投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本の経済は労働人口・時間、貯蓄率、労働生産性どれをとっても減少している。よって経済成長は無いと一刀両断した上で社会福祉の充実を提言するも、企業には徹底した自由競争を求めます。また、社会福祉には財源の裏付けが必須ですが、消費税の増税と並んで提案されている金融資産課税はゲゼルの自由貨幣にも通じる考え方で、偏在しているお金を回すには妙案かと、禿同な思いを感じた一冊でした。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
最高に面白かった。
前半は、成熟社会となった日本のこれからのビジョン。
後半は、それを達成する為にはどうすればいいのか。
論理建てた説明で、最初から最後まで無駄が無く、興味が途切れなかった。
政治への不信感は、総理大臣のリーダーシップの無さに感じていたが、この本を読んで誰が総理大臣になっても、このままの体制では変わらないことがわかった。
どの政治家もこの本に書いてることぐらい分っているだろうから、官僚の首根っこを抑えつける強い政治家と、国民を正義の方向に導くマスメディアの登場に期待したい。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
自分にとってのバイブルである「戦略策定概論/組織設計概論」の筆者である波頭亮氏の最新作。
「成長論」から「分配論」へ、というサブタイトルに惹かれ、購入。
------------------------------------------------------------------------------------
「自力で生活できない人を国が助けてあげる必要はない」と思う人の比率が日本は世界一高く38%。2位のアメリカは28%。その他の国で10%を超える国はない。
------------------------------------------------------------------------------------
考えさせられるアンケート。Can'tとDon'tを混同しているのか…
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
本書は、日本が成長フェーズから成熟フェーズに入ったことの証明からはじまり、経済政策の転換、官僚機構の改革へと話が及んでいる。それぞれ具体的な数字やグラフによって根拠が示されているため、説得力があるし話も分かりやすい。内容は非常に読み応えがあり、知的刺激に溢れた作品となっている。
特に最終章の「しくみの改革」は示唆に富む内容となっている。難攻不落な官僚機構の仕組みや、それを支えるメディアの不見識などに言及し、改革の方法まで具体的に述べている。例えば民主党の例を挙げ、意欲的かつ真っ当なヴィジョンと政策も持って政権与党になったが、それを実行するための体制としくみが戦略的でなかったために、官僚の手のひらで踊らされる結果となってしまったと考察している。国民の支持率も官僚の思惑通りに動くと考えると、かなり怖い気がするので、国民一人一人が正しい情報を見る目を養わなければならないと実感した。そのためにはやはりメディアが変わることが重要なのだろうと思う。どの新聞やニュースを見ても同じような意見ばかりという状況を打破して欲しい限りである。
タイトルは堅いものの、話の構成が上手く、各章のはじまりに前章までのまとめが掲載されているなど、読み手を意識した編集がなされており、実に読みやすく構成されている。主張は実に明快で、少なくとも僕には、妥当性がある意見だと感じられた。一読の価値は必ずあると思うので、多くの人のお勧めしたい一冊となっている。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
国のありかた。それを実現するためのビジョン・戦略。そして仕組みづくり。成長から分配へという筆者の考えを基に様々提題がされていた。
けど、個人的に考えさせられたのは(本筋じゃないけど)、メディアの話。情報操作。やっぱ、日本しか知らないのは井の中の蛙やなと再認識。一度、情報ソースを整理、選定してみようかな。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
論旨が明快。国家戦略としてのビジョンを示した上で、具体的な取り組み課題にまで落とし込んでいく話の展開が秀逸。
この本から得たことは大きく2つ。
1つは、成熟フェーズを迎えた国家の行く末について考え、その中で企業はどう行動するべきか、いくつかのヒントをもらうことができたこと。
もう1つは、戦略を論じる際の論理の展開。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
もう成長率を望んだ国づくりの時代は終わった。次は富める者と そうでない者との間での、富の再分配がこの国を形作り鍵となる…新しい日本の形を考えるためのヒントが 淡々と示されています。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
成長から分配へと政策のトレンドが変わっていることを明示的に指摘した新書。政策が実行できなきゃ意味がないので、仕組み・組織の改革が必要だと指摘したところは的確だが、その中身は従来どおり繰り返されてきたものである。今の日本にとって重要なのは、きちんとした実行力とそれを担保するガバナンスなのだとつくづく感じられる一冊だが、内容的な薄さで☆3つ。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
