紙の本
諦めることが負けること
2015/09/14 16:10
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
十年前、地球にはサーネイア銀河アゾルト惑星人がやってきた。彼らは一切、地球人類と交渉することはなく、十二の宇宙船を着陸させ、資源採取をすると一方的に宣言した。友好的に彼らと対話しようとする人類は無視され、排除しようと攻撃する人類は排除され、多くの人々はその存在をなかったものとして、触らぬ神に祟りなしを決め込んでいる。
桜井舞衣は、そんな場所のひとつである信洛島が見える茜陽町に住む高校生だ。十年前、宇宙船の襲来と同時期に母親を亡くしたことで、宇宙人と名のつくもの全てを嫌っている。そんな彼女は、新学年の初日、宇宙船に向かって叫んでいるバカと遭遇する。ヴァルトラ恒星系人なのる自称宇宙人の男は悠馬・森次と言い、舞衣の新任の担任だった。
一緒に引っ越して来たユーマの弟である宗馬・森次は常識的で料理も上手い美少年なのに、その兄は思ったことを素直に口にする男。しかし、教師としての彼は、生徒を諦めず、生徒が理解できる言葉で教え導こうとする、理想の教師でもある。
宇宙人を自称する変人という側面と、生徒としっかり向かい合う教師という側面、そのギャップに舞衣の友人の菱見百合香は惚れてしまい、同じく友人の桂木アンナは状況を面白がる。
そんな彼女たちがたむろするのは、舞衣の姉の茉莉がマスターを勤める喫茶店カトックだ。隣同士で暮らすことになった舞衣とユーマは、妹の麻美も含めて、家族ぐるみで付き合うことになる。
厄介なことは見ないフリをしたり、真面目にバカ正直に生きるのは半笑いされる様な世間にあって、分からないことを分からないままにすることをこそ戒めるバカ正直な男が、閉塞感に苛まれている空気を吹き飛ばし、希望をもたらす。もちろん、それはそんな簡単に出来ることではなく、いかに拒絶されても、諦めず何度もトライする必要はあるわけだが…。
これはひとつの教師の理想像を示すものでもあり、閉塞感を吹き飛ばすヒーローを求める物語でもあり、後悔に区切りをつけ蒙を開かれる女子高生の人生の始まりでもある。
第18回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作品。
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視点がコロコロ変わるのもあってとても読みにくかった。文章全体的にも荒削り感が・・・
内容は熱血教師+SF要素、とりわけウルトラマン要素がたっぷり入っていて、この方面が好きな人は楽しめるはず。
キャラも魅力的で映像化するとすごい面白そう。
ただ読みにくさがストーリーの面白さを消してしまってる。もったいない。
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すでに宇宙人の侵略を受けている地球に、新たな宇宙人ユーマがやってくる。それも高校教師として。そこから生じる様々なあつれきや事件や何やかや…が描かれています。「いい話」です。でも、もう少し複雑な展開があるとよかったかも。(込み入った話が好きなので)
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期待していたものとは違いましたが面白かったです。爽快感がありスラスラ読むことが出来ました。
しかし、視線が変わるのはいただけないですね。新人さんだということもあり、文章については今後に期待です。
私も教員免許をとろうと考えているので、ユーマのように「この人なら任せられる」と生徒に思われるような教師になりたいなあ、と思いました笑
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自分の意志を堂々と貫ける人はかっこいいと思う。
自分の目的に向かって、行動できる人には憧れる。
信念を持って物事に取り組んでいる人は応援したくなる。
例えその目的が、地球侵略だとしても。
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なにこれ超面白い!
新任教師がやってきた.
彼はどうやら宇宙人で,地球侵略にやってきたらしい.
この自称宇宙人・ユーマΔ.
こんな宇宙人なら侵略されてもいい気がするぜ.
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正直、タイトルがつまらなそうだったので、期待していませんでしたが、すごく面白く、最後まで一気に読みました。
モヤモヤした終わり方で余韻を残すような小説が多い中、最後もすっきりしていて私好みでした。
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著作者名が登場する教師の名前という、少し変わった小説。宇宙人が高校生、高校の教師になり、現地の人たちと関わっていくというお話。
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「地球資源を採掘に来た」と、地球に宇宙船が居座っている世界。人々は、嫌悪感を持って接しているが、圧倒的科学カを前に、どうすることも出来ないでいた。
舞依も、幼い頃に死んだ母の、死の原因の一つとして宇宙船(宇宙人)を嫌っていた。
そんなある日、学校に自称宇宙人のユーマが、教師としてやって来る。しかも、舞依とは家も隣どうし。宇宙人嫌いの舞依の学園生活はどうなるのか・・・。
突飛な設定だったので、世界感に入っていき幸いかと思ったのですか、割とすんなり入っていけました。ユーマや弟、ソーマの行動も読んでいて楽しいです。
多少読み幸い所もありましたが、そんな事が気にならない位、楽しめました。
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文章自体は上手いとはいえない。基本的には3人称視点で書いているが、多くのキャラクターの1人称視点の文をその中に混ぜているので、これは誰の思いなのか、これは誰の行動なのかと混乱しやすい。しかしキャラが良く、勢いがあるのでそれほど苦にならず、スラスラ読めた。
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「ウルトラマン80」を今風に作ったらこんな感じだろうか。
高校二年の新学期、桜井舞依は十年前から茜陽町に居座っている宇宙船を憎々しげに見ていると、自称・真の侵略者を名乗る外国人風の男が宇宙船に向かって怒鳴っていた。イタ過ぎるその男は新たに舞依のクラス担任を勤める教師(国語担当)だった。宇宙人を自称する担任と過去にあった事件から宇宙人を憎んでいる舞依は相性最悪。しかしユーマの授業は分かりやすく、指導も筋が通っていて生徒達からの支持を集めていく。そしてユーマが舞依の抱える感情の正体を理解させた時、二人の心は一つになる!
視点が変わりまくるのに困惑もしたけど、ライトノベルはこれでいいんですかね。
話はとても面白かった。
宇宙人アレルギーの桜井舞依とぶっきらぼうだが筋は通っているユーマの二人を主人公として、生徒と教師と宇宙人の物語として軸がブレないようにしているのが好印象。
それでいて兄とは正反対に優しい美少年(ユーマも美青年ではあるが)、家ではだらしない完璧超人の茉莉と幼さと主婦性を兼ね備えた麻美という舞依の姉と妹、噂好きでクォーターのアンナ、ユーマを慕うお嬢様の百合香、掃除をサボるのに命を賭ける暑苦しい幼馴染みの小太郎といったメンツが華を添えたりラブコメしたり、読んでいて飽きない。ユーマが無双するクライマックスもかっこよくて爽快。隠れた傑作だと思う。