投稿元:
レビューを見る
小泉内閣の経済財政政策担当大臣による経済古典についての入門書。
経済学の歴史を学ぶにあたってとてもわかりやすいと思います。
経済学史の変な授業よりもよっぽど良いですw
シュンペーターの知見は素晴らしいですね。
まさに今の日本を表しているかのようです。個人主義的功利主義とか。
あと、フリードマンの教育バウチャーや負の所得税といった考えもすごく面白いですね。
投稿元:
レビューを見る
アダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、ケインズ、シュンペーター、ハイエク、フリードマンと経済の基礎を築いてきた経済学者の考えをわかりやすく記した一冊。
最大の主張は、経済思想はそのときどきの問題を解決する為に考えられたという所。偉大な先人達は経済思想が先にあり、それを使って問題を解決しようとしたのではなく、彼らが提示した問題解決のスキルが蓄積されて、結果として思想になったという。経済古典を学ぶ意味はその先人達がいかに目の前の問題を解決したかを知る所にあると主張している。
投稿元:
レビューを見る
『ごくごく初学者向けの、お箸休め的な、まあまあ分かり易い経済思想入門』という点では凡庸なので書評に書くにも値しないのだが、引っかかる物言いがあったので敢えて紹介。
「現状をどう打開すべきなのか、その答えを見つけようとするときに、とかく経済思想のなかに逃げ込む人がいる。(…)しかし現実に経済政策を担当した私の経験から言って、経済思想からから判断して政策や対応策を決めることはありえない。(…)政策とは細かい法律分析と行政手続きの積み重ねであり、細かいファクトを分析し、その結果をもって政府が何等かの政策を実施する。それ以外の施策はありえないのであり、それがわからない人は思想に逃げ込んで(…)」
確かに安易なレッテル貼り(「誰々は新自由主義者だからうんぬん」)は却って視点を曇らせるものだが、「政策とは細かい…」の部分は、まるで政策決定が機械的、数理的な手法のもとに導き出される絶対的な解を導くものであるかのように聞こえる。しかし政治とは本当にそういうもので、人々の価値観が入り込む隙のないものなのだろうか。そうではなく価値観でしか判断・決断できない部分もあるからこそ、古典に触れ自らの立ち位置を精査するべきなのだと感じる。表題の「役に立つ」の意味は、「市民に役に立つ」ではないのかと疑わざるをえない。
それはそれとして、本著からの極々小さな一応の気づきとして、シュンペーターのイノベーションに関する論議を復習する事で、和田君の去年のブログのこの記事は(http://kimseminar2011.blog.fc2.com/blog-entry-651.html)はあまりにも論旨として一致しているので、この論議が念頭にあったのかと彼の見識の深さに感服するばかりである。僕はというと、恥ずかしながら経済学部生なのにシュンペーターの原著に当たったことがないので、これは読まないといけないと和田君に焦らされたわけである。
投稿元:
レビューを見る
マクロ経済学本を読む前に読んでおいてよかった。|o|
マクロ経済学の立ち位置とか、なんについての学説なのか、何を解決できて何の課題があるのか、とか色々まるわかりです。
投稿元:
レビューを見る
経済入門として、読みやすそうでいいかなと思って買ってみたのですが、さすがにちょっと内容が薄かったかな。
読みやすいのは読みやすかったですし、現在の日本の状況についての辛口のコメント満載なので、それなりにおもしろかったですが。
経済についてあまり詳しくない人向け。
投稿元:
レビューを見る
アダム・スミス→マルサス、リカード、マルクス→ケインズ→シュムペーター→ハイエク、フリードマンという経済学の大きな流れを解説。
偉大な経済学者たちが、どのような問題に直面し、どのような解決策を考えたのか?