バブル時期の盛りに社会人になった私は、給料が安いにもかからわず住宅価格や株価がどんどん上昇して、とても持ち家などできないと思っていました。当時は、その状態が早く終わってくれないかなと思っていたものでしたが、実際にそうなってみると、なってみて初めて分かる不具合な点が浮き彫りになってきます。
これは生活者からの実感ですが、この本では成熟した日本にクラス我々が幸せを感じるために、いままでの経済政策や「しくみ」を変えていく必要があることを説いています。
多くの点から指摘がなされていますが、民主党政権になったので、今まで明らかにされてこなかった特別会計を一旦白紙にするなど、抜本的な改革をして欲しいと思いました。
この本で特に凄いと思ったのは、複雑なやりとりを整理して、純粋の一般会計と特別会計の規模の比較(特別会計が一般会計の4.6倍の規模を持つ)を示した点(p217)にあると思います。
以下は気になったポイントです。
・経済が成長するには、人が増えるか(労働力の増加率)、カネが増えるか(資本ストックの増加率)、賢くなるか(技術進歩率)、のうつのどれかが満たされなければ成立しない(p12、37)
・70年代の実質GDPの成長率は4.2%、80年代は4.7%、それが90年代は1%になった(p32)
・日本の格差はジニ係数で見ると0.314と比較的小さいが、これは我が国には大金持ちがほとんどいないから、日本の相対的貧困率(平均年収の半分以下の階層の割合)は14.9%で、OECDワースト4位で貧困者の割合は多い(p58)
・日本の医療費:34兆円の85%以上は、国民が支払っている社会保険料や税金によってカバーされているので、我々が病院に行ったり処方箋薬局で薬を貰うときに払う金額は、医療費の14%(4.8兆円)である(p62)
・現在の相続税制度は、免税措置があるため実際に払うのは4%程度、しかも実効税率は12%程度(p74)
・日本において公共事業を意図的にカットした時期が02~06年であるが、その結果、経済は順調に成長した(p93)
・アメリカだけが先進国の中で市場主義中心の経済政策をとって小さな政府を実現できているのは、移民受け入れによる人口増の継続にある(p100)
・日本の経済が歪んでしまった最大の原因は、増税をせずに国債の発行に頼った(95年以降、合計226兆円)から(p104)
・2008年度でエネルギー関連の輸入代金が21兆円、食糧関連が6兆円であり、合計27兆円はどうしても必要(p136)
・95~05年間に高いパフォーマンスをあげたアメリカと北欧諸国は雇用解雇がしやすい、一方解雇の自由度の低い、フランス・ドイツ・日本は低成長であった(p163)
・1995年から2010年にかけて平成の大合併と呼ばれる市町村統合が行われ、3232から1727へと減少した、これにより市町村議会の議員数が6.5万人から3.7万人へと4割以上の削減できたが、官僚機構の地方公務員は減少出来ていない(p188)
・2008年の貿易収支の数字には赤字と黒字の両方がある、財務省貿易統計によると7600億円の赤字、国際収支統計では1.16兆円の黒字(p205)
・日本の公務員は、国家公務員が115万人、地方公務員が290万人、公益法人等の準公務員が60万人で合計465万人(p214)
・特別会計とは、年金とか雇用保険とかのように通常の税収とは違う形で入ってくるお金を、年金とか失業給付といった特定の支出に使わるもので特別会計予算も毎年組まれるがチェックは受けない(p215)
・2009年度予算の歳入ベース(重複を省いた純計)で、一般会計は81.6兆、特別会計は138.5兆円、歳出ベースで、一般会計37.1兆、特別会計169兆円であり、特別会計の規模は一般会計の4.6倍(p217)
・2009年時点では、21の特別会計の中に合計53の勘定がある(p218)
2010/09/04作成
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
日本は成長フェーズが終わり、成熟フェーズに入った。だから、経済成長を求めるのではなく、「国民全員に医・食・住を保障する」という分配論を国のビジョンに設定する。そのために、産業構造の変化から官僚組織の構造改革までこの本では提言しています。
やり方の方法論は、私自身ももっと考えたいと思いますが、著者が提唱する国のビジョンや「成長フェーズが終わり、成熟フェーズに入った」という多大なデータを元にした主張は唸るものがありました。
そして、今この国を変えるのは、誰でもない国民一人一人の意識であるというまとめもたまらなく好きです(笑)
もっと多くの人に読んでほしい本です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
政治の本のレビューははっきり言ってかなり勇気がいる。自分より知識のある人たちが喧々諤々してる中で意見を表明すれば、たちまち袋叩きにあるリスクが常があるからだ。
それでもこの本については一筆書きたいと感じる。それは、この本は強者による弱者の為の本だからだと思う。
(書きかけ)
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
