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みんなのレビュー156件

みんなの評価3.4

評価内訳

149 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

等身大の20歳のもどかしくも痛々しい感受性

2012/04/21 20:25

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちゃき - この投稿者のレビュー一覧を見る

窓の外を見ると、電車に乗った人と目が合うほど、線路近くに建つのに、
まわり道をしないと駅にたどり着けないという吟子さんの家。
どこか現実と切り離された空間のような、そんな印象。
その立地を想像するのに少し苦労した。

吟子さんの家に居候することになった不器用で臆病な20歳の知寿は、
71歳という、彼女にとっては「死に近い」=弱々しい存在であるはずの
吟子さんの飄々として動じない様子に、苛立ちと同時に、羨望を寄せる。

「吟子さんの歳までワープしたい」と言う知寿。
逆ならともかく、20歳の女の子が71歳になりたいなんて、
普通そうそう思うものではない。

けれど、私の友人で、昔、全く同じことを言っていた子がいる。
おばあちゃん達は、悲しいことも苦しいことも既に経験してきて、
この先、もうそんなに沢山の辛いこともないだろうから羨ましい、
とその子は言った。実に勝手な言い分だと思った。

けれど、例えば、子供の頃は大人になるにつれて悩むこととか
不自由を感じることとか、泣きたくなるようなこととかが
どんどん減っていくのだろうと、何故かぼんやりと信じていたような気がする。

実際はというと、全然違っていて、そういったものは全然減らない。

子供の頃に漠然と感じていた不安や恐怖は経験値と共に薄れていくけれど、
歳を取るたび新しい悩みはどんどん生まれていく。

自身の手癖の悪さについて、

  “誰に何を言われようが、動じない自分でありたいのだ。
   これは、そのための練習なんだと、靴箱のふたを閉めながら言い聞かせていた。”

という知寿は、その行動が愚かなだけに、なんだか痛々しい。
そんなことをしても、人は強くなんかなれないし、
たとえ強くなっても辛いことは減ったりしない。

まだ思春期を抜けきっていない20歳の知寿にはそれがまだ理解できない。

恋人が出来てもすぐに愛想を尽かされ、バイトも長続きせず、
友達と呼べる人もいない。
大丈夫なのか、この子?、と思いながら読み進んだけれど、
吟子さんと暮らすうちに、少しずつではあるけれど変化が現れる。

  “この小さいおばあさんが、もう悲しんだりむなしくなることがなければいいけど、
   無理なんだろう。使い果たしたと思っていても、悲しみやむなしさなんかは、
   いくらでも出てくるんだろう。”

若いから、未熟だから辛い、という訳ではないことに
気づき始める知寿は、そうは見えないながらも
少しずつ成長しているのかもしれない。

知寿のような子が近くにいたら、正直、私は苦手だろうなと思う。
けれど、その嫌な面を含めて全てがとても素直に描かれていて
作り物めいた感がなく、等身大の生身の人間、という感じが強くした。
それが、この小説の一番の魅力かもしれない。

彼女の弱さに対して感じる嫌悪感は、
きっと自分自身にも当てはまる部分だからこそではないか、と
そんな気がして、ほんのり苦いような切ないような、そんな読後感。

  “「吟子さん。外の世界って厳しいんだろうね。あたしなんか、
   すぐ落ちこぼれちゃうんだろうね」
   「世界に外も中もないのよ。この世はひとつしかないでしょ」”

最後の二人のこの会話に、じんっ、ときた。

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紙の本

青山七恵氏の芥川賞受賞作品です!

2020/06/29 10:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、、『窓の灯』(文藝賞)、『やさしいため息』、『かけら』、『魔法使いクラブ』など次々に興味深い作品を発表しておられる青山七恵氏の芥川賞受賞作です。同書は、主人公で20歳の知寿の成長を温かく描いた傑作です。知寿は20歳になったことで一人暮らしを始めます。しかし、二匹の猫と71歳の吟子さんの家で、結局は一人暮らしではなく、居候という形になってします。駅のホームが見える小さな平屋で共同生活を始めた知寿は、キオスクで働き、恋をし、時には吟子さんの恋にあてられ、少しずつ成長していきます。「世界に外も中もないのよ。この世は一つしかないでしょ」という吟子さんの言葉が印象に残る一冊です!

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紙の本

空気のような存在って、いいことなの、悪いことなの?

2019/01/27 19:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

2006年下期の芥川賞受賞作品。芥川賞をとれる作品の基準は、まず面白くないことという評判を覆して、とても読みやすくて、とても面白い作品であった。母の海外勤務によって、遠縁のおばあさん吟子(71才)と同居することろなった主人公・知寿の1年間が、たんたんと描かれている。内向的な主人公が、初対面のおばあさんと暮らす。私なら1週間だって無理だ。付き合っている彼氏とはだんだんと距離ができていく。これは、共感する。空気のような関係というのは、いいことなのか、悪いことなのか、難しいところだ。長く付き合っているとこういう時期は必ず訪れる。別れてしまうか、結婚につながるかは運次第なのかもしれない

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2010/05/11 00:16

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2010/04/23 16:37

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2010/04/24 18:54

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2010/04/25 21:13

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2010/05/02 23:14

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2010/05/08 23:34

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2010/05/09 23:19

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2010/06/26 12:18

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2010/05/26 12:40

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2010/06/01 22:22

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2010/06/07 11:33

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2010/07/22 18:19

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