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行動経済学を知りたくて購入。
アメリカ文化との違いから実験内容に共感しにくいところもあったが非常にわかりやすい。独特な口調にも時期に慣れるからまずは一章だけでも読んでみてほしい。
個人的にはコカコーラとペプシの実験の話が面白かった。
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ハヤカワノンフィクションをつぎつぎと読み漁っていますが、
なんだかんだで読むのを後回しにしていた一冊。
続編の『ずる』を先に読んでしまっているくらい後回しでした。
『扉を開けておく』の章はとてもおもしろい。
この章では可能性のことを「扉」と称しています。
自分の利益になる扉を選択していく実験をおこなうと、
なぜか多くのひとが不合理な行動をとる(利益を減らす行動をとる)という結果をもとに、
どうしたら不合理な行動を防げるのかをたのしく学べました。
実験の結果から「扉をあけておきたい」という欲求を、
不合理な衝動ときっぱり言い切るところがきもちいい。
また『不信の輪』の章もおもしろい。
「なぜわたしたちはマーケティング担当の話を信じないのか」という切り口で、
ひとが不信におちいる理由を広告という身近な話題でわかりやすく説明してありました。
読みおえて思ったのは、もっとはやく読んでおけばよかったと。。。
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ファストアンドスローも面白かったけど、個人的にはこっちはもっと面白かったかな。以下、個人的なメモと感想。
4章 社会規範のコスト
プレゼント。現金ではなく物品を贈る。この一見経済的見地からすれば合理的とは言えない行為をする意味を論理的かつ端的に説明している。なるほど、私たちは市場規範・社会規範という、二つの相容れない世界に属していて、市場規範的には合理的と言えない行為も、社会規範の世界観を保つ為の合理的な行為だったりするのか。
9章 扉をあけておく
確かに、他の選択もできる余地を残すことで、不合理な結果になることもあるかもしれない。アレヤコレヤ、手をつけて結局身に付かない、確かに。でも、それが本当に正しい選択がどうかを、見極めるのが至難の技。もしかしたらもっと良い条件の職業に就けるかもしれないと、ウロウロしてはいけないと著者は言うけれど、アレコレと試してみて初めてわかるものだってある。要は、決断を先延ばしにしないで、これと思ったら行動に移すことが大切ということか?それが結果的にウロウロになってしまったとしても。
10章 予測の効果
実験結果は「予想どおり不合理」。でも、あー人間って人間だわっ(笑って、かなり楽しめた章。私にも思い当たる節がある。先日東博にて茶の湯展を鑑賞して来たのだが、改めて茶の湯人口の多さに圧倒されると同時に、この人たちは、この、「千利休作」「細川三斎所有」「武野紹選」みたいなラベル無しに、この品々ぬどれだけの価値を見出せるのだろう。というか、そもそも茶の湯の文化自体が、無価値な物を付加価値のある物と人々に信じ込ませることで生まれた幻想の文化、信長と利休プロデュースによる、今で言うブランディングのハシリだよなぁなんて、捻くれ者の自分は冷めた思いで(鑑賞する人々を)鑑賞してしまった。人間って、本質的にはこれからも永遠に変わらない。
12章 不信の輪
本章が別著「ずる」に繋がっていくのか。
共有地の悲劇にて、公共財を各人が公共の物との自覚を持っていれば長期的に見れば自分含め全ての人々が利益を得られるものを、短期的に利益を上げようと一部の企業や人間がズルをし、ズルをするつもりのない者も不信から正当な振る舞いをしなくなり、負の連鎖…って、あーまさに今の世の中だよね。このまま行けば、リンダグラットン著「ワークシフト」の悪い予想の未来(企業に対する不信感・公共資源の枯渇)が待ってるわけか…
不合理で、時に不正直で、自分のことを本当は何にも分かってない愚かな私たちだけれど、その不合理性にも規則性が有り、その規則性を知ることで、個人としても社会としても、より良い未来を探ることが出来ると、提唱してくれる良書。
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ノーベル賞でも話題になった行動経済学の本で、多くの実験に基づき、人間お行動や意思決定がいかに不合理かを簡易に説明してくれていて初心者でもわかりやすい。「持てば持つほどもっと欲しくなる」「現金が絡まないと不正をしやすい」「金銭的インセンティブと社会的インセンティブ」「興奮状態に陥ると判断を誤る」「現在バイアス」「所有効果」など。この分野を深く理解することで「合理的な」意思決定ができるようになるだろうし、他人の意思決定に影響を与えることもできるだろう。「人を動かす」の裏バージョン。
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ファスト&スローの系譜
1.相対性の真相
絶対的にものごとを考えるのは難しく、相対的な方が考えやすい。
最初に提示された金額は、後々の判断に大きな影響を与える
2.需要と供給の誤謬
3.0コストのコスト
ゼロになるだけで、人は冷静な判断ができなくなっていしまう。
4.社会規範のコスト
社会規範と市場規範が存在し、前者は優しさや信頼、後者は金銭でつながっている。
お金を払うと市場規範に陥る。
5.無料のクッキーの力
1セントから無料になると、市場の規範から社会的規範に移行する。
