投稿元:
レビューを見る
三浦さんがこういう作品も紡ぎだす人なのだと驚く。
タイトルの光の意味を考える。決して希望の光ではない光の意味を。
投稿元:
レビューを見る
津波という、未だに我々にとってはタブーとされているものを
これでもかというぐらいによりリアルに描写されている。
とは言え、この作品が単行本として発表されたのは2008年。
未曽有の大災害となった、あの悲劇よりも前の話しだ。
ショッキングな悲劇を武器にしている作品というわけでは決してない。
読み終えて、この作品に抱いたものは虚無感。
そう、何も残らなかった。この物語を生きる人間たちを
ただ何もできることなく呆然と眺めていただけというような。
圧倒的な傍観者として、ただ眺めることしかできなかった。
ここまで読者を置き去りにする作品だとは思わなかった。
本当の悲劇の前にはそれを体験していない者は傍観者となるしかない。
そこに身を投じることなど出来るはずもなく、偽善も偽悪も何もない。
現実という事実だけが本人たちを駆け巡る。
読み終えて、光と名付けられたこの物語を考える。
光、どのような光ならば彼らを照らし救うことができたのだろうか。
またも無駄な様な考えを頭に張り巡らせ、無駄な一日を過ごす。
投稿元:
レビューを見る
たまんないね…輔も信之も、自分の奥に、確かに存在する…ような気がする…いまのところも、これからも、姿は現さないだろうけど…そんなこと保証はできない…だから、短絡的だけど、たまんないね?となる(苦笑)…で、この後に〝舟を編む〟?…凄いなぁ〜三浦しをんって…うん(^o^)
投稿元:
レビューを見る
小さな島に突如訪れた津波。津波は島に三人の命を残して、全てを奪い去ってしまう。暴力とは何か?何処からやってくるのか?それを、生き残った三人の人生を通して、仄めかされる。
誰もそばにいる暴力に見つからずに生きる事は出来ない。
投稿元:
レビューを見る
なんとなく東野圭吾の「白夜行」を思い浮かべました。混乱の中での殺人、それをネタにゆすられる…みたいな展開が…。でも輔・信之・南海子の口から語られる話は読みやすくあっという間に読み終えた。ここで実花の語り口があったらどう語られていたのか、興味深い。
投稿元:
レビューを見る
会社の人に薦められ読む事になった作品。
三浦しをんという事と、『光』というタイトルから、明るい作品かな~と予備知識なしに読み始める。
読了後の感想としては、凄いドロドロ、登場人物に救いもなく(良い人がいず)、展開も暴力的な部分が多く、『これ、女性が書いてるのか?』と疑った程。
最後まで終始暗い闇の中を漂っていくイメージで、タイトルの『光』が嫌味に感じられる程。
三浦しをん、新境地としては成功なのでは?と思われる。
投稿元:
レビューを見る
大津波で、穏やかだった島が一夜にして壊滅。生き残った少年少女たちがそれぞれ大人になってからの物語。
どうしてもあの震災と重なるシチュエーションだが、初出は2006年。
これを読んで私が一番先に考えたのはタイトルだ。
私はいつも、三浦氏の作品に光を感じてきた。それはまばゆく光るものではなく、ほんのりと片隅にともる小さな光。または、そっと指先を温める柔らかな光。力強く導くのではなく、行く先が全くの闇ではないことを教えてくれるひそやかな光。
それはLEDではなくて、小さなろうそくの灯りだ。
けれど、この物語においては、おそらく違う意味を持つ。
光り輝いていた小さな島は闇に沈む。その闇に紛れて隠していた秘密は光のもとに暴かれる。
この本で描かれている光は、暗がりに見いだす暖かな光ではなく、良くも悪くもまばゆい光だ。
ずっとその中にいられるなら幸いなことかもしれないが、夜の秘密を守りたいと思ってしまった人間には辛い。けれど、光を浴びずには生きていられない。
登場人物たちが心の中に持つ光も、焦がれるように望む光もそれぞれ違っている。違っているからこそ起こってしまう悲劇が苦しい。
まるで夜の虫が光を求めるうちに方向感覚を失って自ら火に飛び込むように。
個人的には、三浦氏の描写と話運びには手加減が無いので、こういう「ちょっと暗め」なお話じゃないほうがいいかな。
投稿元:
レビューを見る
深い。。。闇。。光を当てても吸い込まれる。
人は誰でも罪を犯している。そして、それに蓋をして何事もなかったように振る舞える。
この物語は、それを際立たせて見せ、読者に解釈を委ねている。
受け取った僕は、途方にくれている。
投稿元:
レビューを見る
皆が抱える秘密に光があたってしまうお話。
とある島を津波が襲うシーンから物語が始まる。脱線するが、津波により街が全壊するなんて話を震災の前に世に出していた三浦しをんとは何者なのだと思った。震災後にはそんな話出せないだろうが。章毎に語り手がかわる形式で、ミステリーとしては湊かなえ的な展開。
島で背負った秘密が永遠のものでなくなった時、永遠のものなんかなかったのだと気づかされる。秘密を隠す強さと秘密をさらけ出す強さと、どちらが大変なんだろう。
新宿紀伊国屋で購入。異動してから新宿本店ばかり行っている気がする。
投稿元:
レビューを見る
なんだかいやな話
どろどろは好きな方だけど、これは全くわからん
登場人物の心の中にあるものがわからん
なぜって思うだけで
話の展開もわからん
馬鹿馬鹿しいと思うだけで
結末もわからん
勝手にしろって思うだけで
ただ、椿はろくな大人にならないね
それはわかる
投稿元:
レビューを見る
主人公達にはいつどこに救いがあるんだろう。三浦しをん、こういうのも書ける、というか、書きたかったのか。
投稿元:
レビューを見る
ほんとに・・・ 圧倒的な波に飲み込まれ、揺さぶられ続けました・・・
しをんさんの作品は数々読んでいますが、今回はヘビーでしたね~
望まれない愛情は、歪んで跳ね返って自分を抉り、血を流し続けるんですね・・・
投稿元:
レビューを見る
美浜島を突然襲った津波。
小さな島はわずか5人の島民と1人の旅行者を残して壊滅した。
その直後、中学生だった信之と美花はある秘密を共有するが、実は小学生だった輔もその事件を目撃していた…。
大人になった彼らと信之の妻南海子。それぞれの生き方はひたすら冷たくて、これとタイトルの光と、どう繋がるのだろうと思ったが、解説を読んで少し分かった気がした。
話の終着点をここに持ってくるのもなんだかすごいな、よくこんなふうに書けるな、と、いろんな意味で作者の他の作品との違いを感じた。
投稿元:
レビューを見る
暴力がテーマで性的な問題も絡み、全体的に暗い構成。東野圭吾「白夜行」のようなイメージで読んで行ったが、終盤にかけて一ひねり効いている。この作者はじわじわと考えさせる、感じさせるような作風が結構好きだが、今回も重い割に気に入った。
投稿元:
レビューを見る
自然災害によって人生を大きく狂わされ、成長した後に再会した幼なじみ三人の闇を描いた作品。主要登場人物の一人でありファム・ファタール的な女性の視点による叙述をあえて省き、スリムに絞られた構成が人間の生きる性の儚さと厳しさを際立たせる。そして彼らを待ち受けるその後の人生の危うさに思いをはせてしまう結末の不安定さが胸をざわつかせる。