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高校時代だったか、父親の本棚より拝借して感銘すら覚えた名著。「若い男は本質的に貧乏である」で始まる書き出し。そして「貧乏でなくなったらそいつは若い男じゃない」というふうに裏を返し、一つの意見を上下左右表裏無数の側面から語りつくして読者の理解を誘いつつ、最後は自分の我を通してるだけなのになんとなく納得させられる、橋本治の歴史観、話術ともに冴え渡り、まさに魅せられてしまった名著。もう過去の話が話題になっているが、それでも「本当のこと」は今でも変わらない。社会主義が破れ、資本主義が勝ったなどという単純な歴史ではなく、ともに倒れたんだから「次」を探さないと、という視点にたって書かれている。まだ歴史は「次」を見つけていないのではないだろうか。その意味ではいまだ色あせていないと思う。
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超おもしろい、超楽しい橋本治さんの著作のなかでも、飛びぬけた力作。なんたってコロコロコミックに連載してた経済論をまとめたというから驚き。私はコロコロを読んでいなかったけど、彼に啓蒙された男の子も多かったと思う。経済学に興味なくても問答無用でおもしろいシリーズの第一段。
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バブルとは何ぞや?を簡潔に橋本節で
説いてくれます。数字や情報ではない
解説に感銘を受けました。
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シリーズ第一弾。「バブルがはじけた」といわれた1991年から『ヤングサンデー』誌上で連載されたコラムをまとめた本です。バブルの崩壊によって、それまで当たり前とされてきたことが終焉を迎えたと著者はいい、そのときにどうするかを考えてほしいと若者たちに語りかけています。
第一弾の本書は「現在の自分」がテーマとなっており、「若い男は貧乏である」というテーゼからはじまって、ソ連の現状分析やサブカルチャー論などの長い迂回を経て、現在の日本社会の中で生きるということはどういうことなのか、という議論へともどってきます。
ソ連の分析では、現在自分が感じている不便さを、あるべき社会のかたちへと想像力によってつなぐことができず、しかたなくそれまで当たり前だと思われていた生きかたをつづけていくほかない人間のすがたが、戯画的にえがき出されます。次に、現在のサブカルチャーの隆盛をつくり出した人びとは、ゴミのなかに創造性を見いだしたのに対して、今の若者たちはお仕着せのサブカルチャーを「それが当たり前」だと思って享受していることが論じられます。
そのうえで、『ヤングサンデー』というサブカルチャーを扱う雑誌を読んでいる「若い男」に、いつまでも「少年」=「まだ社会の中で生きていないもの」でいるわけにはいかないという真理が提示されます。現在の自分はどこにいるのかを正しく認識し、社会の中で生きていくことについて考えなければならないと主張されます。
このようにまとめてみたものの、この著者の本ほど、要約することに意味がない本というのはないようにも思います。
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個人的には、橋本治氏は、業績に比べて、
日本で一番過小評価されている作家だと思います。
作家という枠に、入れてしまうのも、どうかなと思うぐらい、
創造的仕事をしています。
この『貧乏は正しい!』も91年に書かれたとは、
思えないほど、氏の日本に対する批評は当たっています。
この一連の著作では、氏は「資本主義という制度は終わった」と、
昭和が終わって平成になる時に言及しています。
昭和64年そして平成元年と言えば、プラザ合意からバブル崩壊までの間の、
ちょうど絶頂期です。その時期に「資本主義はもう終わってる」と言うこと自体
並外れた知性と分析力、そして創造性を持っていると思います。
出版されて30年近く経とうとしますが、今読んでも、
面白いと思います。脱帽すること必須です。