至極まっとうで、バランスの取れた主張だと思う。著者が目論んだように、総括的な日本社会の構想も分かりやすく示されている。ただし、そのぶんだけ新書というスペースの中では個々の問題の分析や論証は少し甘くなっていると感じる。最も興味深く読んだのは、あとがきにある、著者の社会論が数年前から変化してきたというその内容であった。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
流石の名著。内容、理論構成全てが勉強になります。
Think!等で良く見かける戦略コンサルタントの波頭亮さんの本。
Twitterでは結構前からフォローさせていただいていたが、本はかなり積読状態になっていた。(結果、後悔中)
ちなみに、アイコンも背表紙の写真もモノクロで手を組んで振り向いているような写真ですが、僕の中で「コンサルタント」という呼称の第一想起がこの姿です。
現在日本に対する社会論で、かなり広範囲を扱っているが、基本的には「現在の各社会システムは経済成長を前提にしてるけれど、もう成熟期に入るから合理性を失っているので、改めてビジョンからしくみまで作り直そう」といった内容と理解しました。
成長期が終わった事を前提にしながら、現在の経済政策は成長期と成熟期の丁度潮目にあたり、その為個別の施策どうしがぶつかったり、打ち消しあったりしている事を丁寧に説明。
例えば、以前のような経済効率改善効果や乗数効果が見込めない公共事業であれば、直接給付の方が目的に対して合理的では?といった形で、現在のしくみが出来るに至った背景と何故合わないのかをファクトを元に説明しています。
一番凄いと思ったのは、反証を視野に入れながらの説明の丁寧さと、分かりやすさの両立。大体どんな本にも、「ここは突っ込まれたくないから飛ばし気味だなー」と感じる部分が一読目からあるものですが、この本はそれを感じる箇所はありませんでした。
難しい事を簡単に伝える、というのはこういう事なのかと思わされる一冊です。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
そこそこ厚い本ですが、サラリと読みやすさがあります。成長するとこで成り立つ社会ではなくなったとし、成熟した中で日本人がより良く暮らす提案書です。
一番ためになったのは、官僚に対する記述です。官僚の粘り強さや賢さ、どのように国民が犠牲になったのか、特別会計の不透明さは読む価値あります。
官僚がいる限り、誰が政治をやっても同じということだなー。
投稿元:![ブクログ](//image.honto.jp/library/img/pc/logo_booklog.png)
レビューを見る
成熟フェーズに入った社会においては強引に経済成長を促進するために公共事業を繰り出すのは老人に霜降りステーキを無理やり食べさせるようなもの。いまさら背が伸びたり筋肉がついたりはしない。1990年代後半から明らかにGDPはゼロ成長。成熟化フェーズに入ったといってよい。一人あたりGDPについては1995年、日本が先進国の中でダントツのトップであったのが1995年以降まったく振るわず、現在は米独英仏すべてに抜かれてしまった。麻生内閣が行った75兆円という大判振る舞いによって日本が経済成長路線に乗れたかというと今も後遺症の真っ只中。結局は経済成長を目的にした政策を実行しても産業構造のバランスを崩し財政赤字ばかりを積み上げるだけであった。最大の失敗は、経済成長を促進する役割を果たしてきた土木建設業が経済を支援する機能を喪失したにもかかわらず90年代以降も経済政策の中での主役の座を降りなかったことである。コンクリートからヒトへはその意味で完全に正しい。但し、効果のない経済政策をとるくらいであれば、成長戦略はいらないとした方がまだましである。これからは成熟化社会を認識したうえで、外貨を稼ぐ国際競争力をもつ高付加価値型輸出産業の育成することが肝要である。外貨を稼げる産業としてはハイテク型環境関連が本命である。他方、成熟化社会の主力産業となりうる内需産業として医療介護産業も育成する。内需型産業は輸出産業にくらべ需要が安定しており、大量の雇用を創出する。平成2年から始まった日本の好景気は企業の収益は好調であっても失業者を減少させていない。企業は無駄を省くことによって競争力を高めたが、省かれた無駄とは実は労働者である。ところで、自分は幸せであると回答した人の割合が世界で最も高いデンマークは手厚い社会保障と市場メカニズムの効率を上手く両立させることで高いパフォーマンスを実現させている。高福祉だからこそ自由経済を実現している。日本はデンマークから目指す政策、そして政策を実行するための戦略と新しい社会のしくみを模索していくべきである。終章では政策断行のため、まず乗り越えなければならない官僚機構改革について述べている。自分たちのやりたいことに対する凄まじい実行力と執着心にはただただ震えあがるばかりである。大政翼賛体制で各メディアをプロパガンダ機関化し、都合の悪い言論者や政治家に対しては封殺・静粛することさえ辞さない。何があっても自分たちの無謬性を信じ、障害を排除する。レクチャー、リーク、サボタージュといったやり口で大臣まで自分たちの意向に沿った方向性でしか仕事をさせない。データを独占し、メディアを掌握し、国会の立法権すら骨抜きにして自らの思惑のままに政策を決定していく官僚。著者は、人事権の掌握、特別会計の解消と、官僚機構改革のための2つのポイントをあげている。残念ながら、民主党はいずれも全くできなかった。はたしてこの国はこれからどうなっていくのであろう。