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本書を読んで、つくづく会社とは人の集まりだということを思い知らされた。
人には人の数だけ生き方・考え方があり、その中でお互いのもつ共有部分を通して仕事が成り立っている。そのため会社が社員に対して求めるものは同じなれど、社員が会社に対して求めるものはそれぞれ異なってくる。
ただその中で一つ言えることは、どこでどう働こうとも、その人自身に人間力・仕事力が備わっていれば、フィールドが変わっても必要とされ輝き続けることができるということだ。だからこそ、日々目の前の仕事に尽力し、また一方で自分自身と真摯に向き合うことが求めれてくるのではなかろうか?
会社(の名前)が消え、社員が離散しようとも、その人自身の未来やそこで働いていたという過去が消えることはない。これだけ多くの人がいれば、その時々の流れの中で、偶然性が重なりあって思いもよらないことが起きることは十分考えられうる。
起きる起きないという結果に一喜一憂するのではなく、あらゆる可能性に備えながらもポジティブな気持ちで明日に向かって日々過ごしていきたいものである。
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名門「三洋電機」がこの世から姿を消すまでのプロセスを、「去って行った者」それぞれの視点から、様々な切り口で描き出そうとした一冊。生々しい話も多く、読後、複雑な思いに駆られることになってしまった。
全体を通じて(章によってブレはあるものの)、登場する関係者に著者独自の「キャラクター設定」がされていることもあり、全てを鵜呑みにすべきではないと思うが、一方で、今の日本の大企業全般に共通する“病理”と、日本の産業界の“世相”が、本書の素材を通じて色濃くにじみ出しているのも事実であり、全く異なる業界、全く異なる環境で仕事をしている者が読んでも、いろいろと考えさせられるところは多い。
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力作。
サンヨー幹部の取材とか、生々しい。余り世間に知られていない、実際起こった裏事情など興味深い。
歴史が示す通り、日本の製造業は、衰退していくのだろう。この状況でどうするかだ。アメリカやイギリスが手本になるのだろうか。
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日本は「兵隊一流、指揮官三流」とよく言われるが、その名に恥じず(?)前半は経営陣の内紛劇、後半は憂き目にあった三洋社員の再起奮闘が描かれる。
2005~2007年頃にニュースで度々放映された創業家と野中氏、古瀬氏のお家騒動。その裏側には金融三社の暗躍があったことは当時あまり知られていなかった。あの光景を見た社員はどのような気持ちであったのか。
様々な問題を抱えながらブランドを消滅させてしまった三洋。その本源的原因を作った井植敏氏。経営者としての資質は別とし、冒頭インタビューで筆者を招き入れる敏氏の姿は、10万人を率いた人間の懐の深さとともに懺悔の念を感じさせる。
全体としては良書。しかし、同じように撤退戦を描いた山一證券の『しんがり』でも感じたことだが、「現場」には「執行役員」や「取締役」も含まれており、過剰に現場を持ち上げたり美化するのもどうかと感じさせられる面もある。
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ある日突然会社が合併され消滅したと思いがちだが、その裏にはメーンバンクの思惑やら放漫経営など様々な要員と兆候があったのだと分かるなぁ。
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新聞の書評で見て表紙の写真に衝撃を受けて読んでみた。
経営幹部から現場の社員まで、様々な立ち位置の人の視点から見えてくるものがある。
技術者が突然姿を消し(おそらくサムスンに引き抜かれた)、いまだに消息がわからないというエピソードと、最後の西松屋にいった方のエピソードが印象に残った。
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様々な人の物語で、「自分の会社がなくなったら」を想像させられる。
「シェアを落とすと怒られる。みんな採算度外視でじゃんじゃん売って、シェアを取りにいく。結果として損益無責任経営がまかり通る」は、どこの業界でもあることなんだなあ、と思う。
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サンヨーの消滅とその後について。現場礼賛、経営痛罵というまあありがちなパターンだが、やはり経営の重要性と現場にいても仕方ないなという感想を抱く。そして会社村の気持ち悪さ。今の俺の気分が前面に出てしまっておる。ただまあ、問題はそれだけではなくて同族経営とか、番頭を育てられなかったとか、諌める人がとか。戦略の迷走とかひたすら戦略の後追いとかもまあ。くっついた先たるパナが悪いというのもあるけども。あと、現場で本当に力を蓄えているならよそでも通用するという救いは用意されているが。
