投稿元:
レビューを見る
キモオモシロイ話だった。
前半と後半とで、途中から読んでいる感触が変化する不思議な小説だと思った。前半は気色の悪いサイコホラーで読み進めるのも気が重い殺人告白文、後半は家族愛に満ちた善人たちが犯してしまう犯罪ドラマである。
吐き気を感じながらノートに書かれた告白文を読んだ。そこには人間性のカケラもない人間のできそこないによる犯行が淡々と描かれ、救いのなさを感じてしまう。一転、ノートを読んでいる主人公の現在の物語は、人間的な強い結びつきを中心に描かれ、そこで起きてしまう殺人までもが、愛の物語を紡ぎ出す。全体を流れるのは、心のないただの人型が、アナタに出会ったことで、人間になった物語。
人間になれて良かったね。
はじまりからは考えられないエンディング。見事だ。
投稿元:
レビューを見る
すごい。こんなに前半と後半で感じの変わる小説もそうそうないのでは。
読メ仲間さんが立て続けに読んでいたので、つられてポチッと。なんとなくグロ系な方かなと思い、ちょっと避けていた作家さん。ということで初読み作家さんです。
恐い系からと思ったら全然、最後は愛ですよ。家族愛全開の終盤。表現とか行動とかが普通ではないけど、でも家族愛故の表現であり行動であり。じぶんのためとかわがままではないのですよ。なんだかやられた感。洋平の言葉、「家族の愛の歴史、憎しみはどこにもない」まさにその通り。印象深い読書になりました。恐ろしい子、まほかる。
ユリゴコロ。はじめのお医者さんの話のシーンで「はーん、拠り所のことか。これを解明していく結末か」などと浅はかにも予想していたら、そんなことは早々に本人により解明。拠り所とわかってもユリゴコロはユリゴコロと。
前半は、気持ち悪いというか嫌な気分になりながらでした。殺人者の日記みたいなものですからねえ。でも、当人に罪の意識がないというか、淡々と記されているため、「もうダメ」とかそんな感じではないです。でも、そこから「アナタ」に出会ってからの文章が変わるんですよ。このガラっと変わった表現が、すごく伝わってきて。人って変われるんだなあ、というか。作中では4冊のノートを読むことで、主人公が殺人鬼の回想をしていくスタイルですが、そのノートの3冊目からは、読みながらチョイチョイ涙ぐみ。ノートの3冊目、4冊目を読むためにこれまでがあったんだ。
そしていつしか殺人者の独白から、父親が語る後日談。そして現在の亮介と千絵の話に。この父親すなわち「アナタ」も数奇な運命というか稀有な人柄というか。まさか美紗子が生きていたとは。いや、細谷さんの描写でもしかしたら、なんて思っていたら最後はそのまんまでしたね。
でも、ノートのわたしと細谷さんは全然別人ですねえ。妹の英美子があまり救われなかったかなあ・・・
沼田まほかるさん、気になる作家さんになってしまった。いつか他の作品も読んでみよう。
投稿元:
レビューを見る
文庫化心待ちにしてました。
この本の素晴らしさをどう表現したら良いのか、その言葉が全く思い浮かびません。
ただ中半から後半にかけては胸が苦しくて、痛くて、読み進めるのがとても辛くて、溢れる涙を留めるのに苦労したことは覚えています。
話の内容を話すとネタバレになってしまいそうなので触れませんが、前半はホラーミステリー、中半は恋愛、後半は家族とそれぞれテーマが違うように感じました。
しかし話に一貫性を持たせ、スムーズに話を展開させていく文章の巧みさ、感嘆しました。
そして登場人物がとても魅力的です。
特に手記に出てくる『アナタ』という人物の言葉一つ一つが胸に突き刺さり、そのたびに心が震えました。
そしていつしか手記の主に感情移入している自分に気づきました。
後半に進めば進むほどに。
特殊な環境で特殊な人生を歩んできた人物なのに何故かしら共感できる部分が多かったです。
不思議ですね。
そして読後には思わず深くため息をつきました。前回はどうだったか残念ながら覚えていませんが、既に一度目を通してる安心感からかもしれません、今回やってきたのは幸福な気持ちそのものでした。
ハッピーエンドともバッドエンドとも受け取れるこの終わり方は、読者に負担をかけず、かつ印象付ける最高の終わり方だと思いました。
沼田まほかる先生、大好きです。
投稿元:
レビューを見る