1セントのキャラメルを買う人は自分の空腹を満たすために複数買うが、無料になると家族との思い出などを想起する
6.性的興奮の影響
冷静な状態と、性的興奮している状態とでは、人の行動は違う。
人の行動は感情に左右される。
7.先延ばし問題と自制心
1学期間に3つのレポートを出す場合、最後に期限を設けるより、3つに分けておく方がきちんとこなせる。
8.高価な所有意識
人は自分の所有物の価値を過大評価してしまう
9.扉を開けておく
人は選択の自由を失いたくなく、選ぶことには苦痛が伴う。
価値のない選択肢であっても惑わされてしまう
10.予測の高価
知識が先か、体験が先かで意見が変わる。
安いワインと知ってから飲むより、美味しさを体験してから安いことを知った方が満足度が高い。
11.価格の力
価格が高いことはプラセボを呼び起こす
12.不振の輪
何かに対して不信を感じると、同じ種類の別の物を選択する時にもその不信感が現れてしまう。
13.わたしたちの品性について その1
十戒を思い起こすことは人に正直な行動をとらせる
14.わたしたちの品性について その2
お金を直接やりとりする取引と、ワンクッションしてお金をやりとりする取引とでは不正の頻度が違う
15.ビールと無料のランチ
自分の選択に対して、他の人の意見の影響がないときのほうが満足度が高い。
メニューを他の人に知られずに選択するか、メニューを一番最初に注文するか(2番目以降は前の注文を気にしてしまう)ほうが満足度が高い。
無料のランチは存在しない、なぜならそんなものがあったら誰かが食べ尽くしているから
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猛烈に面白い。ただ、なぜ行動「経済学」という新たな分野を打ち立てる必要があったのか、要は、心理学や社会心理学と名乗ってはなぜいけなかったのかは、まだピンとこない。
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2017/10/02
人は経済学的に動くようにはできていない。
論理的に考えたらおかしい行動も取ることがある。
それをわかりやすい実験で示している本
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非常に興味深いほんである。この本で書かれた行動経済学の存在をしったことは、久しくなかった知的な収穫であるように感じる。日常生活において道徳的に行動するために必要なことは何か、ヒトは正しく行動できるのか、できないのはどんな時なのか、色々と示唆に富む内容である。 非常に興味深いテーマには報酬とプレゼントの関係だ。人間の生活には、社会的な生活と経済的生活があり、ボランティアで行うのは社会的な生活から生まれる行動であり、プレゼントは社会生活を円満にする潤滑油になりうる可能性があるが、わずかでも賃金や金銭的謝礼が発生すると経済的な関係が発生してしまうということ。すると、謝礼を受け取った側は自分の行動の貨幣価値を日頃の業務と比較してしまう。このため、謝礼が多く感じたり不満を持ったりする。このことを踏まえて、他人との関係を気付くことが重要である また、テストの前にモーゼの十回やありもしない倫理規定の存在におわせるあるいは、記憶を呼び起こすだけで、ヒトはずる、虚偽の結果報告、(おそらくカンニング)なども発生しにくくなるという実験があった。このことは子どもの教育においても重要な示唆を与えると思う。どんな時も不正はよくないことだと数多く教えられた人間ほど、やはり法を犯したり、ヒトをだましたりする行為をしにくいのではないかと思った。
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実験が豊富でとてもわかりやすい。
薄々気づいている自分の不合理な行動をずばり指摘されて、本を読まなきゃ知らなかった新しい発見も沢山ありました。自覚するだけでは難しいんだろうけど、そんな不合理な思考・行動に反抗したいなと思ったり…。
行動経済学って実用的で面白いと気づかせてくれる本。
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行動経済学の非常にとっつきやすい入門書です。著者は’’価格の力’’に関する研究と実験でイグノーベル賞も受賞してます
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大変面白い。
『私たちはみんな、自分がなんの力で動かされているかほとんどわかっていないゲームの駒である。
わたしたちは、心が見せる「決断の錯覚」にころりと騙されてしまう。
いつどこで間違った決断をするおそれがあるかを理解しておけば、もっと慎重になって、決断を見直すように努力することもできる』
この本のよいところは、
人間にそのような不合理があるならば
どのような工夫をすればよいのかという「応用」に具体的に言及している部分がよい。
例えば、
『教育は、社会全体が気にかけている目標
ー社会的目標(貧困犯罪の撲滅、人権の向上)
科学技術的目標(省エネの増進、宇宙開発、ナノテクノロジーなど)
医学的目標(がん、糖尿病、肥満の治療など)
との繋がりをもっとはっきりわかるようにすべきだろう。教育に大きな意味を見いだせる。
生徒が野球選手について知っているのと同じくらい、ノーベル賞受賞者についても知りたいと思うように仕向けるのが、社会としての私たちの課題だ』
あるいは、十戒を読んだ被験者はごまかしをしない、という実験結果から
何か自分を律する気持ちになれるものを行動の直前に読むことは、理性的な行動や判断に効果がある