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ものづくり大国日本のなかで戦後の活況を生き、そしてバブル崩壊以降に転落していく今は亡き三洋電機が消滅するまでの物語。
実話を基にした企業勃興の純粋な読み物として面白かった。
技術を預かる職人の力と現場の営業力で培ってきた会社が、誤った判断を繰り返す世襲経営者の無能と投資銀行の論理で解体され、日本的な会社の中で生きてきた残された従業員たちはそれぞれの思いを抱えながら買収先であったり全くの新天地へと向かって行く。
会社を活かすも殺すももちろん絵を描き、そこへと向かわせる経営者の力かと思うが、そのような優れたリーダーが国を代表する企業に選ばれ、力を発揮できる仕組みにこの国はなっているだろうか。
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英国の古くからの投資家がいるのはエジンバラ、シティにいるのは成金
起業家が資本家になり、その資本が推進力となって新しい産業を生む。日本は違う。3代たったら資産を召し上げるシステム
真々庵 京都東山にあるパナソニックの迎賓館
消えた電池技術者 能間俊之
三洋 井植家 公私混同
ハイアール三洋エレクトロニクス 冷蔵庫 アクア
CM 小泉今日子
携帯電話 初めてマナーモード FMラジオ付き TVチューナ付き ノキアと提携 スマートフォンで乗り遅れる
デブラコードるす
ゴパン
新潟中越地震 もともと放漫経営だったのが、業績崩落のきっかけとなった
AMaz 淡路島で電池事業 雨堤徹
淡路島の偉人 高田屋嘉兵衛、井植歳男
西松屋で生産管理 ベビーバギー
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当然ながら一社員にはなす術はない.同様の立場に置かれたとしたら,スキルを磨いておくぐらいしかないだろう.
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前半は三洋電機の落日の日々、後半は元従業員たちの今。前半はゴシップ記事を読んでいるようでいや〜な感じでしたが、後半はなかなか前向きで良かった。次世代の電池開発に挑む社員の溌剌としたエネルギーや、60歳を超えて子供服チェーンでPB商品の開発に挑む人たちに元気を貰えた。それにしても日本も難しい時代に突入したものだ。いざという時に、身軽に振る舞えるような基礎体力を蓄えておかないといけないね。それにしても西松屋、いい感じです。
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所々口説い(というか、コピペ?)が、面白く読めた。三洋電機の給料がパナソニックより2割安い話とか、西松屋チェーンにメーカー技術者が流れたという話が新鮮だった。
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良くも悪くも日経記者らしい企業本。「ガイアの夜明け」的というか。登場人物が実名なので、悪い事はあまり書いてない。実際の10万人の中には、保身に走り他人を蔑ろにした人間や、逆に過酷な現実に直面した無数の社員がいるだろうと推察する。
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2012年、超円高の最終年となったこの年、電機メーカーはパナソニック、ソニー、シャープが大幅赤字に陥り、赤字三兄弟と騒がれた。民主党政権の誕生とオバマ政権の自国産業強化策が重なり、日本の産業界は苦境にあった。これまで何度も苦しい時期はあった。しかし、この頃を境に家電は「輸入するもの」に変わり、量販店にはサムソンやLGの製品が並ぶようになった。この不可逆的な変化はどうして起こったのか、本書をこういう視点で読んでみるのも面白い。
2005年とまだメードインジャパンが充分生きていた頃、筆者たちは家電業界の苦境と三洋電機の沈没を予測した。その予言の成功がこの本を書かせた最大の理由なのだろう。当時も、家電メーカーの乱立とガラパゴス化を懸念する声はあった。経産省が書かせていたのかもしれないけど、今にして思えば、彼らの方が正しかった。であればこそ、業界の問題点と進むべき道に深い洞察を加えてこそ、この本には価値がでる。
三洋の滅びに焦点を当て、前半では征服者を恨み、後半では珠のような社員たちを活かせなかった経営陣への繰り言を述べる。そんな安易な構成で良いのか、というのが正直な感想。恨みや繰り言をベースにするのではなく、産業界の経営高度化に焦点を当てるとかすれば、もっと格調の高い本になったはず。多くの人が感じている違和感の源は、この辺にあるんじゃないか。