雷に打たれたような衝撃はなかったけれど、一冊目二冊目の手記の内容は読んでて怖くてたまらなかった。背筋がぞわぞわして、途中で辞めたかったけど、何とか読了。
投稿元:
レビューを見る
他の作品ほどエグさはないものの、話の構成や人をひきつけてやまない文章はさすがといった印象でした。
今まで、猫鳴り、アミダサマ、九月が永遠に続けば、といった作品で人の内面のエグい部分の描写に惹きつけられていたのですが、ユリゴコロは他のものに比べ人の内面のエグい部分は控えめかなと感じました。
しかしそれでも、人をひきつける文章は変わらず、人殺しを記した内容にもかかわらず、その状況の不可思議さが人殺しという非日常を隠してしまっているような。思わず顔をしかめてしまいそうな内容にもかかわらず、本をめくる手は止まらない、とても面白い書籍でした、
投稿元:
レビューを見る
狂気に満ちた行動ばかりにも関わらず、そこで描かれているのは深い愛情であり、グロテスクな場面も多いのに読後感は爽やかという、なんとも不思議な一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
201402/他の作品もそうだけど、まほかるさんにしか出せない湿度・気持ち悪さ・理性では受け入れがたくても納得させられる切なさ、ほんとなんなんでしょう…。恐ろしい作家さんです。
投稿元:
レビューを見る
初めての沼田まほかる作品。
いやぁ〜、参りました。
日本の警察はそんなに間抜けじゃないだろうと、ツッコミたくなるんだけど、納得してしまうところもある。
そんな不思議な感覚を覚えた作品でした。
作者の別の作品も読んでみたくなりますね~。
投稿元:
レビューを見る
前半は読み進めるのが辛くて
やめてしまおうかと思ったけど、
後半は吸い寄せられるように
読んでしまう。
最後は温かい気持ちになれる。
投稿元:
レビューを見る
読み終わった後の、本の世界に取り残された感がすごい。
どうしよう、どうやってこの感情を言葉にしたらいいんだろうとふらふら彷徨ってしまう。
しかもそれが心地よい迷子だから、簡単に抜け出せるわけがない。
投稿元:
レビューを見る
衝撃的だった。
前半の気持ち悪さ、中盤から後半にかけての謎解き、そして感動のラスト。ホントにすばらしい。
手記の謎そのものについてはだいたい察しはついてたんだけど、ラストはやられたなぁ。見事。
ただ一つ気になったこと。
なんでノートを持ち出してコピーしなかったのかな。近所にコンビニがなかったとか?(笑)
まほかるさんの他作品も読んでみたくなった。
投稿元:
レビューを見る
「彼女が~」ですっかり虜になってますが
これまた面白い!!
殺人という狂気が根底にある話なのに
読み進めれば進めるだけ ドロドロした感じはなくなり、
愛を詠っている話に変わっていく。
私自身告白本のつづきが気になってしょうがなく、
頁をめくる手がとまりませんでした。
恐ろしい話だけれど、最後はしっとり綺麗な哀しみのような幕引きです。
投稿元:
レビューを見る
重苦しいものが、すべて愛情のなせるものであることへと、ネガからポジのように反転していく。印象的なのは父親のキャラクターだ。やや女性作家特有のダンディズム美化が残っているが。
これが、こうだったのだ、という謎解きと、その伏線の表し方は、最近読んだ井上剛『悪意のクイーン』に通じるものがある。
投稿元:
レビューを見る
実家の押入れで見つけた殺人日記。。。
それを書いたのは、若かりし頃の、今は亡き母??
いや、そんなはずは。。。
戸惑いつつも、先を読まずにはいられない。。。
しかし、日記は途中で終わっていた。。。
この日記は、果たして真実か?!
前半は、背筋がゾワゾワ。。。として、
なんともいえない不快感と言うか、恐怖と言うか。。。
気味悪さを感じるのだけれど、それでも、夢中になってしまうのです。
そして、次第に、何か少しずつ、あたたかさを感じ。。。
感度のラストへ!!
なんとも、不思議な感覚のすごい本でした。
投稿元:
レビューを見る
軽く読める。設定が納得できない部分も多いが、ストーリーを追いたくなり、ページも進むという感じ。ラストは少し驚いたが、何かそれぞれの登場人物の行く末が未消化でしっくりこない終わり。