…のような「応用」できることについての言及が役に立つ。
できれば、そのような「応用」がもっと提示されていれば更によかったと思う。
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意外と読み応えがあって時間が掛かってしまった。
行動経済学がノーベル賞を取って、人間の不合理性を認めていく世論が傾けば良いと考える。そんな日々。
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人間はなぜ合理的な行動がとれないのか、しかしその行動は予想可能で、どう実生活に影響しているか、という論旨を数々の研究事例をもとに解き明かす。選択肢をたくさん持ちたいこと、所有物を過大評価していまうこと、予測や期待が物事の捉え方を影響すること、相対性でしかモノの価値が図れないこと・・・、どれも読みながら「あるある!」と頷きたくなる内容。これらの「不合理な」行動を自覚することによって、自分もしくは社会によってより良い行動をする一助になれるだろう。
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知的好奇心が持てる一冊。
人にとってモノやお金の価値は、絶対的なものでなく、極めて相対的なものであることがよくわかる。
様々な仮説を立てて実験して検証していくプロセスも面白かったです。
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行動経済学をおもしろく紹介してくれている本。
それもきちんとした統計学的な有意差付きで。
そしてこの本は大切なことを二つ教えてくれた。
一つ目は、自分自身を信じられれば、能力はより高まる。
二つ目は、周りを信じられれば、その全員が得られるものは最大になるということだ。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○ものごとの価値を教えてくれる体内計などは備わっていないのだ。ほかのものとの相対的な優劣に着目して、そこから価値を判断する(P.28)
○本書では、ふたつの条件にちがいがあるといった場合、両者に統計学的な有意差があることを指すものとする。(P.35)
○スターバックスでは、ショート、トール、グランデ、ベンティのサイズがあり、カフェアメリカ―ノ、カフェミスト、マキアート、フラペチーノなどの高貴な名前の飲み物を売った。つまり、入店の経験がほかとはちがったものになるように、できることをすべてやった。ほかとはかけ離れた経験にすることで、わたしたちがダンキンドーナツの価格をアンカーに使わず、かわりにスターバックスが用意した新しいアンカーをすんなり受け入れるように全力をつくしたのだ。(P.79)
○実は、お金の話が出たとき、弁護士たちは市場規範を適用したため、市場での収入に比べてこの提示金額では足りないと考えた。ところが、お金の話抜きで頼まれると、社会規範を適用し、進んで自分の時間を割く気になった。
○たとえ性科学の先駆者キンゼーからすでに半世紀がすぎていても、そして、セックスがいかに重要なものであっても、いまだに研究課題としてはタブー視されている(P.182)
○この結果から何がわかるだろうか。第一に、学生はたしかに先延ばしする(大ニュースだ)。第二に、自由を厳しく制限する(等間隔に配置した締め切りを上から強制する)のが先延ばしに一番効果がある。だが、最大の新発見は、学生に締め切りをあらかじめ決意表明できるようにするツールを与えるだけで、いい成績を取る助けになるということだ。(P.210-211)
○わたしたちは安売りしている品物を見て、ほんとうにそれが必要だからではなく、バーゲンセールが終わるころにはすべて売れてしまって二度とその値段で買えなくなるからという理由で、特売品を何度買ってしまったことだろう。(P.276)
○息子や娘の子ども時代がいつのまにかすぎてしまうことに気づかず、職場で必要以上に働く。こうした扉は、閉まるのがあまりにゆっくりで、消えていくところが目にはいらないことがある。(P.276)
○ふたつのグループの成績には、女性のステレオタイプとアジア系アメリカ人のステレオタイプに合致するような差が出た。女性であることを意識させられた人たちの成績は、アジア系アメリカ人であることを意識させられた人たちより低かった。この結果から、自分自身の行動さえ、自分のステレオタイプによって影響を受ける場合があること、ステレオタイプの活性化が、そのときの心の状態やその瞬間に自分をどうとらえているかに左右されうることがわかる。(P.302-303)
○べ���のひとりはメトロの職員で、何年ものあいだストリートミュージシャンの平凡な演奏(まれに逸材もいたが)を聴いてきたため、ベルが並のミュージシャンでないことに気づいたそうだ。(P.310)
●公共財ゲーム(P.357-360)
4人いて、1人10ドルずつ持っている。場に出した金額の2倍を、4人で分配する。つまり4人全員が場に10ドルずつ出せば、40 x 2 = 80、80 / 4 = 20、で1人20ドル得られる。ただポイントは場に出していない人にも分配される。一人がズルをすると 30 x 2 / 4 = 15 になるが、ズルした人は25ドルになって得をしてしまう。そして信頼感を損ねると、このあと何回かゲームをしてもお金出すことはなくなり、10ドルのままで終わる。
この公共財ゲームは、社会の一員である私たちがどのように共有をしているかを表して、信頼があれば全員得をするし、信頼がなければ全員が損をする。