紙の本
風景を切り取ったような詩が気に入りました
2005/09/03 17:39
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
散文と違って詩では行間を読むことが必要だというようなことを、その昔学校で習ったような覚えがあるが、本当だったろうか。行間は白いに決まっているので、要は限られた文字から想像力を働かせて読みなさいということなのだと思うけれど、どうも私には想像力が欠けているのか、読んだものは読んだ通りにしか理解できない。だから、詩というものが妙にむずかしく感じられてしまう。そして、言葉遊びのような詩ならばすんなりわかる。というよりも、発せられる言葉の音を楽しむことが第一義であって、言葉の連なりはナンセンスなわけだから、読んだ通りにしかならないのだけれど。
というようなことを考えさせられた『谷川俊太郎詩選集2』だった。ここには、谷川俊太郎の主に70年代から80年代にかけての詩が収録されている。もちろん、すんなり読んでわかるものから、むしろ散文と言ってしまってもいいようなものまで、多様な詩が収められている。とても、1人の詩人が編み出したものとは思えないくらいだ。
読んでも理解しにくい詩は、そのまま読み飛ばすしかないのだけれど、この第2巻の中でもう1つなじめそうなタイプの詩を見つけた。叙事詩とでも言うのだろうか。情景が淡々と書かれている詩がいくつかあった。「地下鉄南阿佐ヶ谷付近1974秋」や「東京抒情」だ。目に映ったであろう事物を淡々と書いているだけのものだけれど、具体的な事物が出てくるので想像しやすいのだ。もちろん、そこで谷川俊太郎が描こうとしたものと、私が感じたものは違うのかもしれないが、何か感じさせるものがあるのだ。こんな詩ならば、もう少し読み進めることができるかもしれない。
電子書籍
ことばあそび
2020/06/20 12:44
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投稿者:やっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
おならうた
いもくって ぶ
くりくって ぼ
すかして へ
ごめんよ ば
おふろで ぽ
こっそり す
あわてて ぷ
ふたりで ぴょ
こんなことばあそびが収録されています。
ことばは不思議だといつも思わされます。
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この人の言葉は、いつだって深く深く染み入ってくる。響く。時に痛く攻撃する。日本語を母国語としてこの人の言葉に出会えた幸せを、いつも思う。
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声に出して読みたい日本語、ひらがな。
実際読んだらイントネーションが全然違って注意されましたが。
根気強く見るものでなく、開いたページから見るようにしてます。
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中期・谷川俊太郎をまとめた一冊。「夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった」の即興詩から「定義」の哲学的詩、「はだか」のような児童向けの詩やことばあそびまでその語り口は様々で、この時期の彼が詩人として徐々に熟してきた時期であることが窺える。お気に入りは「さようなら」。
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詩人に触れてみる二回目。詩選集1に引き続き、詩の世界は不思議でいっぱいだが、谷川俊太郎の世界は好き。解説が何故谷川俊太郎が詩人として注目されているのか、参考になる文章だった
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寝る前読書に最適。
「な」、「コカコーラレッスン」、「アルカディア」、「詩めくり」、「ゆうぐれ」、「にじ」が個人的に好き。
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口にしたら生きてゆけそうもない言葉と、口にしなかったら生きてゆけそうもない言葉、それらが同じひとつの言葉であるとき、何故あなたはそこに立っていられるのでしょう?
