投稿元:
レビューを見る
淡々としているが、堅実な話運び。隠居の身である主人公の老境の感慨が今の私には新鮮。老いてから読めば、また一層違った味わいがありそう。
投稿元:
レビューを見る
以前から藤沢作品を勧められていたが、時代小説には興味がなく一度も読んだ事がなかった。ラジオでこの小説の朗読を聴くようになって興味が湧き、始めて読んだ藤沢作品がこれだった。
静かな中に情感溢れる表現力のある、美しい日本語。読み始めは時代小説独特の役職名や剣法用語に苦労したが、しばらく経つと自分がすっぽりと江戸時代に入り込んだような錯覚をおこすほどになった。
話の内容としては、初老になった主人公が隠居生活を送りながら、数々の事件や出来事にかかわっていくもので、良い話ではあったが若干地味なものに感じた。それでも他の作品をもっと読んでみたい気になるのには十分だった。
ただ、始めて時代小説を読むのなら「蝉しぐれ」の方がお勧めかも。映画も悪くないけれど、原作の方がもっと泣けました。
投稿元:
レビューを見る
再読。やっぱりすごく好き。私も佐伯熊太みたいなバリバリ現役やり手の幼馴染や、里尾みたいな嫁が欲しい。平松与五郎みたいな手練れの後輩も居たら良い。
投稿元:
レビューを見る
2011.8.1読了。
読み始め、山本周五郎の「寝ぼけ署長」とダブったけれど、意外や江戸時代を背景にしたこちらのほうが しっくりきた。
投稿元:
レビューを見る
40ほど歳の離れた仲間に貸していただいた本です。
派手さのないゆったりとした作風に、しみじみと心が落ち着く感じがしました。
清左衛門の心情や生活の変化や、その中で事件を解決していく様に、意識が江戸時代の風景にゆっくりと入り込んでいきました。
まだまだ先の、老後の在り方を思い描いてしまいます。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの時代小説。江戸時代の御隠居のお話。
話自体はのんびりしているけど、別にだるさは無くて、
楽しんで読めました。
かなり読みやすいので、時代小説読まない人にも勧められるかな。
投稿元:
レビューを見る
日残りて昏るるに未だ遠し―。家督をゆずり、離れに起臥する隠居の身となった三屋清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨。しかし、藩の執政府は紛糾の渦中にあったのである。老いゆく日々の命のかがやきを、いぶし銀にも似た見事な筆で描く傑作長篇小説。
投稿元:
レビューを見る
Kindleで購入した始めての小説でした
そして、始めての藤沢周平でもありました。
いやぁ、どっぷり藤沢ワールドにはまらせていただきました。
最初の2~3行を読んだだけで、江戸時代の雰囲気を十分に感じさせてくれる文体がステキです。
時代小説って使っている単語が古臭くて取っ付きにくいかな?と思っていたのですが全然そんなこと無いです。
江戸時代に使われていた単語や言い回しがすんなり入ってくるし、何よりその表現が小説全体のスパイスとして機能しています。
単純にいうと「盛り上げて」くれるんですよね。
こんなに文体に酔いしられる本は珍しいです。
読んでいて「気持ちがいい」
そしてそして、沢山の食事シーンが出てくるのですが、これがまたどれも美味しそう!
これを読んだ後に日本食を食べたら「あぁ、日本人で良かったなぁ」と感謝したくなります。
小説自体も、連作短編形式になっていて、各章で物語が完結しているので読みやすいです。
TVでも放映されてたらしいですね。
ビデオが出てたら観てみたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
昔NHKのドラマでやっていて、読んだ原作本。心理描写が、とても好きな作品。短編の集まりなので、読みやすいと思う。
投稿元:
レビューを見る
藤沢修平さんの作品の中で、再読したくなる本です。これで、3回目か。隠居したあとの、寂寥感と空白感というものが、とても実感できます。
投稿元:
レビューを見る
ブログに掲載しました。
http://boketen.seesaa.net/article/366446916.html
投稿元:
レビューを見る
97年3月以来の2回目。主人公の隠居老人・三屋清左衛門が実は50歳過ぎで自分と同じ歳ということが複雑な心境ではありますが、藤沢はやはり老境の枯れた心持ちを描くと天才的ですね。人生の残り日々を数えるというタイトルに込められた気持ちがよく伝わってきます。現役を離れ、目立たない、人が嫌がる仕事に生きる主人公の姿が企業人としても目指したいものだと思います。特に印象に残る場面は若い日々は出世を争い、むしろ禄では上回っていた金井奥乃助が没落して、主人公の前に不幸せな姿を現す章ですが、何とも辛い場面でもあります。しかしながら、藩内の後継者・家老をめぐる派閥闘争による明暗分けであり、派閥闘争というのは、現代の企業ではそこまで酷くないですよ、と藤沢に抗議したいような気がいたします。藤沢の本は登場する女性たち(嫁の里江ほか)が、ほぼ例外なくいずれも賢い理想的な日本女性であることがまた読みながらホッとさせてくれる魅力でもあります。
投稿元:
レビューを見る
義父からもらったシリーズ。
これは藩で用人まで勤めた主人公の隠居後の生活を描いたもの。
隠居という立場の自由さを武器にいろんな事件?を解決していくの。
私、この作者の何が一番好きって、きっと人物の描き方なんだろうなあ。秋以降、あれこれ読んできたけど、全然飽きない。好き。
投稿元:
レビューを見る
隠居した主人公を中心に語られる短編。15編を通して少しずつ明らかになる派閥抗争。
2回目でしたが楽しかった。
投稿元:
レビューを見る
1月26日は寒梅忌であったらしい(読友の松風さんのご教示)。誰が名付けたのか寒梅忌というのは、まことに藤沢周平にこそふさわしいと思う。人は命日を自分では選べないのだが。少しずれてしまったのだが、遅ればせながら寒梅忌にちなんで藤沢作品をと本書を選んだ。本編は著者の還暦前後に執筆されている。篇中の「梅咲くころ」の清左衛門などは、作家本人を思わせるようで、ふと読者の微笑みを誘うかのようだ。作品は15の短篇が集積した物語集で、いずれも捨て難い趣きを持つが、「白い顔」の完成度が最も高いようだ。