電子書籍
広すぎる家の心細さ
2020/06/28 11:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
そろそろ思春期かという頃に、両親を立て続けに亡くした少年。
数ヵ月も悲嘆に暮れたせいか、どこか引っ込み事案であらゆるものに警戒心が強い。
引っ越し初日から謎の老人に追われ、不審な幼児に見つめられ新居はさんざん。
個人的には両親の海外転勤が多かった事もあり、両祖母の家には何度も預けられ盆暮れ正月の連泊も当たり前だった。
二十三区内ながら旧い日本家屋は陽が差し込まない箇所も多く、来客がなければ無駄に広くて落ち着かない。
そんな童心を想起させてくれる部分もある。
閑話休題。新居の周囲には上総の森(鎮守の森である)、幽霊屋敷、化物屋敷が点在する。初めて訪れたはずなのに、強烈な既視感を覚える街並み。
少年は怪異との対峙を決意し、自身の生い立ちに隠された過去を知る。
他方でかつての大尽は成り行きに任せ、つまづきの原因を外に求めやがて猟奇的な破滅を迎えていた。
彼がこの家に越してきた理由、両親を失った真相、全てはある者の策謀で、それは人の死を以て呪詛を完成させるものだった。
怪異は人を殺さない。ただ猟奇一家の氏神・屋敷神でもある禍つ神が人を喰う。
人知れず未完のまま残された呪詛、とうに果てたかと思いきや延々と跡を継ぐ機会を狙う者。
どうにか人並みの幸せを手に入れかけた少年(あんな過酷な目に遭ってよく破綻しなかったものだ…)
しかし呪詛は巡る、見えない仕掛けは彼の命を狙い続け、その好機が整うまで存在を潜めていた。
年齢の割りに聡すぎる少年に違和感を覚えるのと、冗長な説明と謎解きは若干テンポの悪さも感じさせる。
もっとも緊張と不安に支配された邸内の恐怖描写は作者ならでは。
終幕では神霊よりもはるかに恐ろしい存在を思い知らされるのだが…。
紙の本
家が怖い
2019/07/10 03:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
とある家に祖母と引っ越して住むことになった中学生の貢太郎。しかし、その家に対して以前見たことがある既視感が。そしてその家にいる貢太郎に、これでもかと怪異が降りかかります。途中まではウーンと思いましたが、ある意外な事実の発覚をきっかけに俄然と面白くなり、終盤は完全にホラー!この話どう落ち着けるのか?という最終盤で意外な事実が!ホラーとミステリーを堪能させられました。
投稿元:
レビューを見る
うーん、いまいち怖くない。
主人公の男の子が冷静に怖がってるせいなのか、もうひとつ怖くない。設定的には町ぐるみで不気味さを演出していてもいいのに、不気味なのはじいさん一人だし、森の扱いも中途半端な感じだし。結局家の怪異が何を意味してるのかいまいちわからないし。おしい作品だなぁ。
投稿元:
レビューを見る
気持ち的には星3.5くらい。
引っ越した家で次から次へと怪奇現象に襲われる
恐怖体験を描いたホラーとしては十分怖かったけど
ラストの展開含めてちょっと惜しいというか
練りこまれてない感じがした。
作者のほかの作品の出来を知ってるからこそ
ハードルが上がってる部分もあるけど。
森の屋敷神をもう少しうまく使えてれば。。
投稿元:
レビューを見る
家に潜む怪異と、既視感が怖いです。
怪異に論理的な解釈をつけるところが、いつもながらさすがです。
終わり方がなんとも、不気味です。
投稿元:
レビューを見る
元々ホラーよりのミステリを書く作者ですが、今回はホラー・・と思ったら真相はミステリ要素が。なにからなにまでってわけでもなくて、ホラーな部分は世界観というか設定として呑み込んだうえでの真相。ミステリよりのホラーという感じ。
ただのホラーだと元々そんなに興味がないので「だからどうした?」くらいにしか思わないんですが、ミステリ要素が入って個人的にグッと面白さが。