(p.126 「質問集続」抜粋)
わたしではない
あなた
たとえはなればなれのみちを
あゆむとしても
あす
わたしは
あなたに
あいたい
(p.161 「あなた」抜粋)
かたちで交歓できぬとすればせめて真情でわたりあいたいと考えても、それが手練手管で終わりそうな言葉のはしゃぎようをどうしよう。
*
その女は生きて目前に居る
舌で上唇をしめしてから
後期ロマン派のヴァイオリンの鼻声で
〈ねぇ〉と言う
その〈ねぇ〉はどんなえくりちゅーるよりも
手に負えない(のはきみも御存知)
(p.194 「32 〈ねぇ〉」抜粋)
――――
「あなた」はどこを抜粋すればいいのか悩みました。これは部分じゃなく全体で読んだときに凄く良いんだ。谷川氏は躰を描写させたら天下一品といいますか簡素な言葉で奥行きを出すから堪らないですよね。生活臭の染みついた叙情性に満ちている。エクリチュールは「書かれたもの」という意味ですよね確か。言葉を飯の種としているのに、一人の女性のささいな「ねぇ」という呼びかけに屈しちゃうのかと、屈したと素直に認められるのかと、もうじたばたしたくなります。本書自体さることながら、個人的に高橋源一郎氏の解説の面白さに唸りました。「すべて」以上。超格好良いです先生。
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なかなか良かった。
谷川俊太郎は日本人が詩人で知っている名を挙げる場合に一番よく出てくる日本人の詩人である事を高橋源一郎の解説で知った。
詩が死に親しむことで生へと向かうものであることを、少しずつ私は信じ始めている。
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・夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった
・シェークスピアのあとに
・生きるうた
・コカ・コーラレッスン
・口にしたら生きてゆけそうもない言葉と、口にしなかったら生きてゆけそうもない言葉、それらが同じひとつの言葉であるとき、何故あなたはそこに立っていられるのでしょう?
・スーパーマン
・私の女性論
・十二月十五日
・あいしてる
・うそ
どの詩も本当に素晴らしかったけれど、これらが特に私の心にズンときた。
谷川俊太郎の詩を授業で習ったあのころから私たちは彼に夢中なのだ、と思う。本当に素晴らしい。
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谷川俊太郎の詩作のすべてから新たに編んだ21世紀初のアンソロジー。編集は東北大学で教鞭を取る、中国の詩人、田原(Tian Yuan)。私は長男に俊太郎と名前をつけようとしたぐらい、昔から私淑し、よく読んでいる方だと思います。第1巻のカラー付録には、初版装幀選があり、何冊かは私の手許にもありますが、中には見たことないものも...また第2巻の解説を書いておられる高橋源一郎さんにいたっては、過去にも現在にもたくさんの詩人がいて、
たくさんの詩が存在しているが、谷川俊太郎は、たくさんの詩人のひとりではなくて、たったひとりの詩人であると
今年からはじめた、大学での読み方と書き方の授業通して、生徒の目で言い切っています。
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赤は白じゃないわ
黒も白じゃないわ
だから赤と黒はよく似ているわ
あなたを単純と考えるぼくの複雑
ぼくを複雑と考えるあなたの単純
忘れるな
在る数は1のみ
2より多い数はすべて
幻。
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2もとても面白かったです。谷川さんの優しくて時々ぴりっとする言葉で、世界がどこまでも広がっていきます。心地よいひとときでした。ひらがなばかりのやさしい詩も、ぴりっとどきっとする詩も、好きです。
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P148「あなた」
P268「あいしてる」
のふたつがいいと思いました。
ふたつとも、ひらがなだけの、とてもわかりやすい詩です。
「あいしてる」
あいしてるって どういうかんじ?
ならんですわって うっとりみつめ
あくびもくしゃみも すてきにみえて
ぺろっとなめたく なっちゃうかんじ
あいしてるって どういうかんじ?
みせびらかして やりたいけれど
だれにもさわって ほしくなくって
どこかへしまって おきたいかんじ
あいしてるって どいうかんじ?
いちばんだいじな ぷらもをあげて
つぎにだいじな きってもあげて
おまけにまんがも つけたいかんじ
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私が知っていた谷川さんの詩は教科書でみたようなほんのほんの一部だった。解説に書かれているように、沢山の言葉たち、たくさんの世界が詰め込まれるていた。
言葉がぎっしり詰まっている詩集をいくら読んでも情報過負荷になることはない。詩はどんな情報も伝えないからむしろ情報を一瞬にして霧化してくれる…
ほんとその通りだと思う。何度も何度も読んで味わいたいと思った。