紙の本
難しいテーマが隠されているとか力まないで楽しく読んだ方がいい
2019/12/22 16:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「性的人間」「セヴンティーン」「共同生活」の3編の中編が収められている。「性的人間」は性的に倒錯している男が痴漢までやってしまうという話なのだが、大江氏が描く破廉恥男の話なのだから痴漢をするという行為における背徳的な喜びとか、そもそもの人間の根底にある願望とかいった哲学的なテーマが含まれているのだろうが、私は金持ちのボンボンが痴漢男になってしまったというなさけない話として読み進めてそれで楽しめた、あまり難しく考えない方がいいのではないか。「セヴンティーン」はまさしくあの浅沼稲次郎日本社会党委員長刺殺事件の犯人をモデルとしているのだが、続編の「政治少年死す」は右翼からの抗議によって単行本には収録されていない、年末年始に全集を借りて読んでみようと思う
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“セブンティーン”は全く救われない。あっという間にあっち側に転がっていってしまう劣等感まみれだった右翼少年の話。ものすごい疾走感。これを初めて読んだ日はなかなか寝付けず夜中に何度も目が覚めた。
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「性的人間」「セブンティーン」「共同生活」との三編を収録し、充実した内容の文庫。中でも自瀆症の孤独な少年が右翼に目覚めていく「セブンティーン」。自瀆する過程、右の思想を高める過程の描写には短編ながら圧倒的な高揚感がある! 性を追及した「性的人間」、閉塞感に満ちた「共同生活」の二作も胸が張り詰める。
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『セブンティーン』
自分は無力で何もできない。
取るに足らない存在だ。
そういう思いにとらわれ、
自分に存在価値を見出せない。
誰しも通るであろう通過点。
そこから抜け出すカ抜け出さないかは自分次第だ。
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高校の時に読んだので最初は理解不可能でした。ただただ、「性の迷宮恐るべし!」とだけ思いました。しかし、収録作「セブンティーン」を最近読み返したところ、「若い男の子って、思い詰めるとこうなるのか。はぁ。」と、それなりに納得できるものがありました。大人?
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収録作:性的人間、セヴンティーン、共同生活
性的人間は映像的想像力を喚起させるなあ。私の中でJは髪の毛栗色で緩い天パだな。決まりだな。
時間の経過がちょっと不明瞭。
セヴンティーンは珍しく主人公が自信満々のまま終わるのでこれも良いかとおもう。第二部があるからだろーけど。
共同生活はそのあまりにも馬鹿馬鹿しいのに笑った。
あと表紙。ウィリアム・ブレイクの装画が素晴らしいですぞ。
(追記)
セヴンティーン第二部読了。さしたる衝撃も落胆もなし。という感じ。
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マジおもしれえ。大江健三郎、最高。中篇三つからなる作品集。1個目の「性的人間」は痴漢の話。前半部は意味不明だけど、後半部は最高。映画「タクシードライバー」に通じる自己世界完結型の変態少年が出てくるんだけど、こいつのキャラいけてる。痴漢で詩を書くっていうセンスがいい。2個目の「セヴンティーン」は右翼少年の話。セヴンティーンの後半が国会図書館なのね。前半も面白い。似たような話があったけど忘れた。高校生の独白形式はいいよね。うん。最後のはよく分からんかった。とにかく、村上龍のような疾走する描写が久しぶりに読めて楽しかった。この人はやっぱりすげえわ。
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大江の初期に分類される、実験的野心作。性的なものと非性的なものが、如何に絡み合って我々に突きつけられるのか。
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17歳の時にこの中におさめられているセブンティーンを読んだ。女子の私の男子の部分を強く意識させられた。今読んだら、どうなのかなー。
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「政治的人間と性的人間との交錯の中に、60年安保闘争前後の状況を定着させた3篇」らしい。「性を描き、人間存在の真実に迫る」というのは(フロイトじゃないけど/笑)ある程度理解できる。表題作が好き。
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最初に購入したのは、何十年も前。読んでもさっぱり意味がわからず・・本棚に入れっぱなし。どこがいいのかも、わからず。それが結婚し、子どもが生まれ・・ふと手にしてみたら・・なんだか引き込まれて・・大江文学にのめりこんだきっかけ。ノーベル賞取ったのは・・当然でしょう。
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痴漢を正当化した文章を書く技術があることがすごいです。
こんな文章を書いていてノーベル賞を取れるというに驚きます。
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ものすごく面白かった!
特にこの中に収録されてる「セブンティーン」が戦慄ものに面白い!
若者が、若さ故に一見理路整然とした思想にはまり込み、一途だからこそ恐ろしい行動に走ろうという、
その、「暴走」っぷりがものすごくよく描かれている。
個人的には続編をすごく読んでみたいけれども、ほとんど封印状態になってるのはなんだか納得。
この「セブンティーン」自体、読み方を間違えると、主人公と同じ行動を起こす輩が出てきそうだもん。
(大江は主人公の若者の暴走を反面教師的に描いてると思うんだけど、その暴走を是と取り違えてしまいそうなほど、大江の文章はうまいんだよねー)
いわんやその続編をや。
しかし、読みたい。読ませて。
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松永剛氏にわたしにオススメな小説を聞いたところ。
僕は模造人間とコレをすすめられました。
共通してみられるのが変態です。
そして村上春樹からは入ってほしくないとも言われたのだ。
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こんな本初めて読んだ。性的人間というよりも人間失格だろうという印象。人の間に自分が置けない時点で人間でないと考えられるならばだけれど。破壊されるものと破壊するもの。話も中々興味深かったけれど何より大江氏の文章が素晴らしい。他の二編、共同生活でサルに虫が沸くところと覗き女が主人公を糾弾するところにシャツがくっつくほど冷や汗をかいて、セブンティーンはありとあらゆる意味で気分が悪かった。主張ってそんなに大事かと思ってしまう。