紙の本
不思議な世界観
2023/07/10 22:38
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
不思議なワールドでした。登場する家族も、みんな、やや変わってるし、なにより、作者の言ってることが、不思議で、よく分からなかったですね。この作家さんの書物は数冊読んでますが、中でもこれは……ま、好きな方は好きかも。
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「コイビト」が良かった。
わたしの愛しいコイビトはぬいぐるみ
描写が生々しくて、胸がざらざらする。気持ちが悪くなる。
すきよ
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改めて眺めて文庫の表紙可愛いな。
初読みだったけど完全に惹き込まれた。
この作家に関する情報で「生理的」とはよく耳にしていたけれども、思っていた生理的とは違った。
完全に夢の中の世界であり、それに生々しい感触を持たせることができるのがこの作家なのだなぁと思った。
小さな、小さな感触だけを必死に捕らえて、それだけにすがって、あまり周りを見渡してはだめなんだと。五感がすべて。それだけで、世界は暗闇に奥深くつながっているでしょ、と。
まったく目隠しされた少女の絵はそのとおりである。
一貫しての母性と女性性への偏執的なアプローチ。
それから暴力描写がたまに割り込まれるけれど、三島賞かななにかの書評でこの人は暴力的な描写とかに走らなくてももっとほんとうに怖いものを知っているはずだといわれているのを読んだ。
でも私はなんだか、この人はそういった風に人間を見つめた上でこういう偏執的なものを描くというよりは、こちら側の人なんでないかなぁ、と思っている。
こちら側から、あこがれを描く。
だから、そんなに悟らないで欲しいと思っています(笑)
次「マウス」読みます。
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自分の世界を持ってる女の子達のお話。
家庭教師の先生やヌイグルミ、同級生の男の子、、、
篭った世界でそれらと支配、依存、共生する生き方は
傍目からみていると病んでるとしか思えない。
けれども、単純に否定しがたい何かを持っているんですね。
生きるのが息苦しかったと感じたときに読むと多少共感できるかも。
そして、自己嫌悪になれるかも☆
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2作目の「コイビト」がなかなかのカオスで狂っていて、良かった。しかしまあ、男にはこういう小説は書けないのだろうかね・・・。
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観念的。私の趣味じゃないなぁ・・・すごく読むの疲れた。
まぁ強いて言えば「コイビト」はちょっと可愛かったけど。
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3つの作品に共通し、他者からすると狂気じみているともいえる「自分だけの世界」は誰のうちにでもあるものだ。精緻な文章と執拗な描写によってそれが描き出されるが、やや作為的、予定調和的にも感じた。
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「授乳」は想像してた以上に肩すかしというか、「ギンイロノウタ」と「マウス」がよかったので、言葉のあいまいさとか帰結の平凡さがちょっとな、と思った。でもデビュー作だしこんなもんかね。
「コイビト」と「御伽の部屋」は村田沙耶香特有の閉塞感と不気味さがあってよかったけど、「御伽の部屋」のいちいち上から目線な感じが少し鼻についた。構成はすごいと思った。
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生々しい、生理的な気持ち悪さが文章からにおってくる。
表題作の「授乳」だけではいまいち分かりにくかったけれど、「コイビト」「御伽の部屋」の3作を通して読むと、女性性への根源的な嫌悪感というか、露骨なまでの拒否感がしみ出しているような気がします。著者が女性だからこそ描けた雰囲気や曖昧な世界だと思う。
扱っている題材が題材なだけに、どの作品もどうしても不完全燃焼な印象を受けてしまった。
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凄いのは読んでてわかるが肌に合わないベッドシーツのような感じ。
慣れるのにもう少し他の作品も読まないと、かもしれない。
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『あたしたちは今、多分、セックスをしているのだろう。体に何も挿入しなくても、これがあたしたちの作り出したセックスの形なのだろう。そう思った。』
『手遅れという言葉が頭に浮かび、頭蓋骨がきりきりとなって追い詰められた目頭に水分が溜まった。手遅れとはとても悲しい言葉だと思った。』
『帰りたいと言って正男お姉ちゃんが泣く。正男お姉ちゃんの家はここなのに、帰りたい、帰りたいと子供のように何度も繰り返す。正男お姉ちゃんは絵の中に行きたいのだとあたしは思う。でも行ったこともない場所にどうして帰りたいと思うのか、やっぱりあたしにはよくわからない。』
「お姉ちゃん、お姉ちゃんはそこに帰って何するの?」
「眠りたいの。安心して眠れる場所に帰りたいのよ」
『誰かの自慰に暇な人間が付き合うことを、セックスと呼ぶのだと思っていた。あたしはいつでも暇だったから、いろんな人の自慰を観察してきたと思う。』
『性器は頭脳の中にあって、体についているものはただ、そこを稼働させるためのスイッチに過ぎないと思っていた。その昔人間がまだ動物だったころの名残で、そこに触れたり挿れたりするのはただの儀式だと受け止めていた。』
『今まで、なぜか自分は妊娠しないだろうという漠然とした自信があったが、ケンの精液は違うと思った。今まで子宮に吸い込んできた、ただ終了しましたという記号でしかない、ただそれだけの液体とはまるで違った、ケンのそれは命の塊だった。そんなものに体内に泳がれたらあたしの体には確実に命が宿ってしまうだろう。あたし自身ほとんど夢うつつで生きてなんかいないのに、あたしの腹部をあたしよりずっと生命力があるものに侵食されるなんて、呪いのようにしか思えない。あたしはのがれようと走り続けた。』
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現実と親密になれなかった三人の少女。
現実から愛情を受け取れなかった彼女らは、それでも安心を得るため自分の中に擬似的に「息子」「恋人」「飼い主」を創り出す。
妄想に依存し、その中で必要とされることで安心を得る。
自分の中に逃げ込んでしまった彼女らには他に逃げ場がない。
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あかん、これは女性でないと分からない小説やと思う。
女性に読んでもらって、女性に何かを伝えたくて書いている意図がはっきり見えてくる。
自分の中にドロドロと嫌悪すべき何かを持っているのは、性別問わず一緒だとは思うけど、それをどう表現してどう理解を得るか(あるいは理解されないようにするか)という関門が、この小説の場合は女性専用で設けられている。
男子禁制、☆×2としてみたが、この小説を理解していないので、いつも以上に参考にならん評価です
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「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の三篇。
村田さんの本は初めて読んだものの、肌に合っていたのかどれもとても面白かった。身体の表現が生々しく、嫌悪感をいい意味で感じることができた。
どの作品もなんだか息苦しくて不気味。女性の役割から逃げているような女の子たちが主人公で、共感できる部分も多々ある。
個人的に一番好きなのは「授乳」。
授乳という母性を思わせる行為にやらしさを感じたし、文章の雰囲気が圧倒的。
あんな先生がほしい。というか、庇護欲を満たしてくれるような都合のいい存在が欲しいのかもしれない。
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現実は窮屈だ。嫌われないように、場の空気を壊さないように、慎重に生きている人間にとっては。だから彼女たちは自分の内側に王国を作る。ありのままに許容される居心地の良い場所。生きてゆくために必要な秘密の時間。しかし過度の依存が現実との均衡を崩していく。現実が自分の内側に浸食し、狂気が現実に漏出する…。
より強固な自分の世界を構築するのか、妥協し現実と折り合いをつけるのか、どちらも選びたくない。酷く気持ちが悪いです。そこが良い。