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みんなのレビュー16件

みんなの評価3.9

評価内訳

16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

旧ソ連地域の現在がよく分かる本。

2008/07/05 17:08

14人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ソ連が解体してロシアを初めとするいくつかの国に分裂してから十数年になる。しかし共産主義のくびきを逃れて新しく出発した国々の事情が日本で一般によく知られているとは言いがたい。今年になってこの穴を埋める優れた書物が、新書という入手しやすい形で出たのはありがたいことだ。ここに紹介しておこう。
 旧ソ連地域が理解しにくいのは、まず多数の国に分裂し、その分裂した地域が異なる宗教や文化的背景を持っているために互いにいがみあう場合が珍しくないこと、そして中心にあるロシアもそうした紛争を自国に有利なようにと利用しがちであることがある。しかも、そもそも国家として承認されていない地域が国家として名乗りを上げているので、事情はいっそう複雑になる。
 例えば「沿ドニエストル」と「ナゴルノ=カラバフ共和国」という未承認国家の例に第2章で言及がなされている。いずれも日本ではなじみのない名前で、よほど旧ソ連地域に興味のある人でないと「なんだ、それ?」と思うところだろう。しかし本書での叙述を読むと、民族や言語や経済事情などによって分離独立を表明したこれらの「国家」と、分離独立を認めまいとする「本国」との微妙な関係が分かりやすく説明されているので、読者は改めて国際問題の複雑さを思い知らされることになるだろう。
 また、これらの「国」に「入国」する苦労をも著者は語っている。というのも、これらの「国」からすると独立しているという建前だから「入国」するのに査証が要るわけだが、「本国」からすれば独立を認めていないのだから査証の存在をも認めるわけにはいかない。これらの「国」の査証がパスポートに貼ってあったりすると「本国」に戻ったとき逮捕されかねないのだが、そこはよく考えられていて、査証はパスポートに貼られない一枚の紙で済ませ、「本国」に戻ったらそれを処分してしまうことが可能なのだという。つまり本音と建前の使い分けである。独立と非独立との区分けの曖昧さ、パスポートと査証というものの巧妙な使い方は、海に囲まれて国境の存在を日ごろあまり意識しない日本人には考える材料を与えてくれるだろう。
 エストニア・ラトヴィア・リトアニアのバルト三国についても簡潔に紹介されている。1939年、ソ連とナチスドイツとの密約によってソ連になし崩し的に編入されたこれら三国は、ペレストロイカ期に独立し、その後もヨーロッパへの接近をはかっている。そのため逆に国内のロシア系住民は反発し、国内での摩擦を生んでいる。面白いことに、バルト三国は歴史博物館を作って、ナチスと共産党の大虐殺を展示しているという。ナチスもソ連共産党も、これらの国にとってはほぼ同じような抑圧者であったという認識がそこにはある。
 しかし、旧ソ連地域で共産党が一方的に悪者とされているわけではない。むしろ日用品の安価さや社会保障の存在、貧しくても意欲と能力があれば高等教育が受けられる制度などをなつかしむ声が強いという。新しい政権もこうした声を汲み上げていかないと安定した未来を作ることは難しいだろう。西側諸国から見るのとは違い、共産主義は現地ではそれほど大きなマイナス評価を得ているわけではないのだ。
 さて、やはり日本人にとって一番気になるのはロシアの動向であろう。プーチンの強権的な政治、今も残るKGB的な体質についてかなりのページがさかれているし、日本語で読める各種文献の紹介もなされているのはありがたい。ロシアはGDPでは20年後にはドイツを抜いてヨーロッパ第一位になると予想されているし、原油生産量では現在サウジと並んでいるし、天然ガスの埋蔵量では世界の4分の1強になるという。資源のない日本としてはロシアとの関係を従来にも増して重視していかざるを得ないだろう。旧ソ連地域は概して親日的だという指摘もなされているとはいえ、扱いにくい強権的な大国ロシアといかに付き合っていくか、一筋縄ではいくまい。それを考える出発点として本書をお薦めしたい。
 最後に、三十代半ばの女性研究者である著者が、旧ソ連地域で何度も危険な目にあいながら――著者のそうした体験も本書に紹介されている――研究に打ち込み、すぐれた書物を上梓したことに敬意を表したい。

