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走るジイサン みんなのレビュー

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みんなのレビュー12件

みんなの評価3.8

評価内訳

12 件中 1 件~ 12 件を表示

紙の本

この本を渡した夫の想いが籠もっているようで、ちょっとなあ。いやらしい老人になるぞ、って宣言かなあ、参ったなあ

2003/07/16 20:40

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「あーあ、ジイサン、走っていちゃったんだ」と、中三の長女がパソコンでメールを見ながら、呟いた。それがこの本を彼女に読ませた夫の「どうだった?」という質問への応えだった。そこには、沢山の思いが込められているような、そんな静かな言葉だった。多分、娘はその問いに、この本を読ませた、もうじきジイサンになるだろう父からのメッセージを感じたのにちがいない。「でも、走らなくてもいいのにな」夫の口からこぼれた言葉が、娘の背中を伝って静かに落ちた。

味のある線が何ともいえないカバー画は唐仁原紀久、個人的にこの人は池永陽のように人気者になっていく予感がする。『ひらひら』『コンビニララバイ』と、現代世界の悲哀をユーモアも交えて描いて見せてくれた池永の原点。

老人の性を描く、というのはこの小説のほんの一面に過ぎない。高齢化社会、老人の時代などといわれはするものの、若者からは元気なうちこそ大切にされるけれど、一旦、病気にでもなれば、その存在そのものが黙殺されてしまうのが現実。その事実を、老人たちが気付かないほど愚かではないということを、読者に教えてくれる。ここには奇麗事は描かれない。

今年69歳になる作次は妻を亡くしてからは、息子の真次と二人暮し。築30年以上の小さな一戸建てに住んでいる。その息子が、仕事関係の出先の事務員と結婚した。一目見た時の彼女の印象は「エモンカケ」。どこか肩肘を張って生きているような、堅さが外に滲み出てくるような凛とした女性だった。そんな新妻は、老人との三人住まいをアッサリ受け入れて、作次の家にやってきた。老人の頭の上に猿が住みついたのはその時からだった。

喫茶店『茶々』で、一杯のコーヒーで午前中を過ごす老人たち。会社を退職した途端に妻から離婚を言い渡された66歳の建造。元気にしていた妻が、腰を痛め寝込んでしまい、衰える一方になった妻を案じる69歳の正光。そして、頭の上に住みついた、本人以外に誰も見ることの出来ない猿のことが気になってならない作次。しかし、彼はその原因がおぼろげにわかっている。それは一緒に住み始めた、息子の嫁の京子さん。毎日接していても、けっして不機嫌な顔も見せずに、食事の支度などしては仕事に向かう彼女は、或る日、義父に向かって「私は年寄りが嫌いです」と宣言をした。彼女との生活に戸惑いと、ときめきを覚えてしまう老人の悲しさ、喜び。若さゆえ悩む知り合いの娘に寄せる温かい眼差し。

一回り年上の私の夫は、すでに老人の世界に足を踏み入れている。亡くなった義父は、孫たちが小学生の時に、なかば自分の妄想の世界に閉じ込もった形で亡くなった。彼女たちにとっての祖父は、それでも優しく、面白いおじいちゃんだった。今でも、おじいちゃんのことを思うと涙がでるという。しかし、義父と二人で暮らしていた義母の思いはどうだっただろう。夫には池永が描いた世界に、本当の老人とはこれだと思い、この本を私と娘たちに読ませたという。俺もいつかはこうなるだろう、もしかするとお前たちもこんな家に嫁ぐかもしれないと。

冒頭に掲げた言葉は、通学の時にこの本を読み終えた娘が呟いた一言だった。それを聞いて、私はほっとした。彼女の口調からは、厄介者がいなくなったという安堵感よりも、愛する人が、旅立ってしまったという寂しさが感じられたからだ。無論、それに寄りかかろうとは、夫も思わないだろう。でも、同じ老人になるならば、長生きして欲しいと思われるような老い方をしたいし、娘には、そうでない年寄りも受け入れることが出来る大人に育って欲しい。その兆しを感じて私は、そっとため息をついた。

吉田伸子の解説が、とてもいい。変に薀蓄を傾けるでもなく、池永の本に手を伸ばした心の動きが自然で、この人と同じような本の出会いを楽しむ人は多いのではないかと思わせる。いつか、吉田の文を読んでみたい。

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2007/01/15 15:25

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2008/03/15 18:44

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2006/12/10 22:00

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2014/08/27 19:07

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2010/07/06 23:46

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2012/02/08 04:00

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2011/06/19 22:37

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2017/10/30 08:44

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