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大変面白い。
『私たちはみんな、自分がなんの力で動かされているかほとんどわかっていないゲームの駒である。
わたしたちは、心が見せる「決断の錯覚」にころりと騙されてしまう。
いつどこで間違った決断をするおそれがあるかを理解しておけば、もっと慎重になって、決断を見直すように努力することもできる』
この本のよいところは、
人間にそのような不合理があるならば
どのような工夫をすればよいのかという「応用」に具体的に言及している部分がよい。
例えば、
『教育は、社会全体が気にかけている目標
ー社会的目標(貧困犯罪の撲滅、人権の向上)
科学技術的目標(省エネの増進、宇宙開発、ナノテクノロジーなど)
医学的目標(がん、糖尿病、肥満の治療など)
との繋がりをもっとはっきりわかるようにすべきだろう。教育に大きな意味を見いだせる。
生徒が野球選手について知っているのと同じくらい、ノーベル賞受賞者についても知りたいと思うように仕向けるのが、社会としての私たちの課題だ』
あるいは、十戒を読んだ被験者はごまかしをしない、という実験結果から
何か自分を律する気持ちになれるものを行動の直前に読むことは、理性的な行動や判断に効果がある
…のような「応用」できることについての言及が役に立つ。
できれば、そのような「応用」がもっと提示されていれば更によかったと思う。
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意外と読み応えがあって時間が掛かってしまった。
行動経済学がノーベル賞を取って、人間の不合理性を認めていく世論が傾けば良いと考える。そんな日々。
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人間はなぜ合理的な行動がとれないのか、しかしその行動は予想可能で、どう実生活に影響しているか、という論旨を数々の研究事例をもとに解き明かす。選択肢をたくさん持ちたいこと、所有物を過大評価していまうこと、予測や期待が物事の捉え方を影響すること、相対性でしかモノの価値が図れないこと・・・、どれも読みながら「あるある!」と頷きたくなる内容。これらの「不合理な」行動を自覚することによって、自分もしくは社会によってより良い行動をする一助になれるだろう。
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知的好奇心が持てる一冊。
人にとってモノやお金の価値は、絶対的なものでなく、極めて相対的なものであることがよくわかる。
様々な仮説を立てて実験して検証していくプロセスも面白かったです。
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行動経済学をおもしろく紹介してくれている本。
それもきちんとした統計学的な有意差付きで。
そしてこの本は大切なことを二つ教えてくれた。
一つ目は、自分自身を信じられれば、能力はより高まる。
二つ目は、周りを信じられれば、その全員が得られるものは最大になるということだ。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○ものごとの価値を教えてくれる体内計などは備わっていないのだ。ほかのものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する(P.28)
○本書では、ふたつの条件にちがいがあるといった場合、両者に統計学的な有意差があることを指すものとする。(P.35)
○スターバックスでは、ショート、トール、グランデ、ベンティのサイズがあり、カフェアメリカ―ノ、カフェミスト、マキアート、フラペチーノなどの高貴な名前の飲み物を売った。つまり、入店の経験がほかとはちがったものになるように、できることをすべてやった。ほかとはかけ離れた経験にすることで、わたしたちがダンキンドーナツの価格をアンカーに使わず、かわりにスターバックスが用意した新しいアンカーをすんなり受け入れるように全力をつくしたのだ。(P.79)
○実は、お金の話が出たとき、弁護士たちは市場規範を適用したため、市場での収入に比べてこの提示金額では足りないと考えた。ところが、お金の話抜きで頼まれると、社会規範を適用し、進んで自分の時間を割く気になった。
