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「古方派医師の常用処方」
著者の山田光胤(てるたね)氏(1924-2021)は漢方医です。
本書は著者の常用処方を臨床例と共にまとめたもので、専門誌で好評連載されたものをベースとしています。
山田氏は大正末期に生まれ、昭和26年に東京医大を卒業して医師になります。
虚弱体質で生まれ、幼少期より名医と呼ばれた「大塚敬節氏」の漢方治療を受けていました。
そのため医学生時代から漢方に親しみ、卒業後は大塚氏を師匠として学び続けました。
同氏の娘を娶ったことで師は義父にもなり、古典研究も傷寒論、神農本草経、千金方、外台秘要方(げだいひようほう)など古方派を中心に後世派、折衷派など広く学びました。
90歳を越えても漢方専門の「金匱会診療所」で臨床に立ち、執筆や講演にも精力的に取り組んでいましたが、2021年10月に帰幽しました。
本書は初版が80年に出版されたものです。
著者が繁用している40の方剤を取り上げ、古典を引用し、対象となる症状、応用法、臨床例がまとめられていました。
△温清飲
○黄蓮解毒湯
△葛根湯
◉加味逍遙散
駆風解毒散
桂枝湯
桂枝加黄耆湯
桂枝加芍薬湯
桂枝加附子湯
△桂枝加朮附湯
◉桂枝茯苓丸
桂枝姜棗草黄辛附湯
啓脾湯
△香蘇散
△五苓散
◉柴胡加竜骨牡蠣湯
◉柴胡桂枝湯
△四逆散
小建中湯
◉小青竜湯
真武湯
△十全大補湯
○十味敗毒湯
○大柴胡湯
△猪令湯
○当帰芍薬散
人参湯
△半夏瀉心湯
◉八味地黄丸
麻黄附子細辛湯
○六君子湯
◉>○>△の順に頻用。
わかりやすい文章で、肩肘張らずに読み進めることができました。
古い本ですが処方内容は参考になるもので、時の洗礼に打ち勝った好著だと思います。