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機龍警察第4弾 警視庁特捜部の主要メンバーすべてが主人公となる。
第一作機龍警察登場、第二作ラードナー警部、第三作オズノフ警部と順を追ってきて、遂に第四作目では姿警部の過去が明かされると思いきや....
特捜部捜査班、理事官、そして与党の副幹事長、おなじみの公安外事警察まで総動員して対決する敵は、チェチェンのテロリスト集団「黒い未亡人」。
ソチ・オリンピック開催の際に、世界中に名を馳せた黒い未亡人が、日本に潜入した。
自らが死ぬことをまったく厭わず、極めて冷静に自爆攻撃を繰り返すテロリストは、国内のソフトターゲットに大規模な攻撃を仕掛ける。
機甲兵装をもって自爆攻撃を仕掛ける相手に対峙するのは、警視庁特捜部「機龍警察」。「黒い未亡人」と国内警察の総力を挙げての戦い。さらに、そこに日本警察の暗部と政治家の思惑が重なり.....
こんなに多くの要素を詰め込みながら、冗長なところはなく、テンポよく物語は進展し、しかも物語は一本の筋の上を辿る。
そして、今回の事案も特捜部員はじめ警察の努力の甲斐あり、なんとか解決する。
しかも、次作への伏線を残したまま。
これは、やはり作者の力量がすごいとしか言いようがない。機龍警察に魅入られた以上、本書を読み逃すことはできない。
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機龍警察シリーズ第四弾はこれまでの作風からまたちょっと変えてきた。今回は突撃要員ではなく由起谷・城木が主役。作者の月村さんは特に由起谷がお気に入りなんだろうなというのが伝わってくる(実際、次作の短編集でもフューチャーされている)。今回は戦場で常に犠牲となる女性と子供からなるテロ組織が空いて。自分たちの身を守るための自衛組織がいつの間にかテロ組織に変質していく恐ろしさが書かれている。またそんな組織に物心つくころから身を寄せる少女シーラの心情も上手く描かれている。そのシーラと由起谷との取調室でのやり取りがこれまでの龍機兵との動的活躍とは対照的な静的緊張感に溢れた良作。由起谷は幼いころからテロ組織で育った少女を変心させることが出来るのか。シーラと“死神”ライザの一瞬の邂逅も後々意味を持ってくるあたり良く練られている。そして日本に上陸したテロ組織「黒い未亡人」の目的とは。これまでどちらかというと宮近より好感の持てた城木の身近にまで<敵>の魔手が近づいていて彼の気持ちの揺らぎも伝わってきて、ますます次作が楽しみである。
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チェチェンのテロリストとの戦いを描いた一作。
毎回誰かの不幸な過去を感傷的に感情たっぷりに描くことで物語を進めてきたこのシリーズ。今回は誰かと思ったら、敵であるテロリストの少女と、捜査員の青年だった。
テーマは「母」。
母との確執や悲しい思い出のオンパレードである。
突然の恋愛ネタにはびっくりしたけれども。
ただまあ、今回は現在の軸の動きが中心で描かれたので前回より☆はひとつプラス。
メロドラマに傾きがちな登場人物の中で、現実的でシニカルに描かれる姿警部の存在にほっとする。
この後のシリーズ展開はどうなるのか。
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機龍警察は鉄板なのである。
作中の一行一行がいい大人の胸を
ドキドキワクワクで一杯にしてしまう。
ここまで完成度の高いシリーズは他にありません
号を追うほどに濃密で狡猾で泥だらけな物語が面白さを加速する。
日本中の男性諸氏に読んでもらいたいです。
機龍警察は鉄板です
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「機龍警察」シリーズ4作目。
今作はチェチェン紛争で家族を失った女性・少女で構成されるテロ組織「黒い未亡人」との闘い。未成年でありながら機甲兵装を駆り自爆をも辞さない敵と対峙することとなる特捜部。これまでとは全く異なる困難な任務、そしてある意味では最強の敵。緊迫感が尋常でない。
戦闘シーンも安定の迫力。「風の妻」ファティマVS姿・「剣の妻」ジナイーダVSライザの生身での白兵戦、ビル内部で繰り広げられる機甲兵装同士の肉弾戦は手に汗握る激しさ。
何よりも少女テロリスト・カティアの存在が大きい。
真正面から向き合う由起谷に心を開いていく姿、同じような境遇のライザからのメッセージ、裏切り者になりながら仲間を救うための決死の行動。胸が熱くなるシーンの連続。
そして悲劇的でショッキングな今作でラストのカティアからの手紙が一縷の救いと希望になっている。ひらがなという所がまたいい。
個人的にはシリーズ最高の内容。
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テロ組織『黒い未亡人』との戦いと由紀谷、城木に焦点が当てられた物語。今作からは突入要員の3人が中心になることはないが、前作で過去を知っている分、各言動により深みが増して見えて面白い。また、1作目から話題に上がっていた「敵」の正体が徐々に明らかになっていく。外部からの敵と機甲兵装で戦いつつ、内部の敵と政治的に争う構造は複雑ながらも読みごたえがあり、飽きさせない。
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機龍警察、自爆条項、暗黒市場、そしてこの未亡旅団とGW期間に一気読み。今回はユーリも息をのむほどのチェチェンでのテロと憎しみの連鎖、未成年テロリスト カティアと由起谷の交流、全編にちりばめられた機龍兵の戦闘シーン、姿やライザと黒い未亡人<剣の妻>、<風の妻>との死闘、等々、読み応え半端なし。そしてラスト、カティアの手紙には誰もが涙するはず。未読の方は是非一気読みを。
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一気に読み切った。
女性の描かれ方「聖母」か「鬼女」か、の極端な描かれ方は気になるが、登場人物の書き分けがうまいので、相変わらずテンポよく読めました。
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文句なし、鉄板の星×5
今更俺が書くまでもなく、このシリーズは大傑作である。
龍騎兵パイロット3人が主人公の3作が終わって、さてどうなるんやろ?と思っていたが、まさかの由紀谷・城木!で、駆け引きモノ現場モノになるんかと思ったら…そういう部分もあってなおかつ、そこも面白いのだが…機甲装兵格闘含むアクションシーンも十分に、どころか壮絶に描かれている。敵方のボスキャラ3人VS龍騎兵3機、手に汗握るシリーズでも屈指のシーンである。
今作も敵方の設定が凄い。イスラム系チェチェン独立派ゲリラ、しかも女性テロリストのみで構成された集団で、自爆も辞さないどころか自爆が常套化している危険集団である。確保すれば自爆、弾が当たれば自爆、人ごみに入れば自爆で、日本警察機動隊が悲惨なまでにヤラれていく。
単なる勧善懲悪モノではなく、こちらもあちらも不幸を抱えていて、人間味も溢れている。今のところ悪役を一身?に背負う、陰に隠れた「敵」とやらの目的はなんなのか?