○たとえ性科学の先駆者キンゼーからすでに半世紀がすぎていても、そして、セックスがいかに重要なものであっても、いまだに研究課題としてはタブー視されている(P.182)
○この結果から何がわかるだろうか。第一に、学生はたしかに先延ばしする(大ニュースだ)。第二に、自由を厳しく制限する(等間隔に配置した締め切りを上から強制する)のが先延ばしに一番効果がある。だが、最大の新発見は、学生に締め切りをあらかじめ決意表明できるようにするツールを与えるだけで、いい成績を取る助けになるということだ。(P.210-211)
○わたしたちは安売りしている品物を見て、ほんとうにそれが必要だからではなく、バーゲンセールが終わるころにはすべて売れてしまって二度とその値段で買えなくなるからという理由で、特売品を何度買ってしまったことだろう。(P.276)
○息子や娘の子ども時代がいつのまにかすぎてしまうことに気づかず、職場で必要以上に働く。こうした扉は、閉まるのがあまりにゆっくりで、消えていくところが目にはいらないことがある。(P.276)
○ふたつのグループの成績には、女性のステレオタイプとアジア系アメリカ人のステレオタイプに合致するような差が出た。女性であることを意識させられた人たちの成績は、アジア系アメリカ人であることを意識させられた人たちより低かった。この結果から、自分自身の行動さえ、自分のステレオタイプによって影響を受ける場合があること、ステレオタイプの活性化が、そのときの心の状態やその瞬間に自分をどうとらえているかに左右されうることがわかる。(P.302-303)
○べ���のひとりはメトロの職員で、何年ものあいだストリートミュージシャンの平凡な演奏(まれに逸材もいたが)を聴いてきたため、ベルが並のミュージシャンでないことに気づいたそうだ。(P.310)
●公共財ゲーム(P.357-360)
4人いて、1人10ドルずつ持っている。場に出した金額の2倍を、4人で分配する。つまり4人全員が場に10ドルずつ出せば、40 x 2 = 80、80 / 4 = 20、で1人20ドル得られる。ただポイントは場に出していない人にも分配される。一人がズルをすると 30 x 2 / 4 = 15 になるが、ズルした人は25ドルになって得をしてしまう。そして信頼感を損ねると、このあと何回かゲームをしてもお金出すことはなくなり、10ドルのままで終わる。
この公共財ゲームは、社会の一員である私たちがどのように共有をしているかを表して、信頼があれば全員得をするし、信頼がなければ全員が損をする。
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おもしろかったー!
自分の行動を顧みるきっかけに
・我々は必ずしも合理的な選択ができているわけではないと知る。例えばおとり選択肢に左右されたり、無料と言われた時に行動が変わったりする
・社会規範の世界に市場規範を持ち込んではいけない
・そういうところをきちんと実験しているところがすごいけど笑、性的興奮状態にある人がきちんと判断できなくなることを実証
・現在バイアス:先延ばしにしてしまう
・所有しているものを手放したくなくなる
・選択肢を無くしたくないという謎の欲求
・プラセボ効果はほんとにある
・無意識に嘘をつく場面はある、特に直接金銭と絡まないと増える、一方で十戒を書かせた後は不正行為がへった笑
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ダン・アリエリーの予想どおりに不合理を読みました。
行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」という副題がついています。
伝統的な経済学では人間は合理的に最適の行動を行うことを前提に理論が組み立てられていますが、この本を読んでいくと実は人間はしばしば非合理な決断を行っていくことがわかってきます。
例えば、無料!ということによってどれだけ判断が狂ってしまうのか、ということが実験を通して解説されていて、日本の諺「ただより高いものはない」が実証されていくのは面白いと思いました。
この本に書かれているように自分の判断はいろいろな要因で非合理になることがあると言うことを肝に銘じておこうと思いました。