でも問題は最後まで読まないとそれには気づかずに「ホラー小説」で終わっちゃうんだろうなあ。もったいないなあ。
投稿元:
レビューを見る
一つ一つの細やかな描写が読者もその空間にいるような錯覚に落とし入れてくれる。特に音に関する描写は秀逸で鳥肌もの。
三津田心臓の本は全て読んでいるがこれは他の作品よりも読みやすく面白い。
投稿元:
レビューを見る
始めはB級ホラー映画の様だなぁと思って読んでいたのですが、最後の数ページでガツンとやられました。
やはり幽霊より人間の方が断然怖い。
三津田作品にしては怖くない方だと思う。
投稿元:
レビューを見る
最近著者の作品を読み始めて、なかなか怖くてお気に入りの作家になるかと思ったんだけど、そうでもないのかも?っていう。。。
ジャパニーズホラーの怖さは、見えない場所にいる何者かを知覚してしまうことにあると思っている。少なくとも自分が怖いと思うのはそういう感覚。仄暗い水の底からっていう映画は、お化けが全然姿を現さないのが怖かった。
本作では、お化けが見えてしまうのがしんどい。途端に怖くなくなる。森の話も二番煎じ感があったし。
となるとどんでん返しもわざとらしい技巧的な物に見えてきてしまって。とはいえ楽しく読めたことは読めた。
投稿元:
レビューを見る
事故で両親を亡くした少年・貢太郎は、祖母に連れられて都心から離れた町へと引っ越す。12年間、生まれた土地から出たことはなかったのに、引っ越した町に抱く既視感。しかも不気味な老人から「ぼうず、おかえり」と声をかけられる。引っ越した晩から貢太郎を襲う怪異現象。貢太郎は町内会長の孫・礼奈に協力を求め、この町の過去を調べはじめる。
怖がりなんだからやめときゃいいのに、ついつい手を出してしまう三津田さんのホラー。姿は見えないけれど気配はあるって怖すぎる。よくもこんな家から逃げ出さずに住みつづけるもんだ。で、気配だけのはずが、途中から生首やら四肢ちょん切れかけの幽霊が出てきて失笑。真相は面白く、オカルトに終わらず、ちゃんと生身の人間が犯人なのはよかった。だけどその終わり方は嫌すぎでしょう。もっとスッキリ感じよく終わってくれないと眠れない(笑)。
投稿元:
レビューを見る
ホラーというよりは、ミステリーにホラーの要素を足したような、ミステリー強めの印象です。
途中で(あっ…)と何かを察してしまったので、真ん中から後半はちょっと早足になりました。
でもやっぱりそのままでは終わるはずないんですよねー。最後よかったです。
投稿元:
レビューを見る
ホラーだと思って読んだので、ミステリー色強めのラストは予想してなかった!
いくらお金なくてもこの家に住もうとするおばあちゃん、なかなかのメンタルしてるな…。
投稿元:
レビューを見る
小野不由美の「悪夢の棲む家」を思い出した。
詩美絵がどうなったのかわからないのが怖いが多分死んでる?
投稿元:
レビューを見る
2014/10/1 AmazonにてDL購入。(角川フェアのため¥605を¥280で)
2021/9/11〜9/15
三津田さんのホラーミステリ。両親を事故で亡くした貢太郎は、祖母と暮らすことになる東京郊外に引っ越してきた。初めてのはずの土地であるが、住むことになった家に既視感があった。一人になると次々と怪異現象が起こって・・・
いやあ、怖い。これは怖い。これまで読んだ三津田作品で最も怖かったかも。伏線の回収も見事でホラーとしてではなく、ミステリとしても一級品。
投稿元:
レビューを見る
両親を失い祖母と新しい家に引っ越してきた主人公の中1男子の貢太郎は初めて来る町なのに見覚えがあるような感覚を覚える。
ただのデジャブだと考えていたのだが......
老人から訳の分からないことを聞かされたり、魔物に襲われたり、家の中では霊を見たりとホラー全開。
ただのホラーなら霊の正体を突き止め退治してエンドって感じだが、本書は一ひねりも二ひねりもあり、どんでん返し付きのミステリー要素もプラスされる。