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紙の本

生きる時間を考える、肩のこらない科学のエッセー。

2008/06/02 16:59

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「歌う生物学者」本川センセイのエッセー集。「ゾウの時間ネズミの時間」は「生きる時間」を考えた名作として読み続けられている本ですが、このエッセー集も「道元の時間」という講演の記録が全体の半分ぐらいを占めています。ナマコの研究が御専門ですが、のったりとしているナマコは時間というものについていろいろ考えさせるもののようですね。
 これまでの著書を読んだことがあると、あまり新しいこともない、という印象になるかもしれません。初出の雑誌の性格もあるのでしょうが、少々お固くて面白くないな、という文章もあります。でも、「こんな生物学者もいるのだ」とほほえましかったり、楽しくいろいろ考えたり、でした。
 冒頭の「海鼠の如く」に書かれている、お子さんが生まれたときの話(それぞれの方に贈った歌付き)は名前の付け方のこだわりも面白い。夏目漱石の「安々と海鼠の如き子を生めり」や子規の句がでてきたりして、文学好きにも楽しめるところでしょう。「美人量保存の法則」、こんなところにも「一定の法則」を探してしまうところは科学者的、ですけれど。
 ナマコの研究をしていて感じたこととして「分かってくると、好きにはなれなくても、尊敬はできるようになります。好きではないものと、それなりに付き合っていける知恵をもっているのが成熟した人間であり成熟した社会だと私は思っていますp85」と言う部分を読むと、つくづく「現代人はそういうところは成熟してないな」と反省もしました。しかし長年つづけておられる研究材料を「好きでもない」と言い切ってしまう勇気、いえ、長年つづけてこられたからこそ、そう言い切れる絆が材料との間にあるともいえますね。

 本の後半を占める「道元の時間」は、「ゾウの時間ネズミの時間」の延長線上にくる話。「生きものの時間はそれぞれ違う流れ方をしている」という著者の自論を宗教的な時間論とつなげてみる、という試みです。その中で著者はニュートンのプリンキピアなどを調べ、「西洋にはまともな時間論が無いらしいのです。p177」と書いています。これは一寸驚きでした。すくなくとも「絶対時間がある」とする前提のもとに古典物理学は成立しているということは事実でしょうが、本当でしょうか?
 それはさておき、「一秒、と言っている絶対時間の中でネズミはゾウよりもたくさん自分の生きている時間を過ごしているけれど、ネズミもゾウも全体の生きている時間は同じ量」という考えは「すべての生きものの命は等しい」という宗教観にとても近いですね。著者は体重や寿命などの数値を検討した結果からここにたどりつきました。詳しくは本文を読んでください。「どの動物も一生のうちに15億回心臓が打つ」という計算結果もそのひとつ。これからすると、人間は40歳ぐらいで心臓は「15億回」を打ち終わってしまうそうです。だからそれ以降は「おまけの人生」。これが本のタイトルが意味するところでした。だからその後の人生は「異質なもの(p168)」と考えて暮らしましょうというのが著者の提案です。さて、どうしましょう?

 「万物共通の時間(物理時間)の上に、生物特有の時間(生物時間)がのっています。そして人間が関わってくると、その上にさらに人間特有の時間(心理的時間)がのってくる・・・・(p184)」。物理的な時間ばかり重視していると「数秒の遅れも許せない」気持ちになりがちです。でも、「個別の時間」、特に心理時間ばかりを強調して共通する時間感覚を持たなければ「他者とのつながり」が上手く行かなくなりそうです。この辺のバランスをとっていくのが「大人」なんでしょうか?「好きではないものと、それなりに付き合っていけるのが大人」という、前の方のナマコの話につながってきましたね。

 CD付きの本「歌う生物学 必修編」まで出版した本川センセイですが、この本にも楽譜付きのエッセーがいくつか含まれています。こんなのも楽しみながら、時間についても考えてみる、肩のこらない読み物でした。

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2005/09/21 12:05

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2013/03/21 11:07

投稿元:ブクログ

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2016/03/21 15:38

投稿元:ブクログ

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