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人は合理的に動くものであることを前提にして、経済学は考えられているが、感情によって簡単にアホな消費行動に変わるということを平易な文章でまとめた本。自分も同様の経験があることが、実験結果によって体系的にまとめられており、発見がある。一種のあるある本。
被験者はアメリカ人であるが、行動が日本人にもほぼ通じていて面白い。一方でここは日本だと違う結果になりそうなものもあった。グループの人たちに対し順番にメニューを聞いた場合、自分が本当に飲みたいのとは違うのに人と被らないような注文をしてしまうという実験があったが、日本なら皆んなと同じにしてしまうのでは。
アメリカ人は貯蓄を全然しない話も驚いた。
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この行動経済学という分野は、現代の消費社会ではとても重要な役目を果たしています。
ここに登場する実験で得られた成果は、テレフォンショッピングのような場面で日常的に使われているのに気づきます。マーケティングにあっては、もう欠かせない理論と言えるのかもしれません。私たちは、日々選択の場面の連続で生きています。誰もが自分のその時の決断を合理的にした、と思っているのですが、実際にはその後に人生に大きな影響を与えているかもしれない不合理な選択だったとしたら…ソクラテスは「吟味されない人生は生きる価値がない」と言ったそうですが、その選択本当に最善ですか?と自分に問いかけてみましょう。そこから新たな人生の冒険が始まりますよ、というのがこの本の趣旨です。
イグ・ノーベル賞を受賞している著者だけに、登場する実験はドッキリ…何とか、に出てくるような面白い、いたずら的な実験がいっぱい、自分だったらどうするかなあ〜とか思いながら楽しみながら読めます。「無料」にまつわる仕掛けはわんさかあって、体験的によくわかりました。また「共有地の悲劇」に代表されるような現象が、現代のエネルギー危機を招き、公共の資源や財産を駄目にしてしまうという内容が気になりました。実験にあったように人間は、普段正直であると思っていても、ちょっとした不正、ごまかしをしていることが多い。しかし、多くの人はとんでもない不正はせず正直である。社会全体に大きな影響を及ぼすような私利私欲に走るのにブレーキをかけるためには…人間の内面にある善の部分に働きかける聖書の十戒を思い出させる実験結果に、ほっとした気持ちになりました。この実験は著者にも奇跡をもたらした!と感激させる結果でした。
自分の行動に影響を及ぼす力は、訓練や意思ではコントロールできないことが多い。いかにも人間的、愛すべきとでも言うような行動を取るのは、ある程度避けられません。けれど昨日、無料の試食に惑わされて余計な買い物をしても、あそこでどうして騙されたか自分の行動パターンが分析できれば、次から気をつけるかも?
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人についての学問を①脳科学②心理学③行動経済学という3つの観点から学びたいと思い、行動経済学の入門として手に取った。
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行動経済学から考える人間の選択や行動。
とても読みやすく面白かった。
経済学といっても、人々の経済活動やそれに伴う行動についての研究なので、誰にでも関係してくる内容である。
行動心理学に近いと考えれば、万人に関係するということが分かるだろう。
特に興味深かったのは、「相対性の真相」「社会規範、市場規範」についてである。
おとりの選択肢を使うことによって、人は相手の意図する選択を無意識のうちにしてしまうことがある。
それは、「相対的」な判断による結果で、きっと不動産広告なんかに使われているんだろうと思う。
無報酬での活動が、報酬を得る活動に変わった瞬間、それは社会規範から市場規範に変わり、やる気に対する影響を受ける。
報酬を得る市場規範に準じた方が、やる気になるように思われるが、実際のところはその逆である。
人々は報酬を受けると、その報酬に見合った活動しかしなくなる傾向があるのだ。
