後かに再編集します。
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2010年に幼児二人が大阪のマンションに50日間置き去りにされて死亡した事件のルポルタージュ。
丁寧にいろんな人に取材していて、筆者の仕事のよさに感激したのと、
幼児を育てる母親の自分にとって、筆者の「母親を降りても良いのではないか」という問題提起は強烈で、読書中の3日間は、仕事中でも考えているほどでした。
何より、子育てが辛かったら、無理だと思ったら、積極的に助けを求めようと思いました。あんまり、できる母親を着飾らず、仕事も家事もできない自分を受け入れようと思いました。
虐待で子供がもう亡くならないためには、行政も、警察も、地域つながりも、いろんな人たちがそれぞれに対処する方法があるけれど、
母親が助けを求められないといけないし、母親一人が子供を育てられて当たり前という考えはもう捨てないと、ということを学びました。
今年は育児休暇明けで全然本は読めていないから、母数はかなり少ないけど、今年読んだ中では最も忘れられない一冊。虐待について、もう少し調べたり、勉強したりしてみたくなりました。
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数年前に実際にあった事件について書かれた本。事件について記憶がある方もいるのでは?
まず、ここまで取材をした著者の取材力を評価したい。事件が起こり、犯人が逮捕されるとそれで一件落着となってしまい、「その後」がどうなったのか分からないことがほとんどであるので、報道されない「その後」について知ることが出来る一冊。
全てを家族や行政などの責任にすることはできないけれど、本人だけに責任があるとの報道にも違和感を感じてしまう。
どこかで何かが変わればここんなことにはならなかったのでは…と感じざるを得ません。
「母なるもの」とは一体なんなのか。
個人的にはいろいろと感じるところもあるけど、子育て中の女性の感想を聞きたいところです。
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2010年7月、大阪のマンションで3歳の女の子と
1歳の男の子が置き去りにされて餓死した事件を覚えていますか?
食べもを探して空っぽの冷蔵庫の中に、汚物まみれの手形を
あちこちに残して、そして内臓まで腐敗して、
白骨化した状態で発見された、こうして書いているだけでも
泣けてくるあの事件です。
ご存知のようにこの母親は、室内の扉をテープで留めて
置き去りにしたうえ、友達たちと遊び放題、そして帰宅後に
子供たちの死体をみたあとにも男友達を呼び出して、
性行為をしていた女性です。
「鬼畜」「同じ目に合わせて、死んでしまえばいい」「絶対死刑だ」
誰しもが感じた思い、そしてもちろん自分もその気持ちに近いものは
あります。
しかし、この本を読むと・・・・、違った視点、違った感情が
出てきてしまいます。
この悲劇のきっかけは、最初の離婚のとき。
思い切り簡単に言うと”自分をうまく語ることのできない、そして
明らかに子育てが出来ない女性”に対しての彼女の周囲の
態度、でしょうか。
《子供たちは誰のものなのか》、ただこの観点のみでことが
進んで行ってしまい、それに逆らう生活力や意志力のない
この母親はただただ、流されていくだけとなっていきます。
判決文にもあった「子供を引き取ると決めたのだから(実際は
彼女の意思は反映されていない)、責任を持って養育すべき。
あきらめずに周囲の助けを求めるべきであった」
もちろん、これは正論で、人として親として全うすべきことです。
しかし、母親が子育てから降りることが出来る、という選択が
出来る社会であってもいいのでは、という著者の意見に
私は賛成でした。
(本書で取り上げられている風俗しながら子育てをしている
女性たちの生活を読むと、何とも言えなくなります)
もちろん、彼女が行った行為は許されるものではありません。
幼い命を、苦しみを与えながら消し去った行為は
死をもってしても償えないものがあるとも思います。
ただ・・、懲役30年という確定した判決。
これに自分は、この本を読んで違和感を感じてもしまっています。