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まわりの関西人は怒られそうだけど、僕はお好み焼きより断然もんじゃ派なんです。
しかし恥ずかしながら月島には行ったことがない。近いうちにぜひ行きたいと思うんですが。
早稲田大で地域社会学、人口社会学を専門にしている武田尚子教授は、月島という地域の変容、つまり空間構造、産業構造というマクロな視点と、ひとびとの営み、つまりどんな人が、どのような経緯で、どうやってもんじゃと関わってきたかというマクロな視点を統合して、月島が「工場労働者の町」から「もんじゃの街」へと変容していく過程を描き出しています。
いまならもんじゃに限らず、どんな食べ物でも、どこでも食べることができるわけで、しかも味もたいして変わらなかったりする。(僕が味覚音痴というのもありますが。)
それでもやはり、その土地のものをその土地でいただくのが一番「あぁ美味いなぁ」と感じるのは、そこにストーリーがあるからなように思います。
路地のかたすみでひっそりともんじゃの店を出していたひとり身のおばぁちゃん。その最後は孤独死でした。店になじみのあった近所の人たちは、お葬式をあげようと。しかしお金がない。そういえば、と、ひとりがおばぁちゃんがかめにお客さんが払ったお金を貯めていたのを思い出し、探してみるとかめのなかに100万から200万もの小銭があったそう。
お菓子もんじゃの店は鉄板と、小麦粉と、ソースくらいあれば開業できる。その店は身寄りのないおばぁちゃんがなんとか自分で稼いで、このまちで生きていくための場所だったのですね。
ちょっとこれ、もんじゃ食べながら泣くかもしれない。