他にも、興味深い実験結果が多くあったが、特に上記の二つが印象的だった。
行動経済学をビジネスの場面で実践できたら面白いと思った。
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はやりの行動経済学本。ファスト&スローよりも歩み寄る文体で書かれているような感じがし、読みやすい。
心理学を一時期勉強したが、全く身が入らなかった。各種心理現象の存在は面白かったが、現実の場面でどのように活かされるのかがよくわかっていなかった。
その点、行動経済学は人間の経済活動と心理の関係を題材にしているため、自身を振り返りながら学ぶことができ、とても面白い。
この本の感想であるが、7章、8章が印象的だった。
7章の保有効果。さほど行きたくはないものの、たまたま当たったライブのチケット。調べてみると、多くの人が落選していた。そんな倍率の抽選を勝ち抜いた私のチケットは、とても素晴らしいものに思えた。まさにその効果だ。
8章の扉ゲームの話。選択肢がなくなっていくことは人間にとって耐え難いことだという。私も、数々のちょっとした興味から、色々な入門書籍を購入し、積読状態となっている。いずれ読むかもしれないから、中古屋に売りづらい。もし読んでみたら、気にいるかもしれないし。でもその選択肢は、読まずにいる私の心の裾をか弱く引っ張り、本当にやらなくてはならないことの邪魔をする。いくつもの選択肢に引かれ、しまいには動けなくなってしまう。そんな本たちは、もっと早く手放していれば、もう少し高く売れるだろうが、日焼けし処分する羽目になる。
正直、こうした実例がわかりやすい内容のものほど、漠然とした理解で読み進めることになる。本質や、行動経済学の目指すところは13章の最後にまとめられていることと思う。書いてはあるが、自分の頭に残すことが難しい。今後も関連書籍を読みながら、行動経済学的思考を身につけていきたい。
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面白い。実に面白い。
これが経済学なのか?と言う疑問もないわけではないが、人間の行動特性を正しく考慮すれば経済学だけでなく色んな分野に応用できるだろう。
もし生まれ変わることができるなら、今度は文系に進んで経済学をやってみたい、と思わせる本だった。
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デューク大学教授で行動経済学者のダンアリエリーの著書。
人間が本来合理的だという、一般的な前提が覆される
◯人間は物事を絶対的な基準で決まることはまずない。
・人が良いモノを使ってるのをみて欲しくなるし、誰かの生き方をみて初めて自分の生き方はこれだと気づく。
・三つ選択肢があれば真ん中を選ぶ、そこに売りたいものを置く。
・高いメニューを乗せると、レストラン全体の売り上げが伸びる。
・おとり効果。AとBの比較が困難なとき、明らかに下位互換のA’があることでAが引き立つ。
◯需要と供給の誤謬
・人に何かを欲しがらせるには、それが簡単に手に入らないようにすれば良い。
・最初の価格はほとんど恣意的で、デタラメな質問に対する答えにも影響される。しかし一旦価格が決まると、関連する品物の価格まで方向付けられる。
・ダンキンドーナツの安いコーヒーにアンカリングされた顧客がスタバの高いコーヒーを買わせたのは他とかけはなれた経験を用意できたから
・より良い決断に役立つものではなく、自分の選択を正当化する情報を探す。
◯ゼロコストのコスト
・無料に飛びつくのは、何かを失う恐れがないから。
・配送料無料にして爆発的に伸びたアマゾン
・ゼロは全く別の概念。無料を利用して客を集めよう。
・額の大きさによらず、出費するときに痛みを感じる。何も払わないときの幸福度は非常に大きい。
◯社会規範のコスト
・友達の頼み事のような社会規範の世界と、金銭のやり取りによる市場規範の世界を混同してはならない。
・社会規範に従った方が人は熱心に動く。
・「一番高いセックスは、無料のセックスだ」by ウッディアレン
・一度社会規範から市場規範に移ってしまうと、そこから戻すことはまずできない。
・人をやる気にさせるのに、お金に頼るのが最も高くつく。
・プレゼントにせよ、デート代にせよ、福利厚生にせよ、金額を明らかにすることで悪影響が出る。