経済学の古典を「問題解決のスキル」として読む姿勢が秀逸。
投稿元:
レビューを見る
竹中先生の著作。
アダムスミスから始まり、リカード、マルサス、マルクス、ケインズ、シュンペーター、ハイエク、フリードマン...と経済古典のエッセンスを簡単に紹介。難しい数式なども特になく、入門書としては最適。具体的なエピソードもあり、それぞれの人物がなぜそう考えたのかもイメイジしやすい。
古典と呼ばれるものは、それぞれの時代が抱える難問に挑んできた。批判もあったであろうが、それに耐え、「古典」と呼ばれるまでに達した。
○○派にこだわることなく、「時代が要求しているものは何か?」を意識し、考えること。そしてそれは経済古典が示唆してくれる。
投稿元:
レビューを見る
素晴らしい良著でした。「経済古典解説の古典」と言えるんじゃないかと。
アダム・スミス、マルサス、リカード、マルクス、ケインズ、シュムペーター、ハイエク、フリードマン…
・古典と言われる経済書も、その当時の現実問題を解決するために書かれている。我々は経済古典から学ぶべきなのは思想ではなく、問題解決のスキルである。
古典とは、もともと経済思想がその著者の中にあって書かれたのではなく、問題解決の結果としてそれが経済思想になっている…
そう著者が言っている通り、この本では各経済学者の思想だけでなく、その時代背景と "What's the problem?" がしっかり解説されている。
経済学を学ぶ時に併せて読むと理解が深まると思うので、手元に置いておきたい一冊。
-----
内容メモ:
*経済学のはじまり:資本主義の肯定*
・アダム・スミス『国富論』1776年
自由な社会でも経済は均衡を保たれる(見えざる手)
*資本主義への批判*
・マルサス『人口論』1798年
資本主義の発展により人口は増えることで食料不足に陥る。
・リカード『経済学および課税の原理』1817年
資本主義で地主が唯一の受益者で、資本家や労働者は疲弊する。
・マルクス『共産党宣言』1848年、『資本論』1876年
労働者は資本家に搾取され、限界に達した時に革命が起こる。資本主義は崩壊し社会主義へ移行する。
*大恐慌に対する処方箋*
・ケインズ『一般理論』1936年
有効需要が不足して失業が発生している時「大きな政府」による財政政策(公共投資)と、金融政策(利子率低減による投資誘発)が必要。
*不況に対するもうひとつの処方箋*
・シュムペーター『経済発展の理論』1912年
不況なくして経済発展なし。経済発展の原動力はイノベーションにある。次第に資本主義は劣化し社会主義へ向かう。
*ケインズへの批判*
・ハイエク『隷属への道』1944年
大きな政府ではなく、自由市場と個人主義が適切。市場の失敗に比べて政府の失敗(社会主義や全体主義=集散主義)は大きな犠牲を生む。
・フリードマン『資本主義と自由』1962年
スタグフレーションに対して、ケインズ政策は効果がない。教育バウチャー、負の所得税など攻めの自由主義政策を提案した。
-----
※弁証法的唯物論とは… p75
弁証法:
支配的なテーゼに対してアンチテーゼが生まれ、争った結果、ジンテーゼになる。
そのジンテーゼがまた支配的になるとアンチテーゼが生まれる…この繰り返し。
唯物論:全ては物質的なもの=経済で決まる
http://bukupe.com/summary/7090
投稿元:
レビューを見る
とても分かりやすい本で、経済が苦手な方がまず最初に読んでみるといいかもと思いました。
よくマネタリストはケインズ派を批判して、ケインズ派はマネタリストを批判すると言われます。どちらか一方しか勉強していないなら、そのように考えがちですが、それは違うことが確認出来ました。どちらが正しいのかではなく、あくまでそれぞれの時代の中で起こった経済問題を解決するために必死に考え出した方法論であるということでした。
それぞれの人物の人となりであったり、時代背景が分かりやすく書かれており経済の一連の流れをつかむのにも最適の本であると思いました。
投稿元:
レビューを見る
著者の竹中さんは言わずと知れた、元大臣。
はじめにの中で、学者として、そして政治家として、思想を湾曲して「○○派」というレッテルを付けたがり、現在の経済問題を、経済論理と誤って結びつけて議論をする人々や、how toモノで安易に経済や経済政策を語る人を批判している。
それは、今や古典となっている、アダムスミスやケインズの理論も、当時は、当時の経済問題に対してどのように解決すれば良いかという最新の理論であり、当時は批判の的にされた論理だった。
