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愛とは美しいものと偽善ぶっていて良いのだろうか。こと男女関係においては所有欲、自己の欲望は排除できないではないか。
という免れない問題を提示してくれた本。ただし低レベルな欲情的な人間関係論にフォーカスしていた点は個人的にはあまり興味を見いだせなかった。
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支配とか所有とかはしたくないし、するべきじゃないと、なぜか僕は思っている。でも、愛という言葉は嫉妬や束縛などあまりよろしくない意味もはらんでいる。
そんな愛によって生まれる欲望の中で、特に所有欲の出所を探り、最終的には他者と自我の間に生まれる「愛」について現実的なことを教えてくれる。
愛する人は自分の心にズカズカと入り込んでくる。これは自我からすれば一大事。他者に揺り動かされるのだから私という存在を安定的に保つことができにくくなる。だから、僕たちは本能的に自分を保とうとする。「私」をどうしようもなく撹乱させる「あなた」をなんとかコントロールしようとする。
自我のまとまりを確保するための戦略が「愛」なのである。
考えすぎると何も話せなくなるし、何もできなくなってしまう。でも、既に知ってしまったからには「考えすぎる」所からスタートするしか道はない。
「そうだよね」といって相手の言葉を認め受け入れる行為は突き詰めて考えてみると、自我を投げ捨てることなのだ。
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[ 内容 ]
そもそも人を愛するとはどういうことだろうか?
どうして愛は他者を所有しようとしてしまうのか?
自我は所有の求めをどう実現しようとするのか?
愛する者は自我と愛と所有のトライアングルのなかで、苦悩と哀しみを身にまとう―。
愛わめぐる心の動きを桜井亜美や山田詠美などの小説やAYUの歌のなかに、あるいはR・バルト、J=P・サルトル、D・ヒュームなどの哲学思想のなかにさぐり、私たちの存在そのものの核心へと肉薄する。
愛する者たちのありふれた感覚と思いによりそいながら紡ぐ、深い探求と刺激的な挑発に富んだ思索。
[ 目次 ]
第1章 愛にふりまわされる自我―所有の企て
第2章 ココロとカラダ
第3章 嫉妬と所有
第4章 「愛するのが好き?愛されるのが好き?」―愛の能動と受動
第5章 「タイプ」への愛と「理由」の求め―対象愛と自己愛
第6章 愛と所有―所有的な愛と自我
第7章 従属の愛―被所有の所有
結びにかえて―愛からの逃避
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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いまごろ目を通している。すみませんすみません。なるほど。文学作品といろんな哲学・思想を使った内観中心の方法。第1章に『シングルセル』への大きな言及。人気あったのねえ。サルトルの性愛論をこれくらいの分量で扱ってる本は他にないんちゃうかな。他にフランクル、フロイト、ルーマン。ロラン・バルト。ジンメル。フロム。デカルト、ヒューム。ブーバー。イリガライ。