・市場規範に持っていた途端に、経済合理的な行動をとる。従って、他者の幸福を考慮するようになるには、社会規範から出ないようにすることが重要。
◯性的興奮の影響
・正常ではとらない判断をしてしまう。
◯先延ばしと自制心
・人は先延ばしをしたくなるが、少しでも克服するには、事前に自ら決意表明をすることが大事。
・また、そんな自分の弱みを自覚している人ほど効果は大きい
・定率強化スケジュールでは、ラットがレバーを決まった回数を押すと餌の報酬がもらえる、変率強化スケジュールでは、ラットがレバーを適当な回数押すと餌がもらえる。このとき、後者の方がやる気が起き、報酬が無くなった後も働き続けた。メールチェックは後者、対策は自動チェック機能を外すこと。
・ある望ましい行動が目先のマイナスの結果に繋がる場合、最終的な結果が非常に望ましくても、その行動をとるように鼓舞するのは難しい。
目先の強力なプラス効果を与える手を探すのが有効。���分が好きなものと、嫌いだけど自分にとってよいものを組み合わせることで、欲望と成果を結び付けられる。
◯高価な所有意識
・自分がすでに持っているものに惚れ込み、過大評価してしまう。
・手に入るかもしれないものより、失うかもしれないものに注目する
・他の人が取引を見る視点も自分と同じだと思い込んでしまう。
・仮想の所有意識を持つと、その立場を維持するためにコミットが強まる。
◯扉を開けておく
・人は選択肢を選べない。決断しないことによるロスに気づけない。
・他の選択肢が消える可能性があると、より選択肢を選べなくなる。
◯予測の効果
・前もって美味しそうだと信じた時は、やはり美味しい。
・マーケティングとは、情報を提供することで予測される喜びを高め、ひいては本当の喜びも高めようとすることである。
・豪華な雰囲気、良いワイングラス、美しい盛り付けが味自体を良くする。
・肯定的な予測は物事をもっと楽しませてくれるし、世界の印象を、良くしてくれる。何も期待しないことの害は、それ以上何も得られずに終わってしまうかもしれないということ。
◯価格の力
・プラセボはわたしが喜ばせようという意味のラテン語から来ている。ぷらせぼは暗示の力で働く。人々が信じるから働く。
・値引きされたものを見ると、直感的に定価より品質が劣っていると判断する。そして本当にその程度のものにしてしまう。しかしこれは意識することである程度克服できる。
◯不信の輪
・みんなが協力し合えば、信用が高まり社会の全体的な価値は高まる。
・不信は感染する。嘘の広告や、詐欺、協力しない人を見ると、こちらも同じように行動し始める。信用が低下し、はじめ利己的な行動で得をしていた者を含めて、誰もが損をする。
◯品性について
・人は自分に都合がいいときだけ正直になる。
・チャンスがあるとごまかしをするが、決してめい一杯ごまかす訳ではない。
・事前に十戒を読んだり、誓約書を、書くなりして正直さを考え出すとごまかしをやめる。
・たいていの不正行為は現金から一歩離れたところで行われる。えんぴつや会計や日付と違い、現金は不正しにくい。
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『あなたは合理的な人間ですか?』という質問に100点を付けられる人が疑わしく思える程度には、人は人間の合理性を信じていない。だが、0点よりは多く付けたほとんどの人は、本書を読んだ後も同じ点数を付けられるだろうか。
比較対象があるだけで高値に納得し、アンカリングにより最初に記憶した数値により提示可能金額が引きずられ、『無料!』と書いてあるだけで数字の比較ができなくなる。行動に値段が付けられれば意欲はなくなり、性的興奮時にいつも通りの選択を選べるわけもない。所有しているだけで物の価値がわからなくなり、ただ選択肢を残しておくためだけに多大なコストの支払いも厭わない。雰囲気や予測で味覚が変わり、価格が高い方が良いものだと錯覚する。
本書を読んでいると、合理的な選択が可能な瞬間が存在するのかさえ疑わしくなってくる。誘引にあふれた世界で選択は常に揺さぶられ、無意味なインセンティブのために奔走する。しかし、そんな不完全な状態で社会はここまで繁栄してきたとすれば、全ての人の不合理を予測可能になったとき、社会は一体どう変容するのか。行動経済学が描く未来は興味深い。