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紙の本

内容は偏っており、かつ、詭弁を弄したミスリーディングに満ちている

2008/07/07 22:37

20人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

まず最初に断わっておく。本書は決して「全体像としてのロシア」を論じたものではない。葦の髄から天井覗くではないが、まるで「地球の歩き方」の投稿記事のような「現地見て歩き」のたぐいの管見の寄せ集めである。著者はアゼルバイジャンを中心とした「ザカフカス(コーカサスの向こう側)」の専門家なんだそうだ。長くアゼルバイジャンにいたこともあって、本書は彼女の守備範囲から見た「ロシア」の点描という形となっている。書名には「旧ソ連諸国から見た(ロシアの)光と影」となっているが、旧ソ連諸国としてなくてはならない大国であるところのウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンがすっぽり抜け落ちている。出てくるのはアゼルバイジャン、ウズベキスタン、バルト三国などである。

それにしても気になるのは、最近日本の一部ではやっている「格差問題」をロシアにも投影して、その経済成長のプラス部分よりも「格差の拡大」というマイナス部分をことさらに強調し、あたかもプーチン政権下で起きた経済成長を「悪いこと」のようにいいつのる一方、「ソ連が解体してよかった」などというのは「一面的な見方にすぎない」などと詭弁を弄して、むしろ「共産主義時代のほうがよかった」かのような「ウソ」を誇大にまき散らしている部分である。まず、最初に言っておくが、およそ人間のあらゆる「意見」は「一面的なもの」である。人間の所作である以上、偏見バイアスからまぬかれることなど不可能である。ポイントは、それがどれだけ多数の共感を得られる意見であるかどうかだ。もし、一部にその反対者がいることをもって、それを「反証の証」とすることができるなら、そもそも政治も経済も成り立たない。全員の意見が一致するまで何もできない永遠の停滞か、強制的に全員の意見を一致させる全体主義しかなくなってしまう。だから「それは一面的な見方にすぎない」などといって相手を切って捨てるアプローチは多数決原理の否定に私には思えるが、どうか。

著者いわく「プーチン政権下のロシアでは生活格差が広がっていることもあり、ソ連時代にノスタルジーを感じる者」も多いそうである。んなら「昨今の日本社会のモラルの低下や治安の悪化に嫌気がさし、戦前の軍国主義にノスタルジーを感じ学校教育への軍事教練の復活を主張する者も日本には多いのである」と言えてしまうわねえ(笑。

もっと凄い描写があるので引用させていただく。
「ソ連時代は、一部の特権階級を除いては平等であり、働くなくても生活は保障されていた」「働かなくても生活は保障されていた」「出勤するだけで昼間から飲酒するなどして働かず、経済はきわめて非効率だった(中略)それでもソ連時代はすべての人びとの安定的な生活が保障されていた。モノは少なかったが、日々生きていくのに十分な給料が支給され、また、食品や生活必需品の価格は非常に安かった」
おいおい、あんた、旧ソ連時代のロシアにいったことあんおか。私は1987年と1988年の二度にわたりモスクワにいったことあるが、あれはひどい国だったぞ。スーパーに行っても冷蔵庫も食品棚も全部空っぽ。「今度はいついつどこに肉が入荷するらしい」という噂が、あるひどこからか伝わると、もうマイナス20度の屋外に早朝から長蛇の列。そこに3時間も4時間も並んで、ようやく1キロにも満たない肉を手に入れる社会。それのどこがいいんだ?あー?それにだ、それでも当時だって今だって、そんなに餓死者がロシアには公式には出ていない以上、「まあ、悪い社会ではない」といえるんじゃないか。つまり「日々生きていくのに十分な給料が支給され」ているという意味では、当時のソ連も今のロシアも、実は大して変わらないんだな。これはアメリカにも日本にも言える。「生きていくのに最低限必要な給料」は日本中のすべての人間が手にすることができる仕組みとなっている。だって日本には「生活保護」という素晴らしい保護の福祉制度があるんだから。それにだ。昼から働かず飲酒しても困らない社会が幸せな社会なのか。まるで「当時の日本国有鉄道では、昼間から働かず政治活動ばかりしている組合専従でも一生安泰だった」という旧国労・動労のクサレ親父の言い分にも重なって聞こえるのだが。こんなことをしていて、やっていけるはずがないのは当然で、だからこそ一時ルーブルが暴落してロシアの一人当たりGDPは日本人の20分の1以下になり、いまだにロシア女性の多くは世界中で風俗産業に身をやつさざるを得ない状態においこまれているんじゃないのか。それもこれも「働くなくても生きていけた」などとほざく愚か者たちのツケを彼女たちが体で支払わされているという単純明快な事実になぜ、あんたは目を向けないんだ。