由紀谷良かったな。そして城木はこのままダークサイドに引き込まれていくのか?あえて影側に振られてから善玉に戻ってくる展開はワクワクできるのだが、戻ってこれるか城木?カティアは今後絡むことはあるのか?そして今回鳴りを潜めた中国系蛇頭のあいつら…
あぁ、今後が気になって仕方がないぞ!
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テロと警察と戦闘マシーンと権力闘争を書きながらラスト1ページの手紙に人間を書いている。これだけ救われない話だからこそ、最後に泣けた。機龍警察シリーズ止まらない。
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シリーズ第四弾。実はシリーズ第3弾が、手元になくて、飛ばして読んだ。今回はチェチェンの自爆テロ集団の話だ。余りに日本人にとっては遠いと思われる話ではあるが、チェチェンの実態が、この作品の中で描かれている通りであれば、余りにも悲しい。そしてロシアの実態も。機龍警察の3人が主ではありながら、今回は、このチェチェンのテロ集団『黒い未亡人』のリーダーのシーラ・ヴァヴィロワとカティア・イヴァレワが大きな意味を持つというか主人公的扱いだ。スケールが大きく、そしてまた近未来的作品ではありながら、日本でチェチェンの自爆テロが発生すると言う余りあり得ない的な物語だ。
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チェチェン紛争で家族を失った女たちだけのテロ組織『黒い未亡人』がゴールデンウィークを控える日本に潜入した。特捜部は公安部と合同で捜査に当たるものの、未成年の少女兵さえ自爆テロを躊躇うことなく、人々を容赦なく巻き込み殺してゆく彼女達の戦法に圧倒されて被害は広がる。
彼女たちの最終目的は、日本のどこにある――?
事件のさなか、特捜部の城木理事官は政治家となった実兄・宗方亮太郎にある疑念を抱き、その過去を探る。また、捜査班の由起谷主任は六本木でひとりの外国人少女を半グレ集団から助けた。
それらの関係が、政府と警察、ふたつの組織を大きく揺るがす奇縁となることとも知らずに。
燃えるように胸が痛む。胸の中の赤い釘が――。
終わらない内戦にすべてを奪われてゆく女たちは、なにを憎み、なにを赦すのか。強制された自爆はみずから選んで死にゆく自爆に変わり、けれどその先に天国などありはしない。誰も死なせたくないのに、みんな殺されてゆく。みんな死んでゆく。間違っている。わかっているけれど、後戻りなど、もはやできるはずもない。
実在のテロ組織『黒い未亡人』を通してストーリーは膨らむ。決して日本人は理解できないであろう複雑な内戦の悲劇と、翻弄された女たちの母性と愛憎を描くシリーズ第4弾。
これだけ一般人と警察官がガンガン死ぬ小説も他にない感じで、そこが容赦なくって好きなところなんだけど。時々くじけます。
今作は城木理事官と由起谷主任の過去に焦点が当たる。そうして徐々に敵の正体が垣間見えてくる章でもある。沖津警視長にちょっと引っかかることろがあったんだけどどうだろう?
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ほんとこのシリーズ面白い。展開がスピーディーだし、それぞれのキャラが確立されてるし、何より背景の世界観、人生観の描写に魅了されてしまう。今回は由紀谷とカティアの心の交流が軸となり、城木と兄の葛藤、テロリストの輪廻、「敵」の影など、ファン心理をくすぐる要素が満載だった。個人的には朱鷺メッセとか栗の木バイパスとかの地元ネタに狂喜しちゃいました。
偶然を信じるな。赤い釘。などのワードが印象強く残る。
いやほんと、このシリーズ面白い。
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官僚の愚かさ、政治の怖さ、警察の強さ、世界の恐るべき裏の実態。そういうものに立脚した構成の強さがある。
今回のテーマはきつかった。
「敵」が少しずつ見えてくる展開にも先が気になる。
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少年兵との戦いは姿、ライザ、由起谷の過去を抉り、オズノフに新たな傷を遺す。
由起谷と城木の回。
「荒れていた」由起谷の過去が語られる。カティアへの真摯な態度が印象的で、オズノフ警部が「痩せ犬の七ヶ条」のひとつを授けるほど。
彼とカティアの物語りは爽やかに終結。
一方の城木は家族問題が浮上。
最後の桂絢子評が不気味。
カティアの過去と現在は読み進めるのが辛かったけど、突入の緊迫感や取り調べの駆け引きには引き込まれて一気に読了。
毎回だが今回は特に警察官殉職しすぎなんだよな……