紙の本
主役は女性たち
2023/11/30 15:02
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登場するのは原典の人々だが、性格や行いも脚色されていて、それでいて源氏物語的な世界を楽しめるパロディ作品です。
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さすがの光源氏も中年になれば、若い子からは、イタイおじさんか…私も気をつけよう……と思ってしまうほど、ムリなく読めて面白い。御大の力を感じます。
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前作「私本・源氏物語」とは視点を変え、
源氏と関わり合いのあった女性の目線から見た
源氏を描いた作品。
前作では、従者の目線から見た愛のある源氏の悪口で、
一貫して「中年になって初めてわかる人生の楽しみ」を主張していたため
分かりやすく、受け入れやすかったが、
本作は、うーん・・
語り手が次々に入れ替わって落ち着かないし、
「源氏なんて古い~、別に好きじゃない~」という若い女子の
単なる悪口で、愛もないので正直途中で飽きてしまった。
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田辺聖子は特に好きな作家の一人だが、その中でもこの本は何度読み返したか分からない。
一口に言ってしまえば源氏物語のパロディであるが、本家を超える面白さがある。その理由は登場人物の魅力にある。
光源氏は低俗で情けない人物として描かれているが、源氏を取り巻く女性たちは対照的に、鮮やかで生き生きとした魅力にあふれている。
紫の君は、はねっかえりで源氏をいつもやりこめてばかりいる。女三宮も溌剌としていて天真爛漫だ。玉鬘は源氏の古臭い色香に惑わされず、運命の相手を自分で選び取り、空蝉は自ら大胆に源氏を誘う。
彼女たちは常に自分の気持ちに正直に生き、潔い。真っ直ぐで大胆で、それでいて馥郁とした美しさと気品を持ち合わせている。
男の気まぐれや都合に翻弄され、泣き寝入りをしてきた源氏の女たちにはない、凛とした強さがある。
本当にみんなチャーミングだが、特に紫の君は魅力的だ。
やんちゃで、お転婆で光源氏に対してずけずけと言いたいことを言うが、心の底では光源氏を大切に想っている。思いっきりツンデレなんだよね・・・。わがままで勝ち気だけど根はやさしい。
美少女のツンデレほど美しいものがあるだろうか。
やはり光源氏という男は幸せ者なのかもしれない。