平均的な視線という点からすると、今のロシアは旧ソ連時代に比べ明らかによい社会となっている。街は光り輝き、明るくなり、ものはあふれ、レストランの食事も素晴らしくなっている。金さえ払えば何でも買える「普通の社会」になっている。私の周りにはロシア人が多数いるが、彼らは異口同音にプーチンの政治業績をたたえ、彼の政治姿勢を明確に支持している。彼らいわく「共産主義にノスタルジーなんか持っているのは年金貰いそこないのじいさんばあさんだけ。今のロシアの若者の大多数はプーチン支持」とのこと。これは私の実感にも通じる。

それにしてもだ。最近こういう安直な「現場レポート」的な本を「学者」が書きすぎないか。「現場の生の声」を学者が学び伝えることに異議はない。しかしそれは深い学識と思索に裏打ちされた「発見」に満ちたものでなければならない。「秘境に行ってきました」式の「地球の歩き方」の投稿記事の大同小異レベルのものなら、はっきり言っていらない。所詮予算の少ない貧乏な学者の旅行記なぞより、予算もふんだんにあって経費も使い放題のジャーナリスト(NHKや朝日新聞、日本経済新聞)や商社、金融機関、製造業の現地駐在員のほうが質量とも貧乏な学者センセイよりもはるかに情報収集力においてすぐれているのだから。

最近、大学関係者から「新自由主義」を誹謗中傷する声が、少なからずある。それならそれでアカデミズムの本義にのっとり、少ない予算の中で、「小さくともきらりと光る研究」にせいを出してもらいたいものである。口では新自由主義を誹謗しながら、その実拝金主義の奴隷になって「消費されたがっている学者くずれ」がなんと多いことか。私は新自由主義の信奉者だが、アカデミアの堕落に、実はひそかに心を痛めている人間の一人でもある。

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紙の本

ロシア・旧ソ連諸国の実情をリアルに伝える1冊

2024/02/14 18:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る

ロシア研究者として、時々メディアにも登場するようになった著者によるロシア・コーカサス地域の情勢について解説した1冊。出版は2008年なので、ロシアのウクライナ侵攻どころか、クリミア侵攻よりさらに以前の本なので、必ずしも現在の情勢を正しく述べているわけではないですが、2008年というのはプーチンが最初の大統領任期を終えて、メドベージェフに一旦大統領職を譲った時期で、その後のプーチンの政権運営の基礎となる時期だけに、参考になる内容も多かったです。著者はソ連圏の中でもアゼルバイジャン、アルメニア、グルジアといったコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれた地域)を研究の対象としており、現地に滞在していたからこその情報も豊富です。
ロシアが伝統的に周辺国家の政治的混乱や、エネルギー供給を利用して影響力を保持してきたこと、密告・監視を主としたKGB体質が色濃く残っている事、そのような闇の一面に一方で、ソ連時代の方が教育等の公共サービスが無料であり公務員のモラルが維持されていて、ソ連崩壊後の方が周辺国では治安が悪化したので、ソ連時代を懐かしむ人たちも多い事など、多くの側面を紹介しています。
意外だったのはコーカサス地域の国々は非常に親日的である(った)事実です。コーカサスの国々は長年ロシアと領土問題を抱えており、北方領土問題でロシアと対峙する日本に共感を覚える関係であって、さらに日露戦争で一旦はロシアに勝利した事が神話的に信じられているとの事。さらに日本が国際的には中立的な立ち位置と認識されているので、援助等も下心のない物として受け取られていたようです。
著者が現地滞在中に遭遇した体験(列車で国境を越えようとして乗務員に襲われかけたり、空港でテロリストと間違えられたり)なども紹介されていて、私とほぼ同年代の女性(本書執筆時は30代)が治安の悪いコーカサス地域を一人で動きまわるには、相当危険な目にも遭われたようですが、自分の目と耳で集めた情報を基にしているだけに説得力がありました。本書後半には、今後の展開としてプーチンが石油・ガスといった資源をフルに外交カードに利用しつつ、大統領の再選を目論んでいるとの予測を述べられていますが、まさにその通りの展開になっていることが、著者の情勢分析の正確さを物語っている気がします。

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2008/02/16 21:29

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2008/07/16 21:53

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2022/06/16 07:38

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