今はその論理は様々な経済政策の基となり、その上にさらに新しい考えが積み重なり古典と呼ばれる地位になっているが、表面の字面だけを丸暗記して、まるごと妄信的に信じることの危険性も指摘している。
国富論など本の名前は知っていたが、実際に読もうと思ったことはない。しかし、今回当時の時代背景等の予備知識が入ったので、今度機会があったら読んでみたいと思った。
自分も大学生の頃、マクロとミクロの経済モデルを木と葉っぱに例えて説明する軽薄な同級生を見て、コイツそれで理解できているのか?と冷めた目で見ていたので、how toものを安易に語る人を批判するのはよくわかる。
投稿元:
レビューを見る
高校のときの授業で名前がでた人たちの理論を背景から紹介している。読みやすいしわかりやすい。どの理論も時代の影響を受けているから100%正しいものではなく、99%の正解と1%の誤りがあるという指摘は重要。
投稿元:
レビューを見る
元々は全5回で行われた講義を、5章にわけて書籍にしたものであり、①アダム・スミス、②ケインズにつながるマルサス、リカード、マルクス、③ケインズ、④シュンペーター、⑤ハイエク、フリードマンと経済史の大きな流れをわかりやすく記した本。全くの初心者にお勧めだと思う。
本書の特徴として、その人の理論だけではなく、性格などの人となり、また直面した当時の課題等を明らかにしていることだと思う。
経済史も多くの人が関わっているので、誰を選び、どのように経済史の流れを描くかが問題だとは思うが、元々講義のためだろうか非常にわかりやすい。そして、経済史の幹ができると思うので、ほかの本で枝葉については学べばよいと思う。
個人的には、あの小泉さんの竹中大臣と思ったが、中身は非常にオーソドックスだった。どの学問や領域もそうだが、1つだけの意見を聞かず、体系だって学び、意見などの立ち位置を学ぶことが大切だと改めて感じた。
投稿元:
レビューを見る
経済学部出身だが今までろくに勉強をしてこなかった自分に、ちょうど良い入門書だった。アダムスミス、ケインズ、シュンペーターなど有名な経済学者の理論が、わかりやすくまとめられていて経済古典の全体像を掴むのに最適。雑学としての読み物にも良い。
経済古典は、その時代の問題解決の処方箋だったんだと、僕らが普段読んでいるビジネス書に近いものだという見方をすると、経済古典への敷居がすごく低くなった気がする。
以下はまとめ。
アダムスミス→ 自己利益追求の推進力と競争という抑制が“見えざる手”に繋がる。
マルサス→人口論が食料不足を招く。→でも結局は人は豊かになればな
るほど、子どもの数を減らすので人口増には一定の抑制がかかった。
マルクス→資本主義の崩壊を予測。→資本の高度化が進めば進むほど、労働力の価値が増し労働者は豊かに。
ケインズ→大きな政府。財政拡大政策。失業をカバーするためにGDPの大きさが不足する可能性がある。その不足を埋めるのが政府の仕事。
シュンペーター→「不況必要悪説」不況が企業を強くする。イノベーション(創造的破壊、新結合)が経済発展の原動力となる。資本主義が社会主義化を招く。
ハイエク→一貫したケインズ批判。個人が出来ないことが政府が出来るわけがない。政府ではなく市場のメカニズムに頼れ。政府を強くすることへの恐怖。政府の失敗はとてつもない犠牲を生む。
フリードマン→スタグフレーション(経済停滞+物価上昇)を説く。ケインズ政策は無意味。人間は合理的なのでマーケットも合理的と説く。
ブキャナン→政府に頼りすぎると必然的に財政赤字が発生する。
投稿元:
レビューを見る
頭の整理ができた。学者が一般人向けにきちんと書いたものには良書が多い。
古典は時代背景を念頭において読むべきであると痛感。特に、ハイエクの育った時代とハプスブルク家の衰退とにさらりとふれている箇所に感心する一方で自分の不勉強を実感する。
投稿元:
レビューを見る
デフレ、低成長、財政赤字、少子高齢化…世界中から日本がどう課題を解決していくか注目されている。
「見えざる手」で有名なアダムスミスや、今の日本の政策の象徴、ケインズ。その問題は何なのか。ケインズ批判のシュンペーター、ハイエク、フリードマン、ブキャナンの主張も織り交ぜながら、本当ににわかりやすく解説されている。おれは元々小泉・竹中の新自由主義と呼ばれる(こう呼ぶこと自体がこの本の主旨から反するが)思想は当時も今も支持していたもののまだ理解が浅かったなと。
竹中さんは頭がいい。(以上2012年レビューやや改変)
再読。この本はリーマン後の2010年発行だが、今読んでもやはりいい。経済学に限らないが、時代と文化の背景あっての新たな知識の出現、そして積み重ねが今の世界をかたちづくっているのだな、と考えさせられる。