紙の本
現在の年金制度の概要をとても分かりやすく教えてくれる
2010/07/11 16:04
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ねんきん定期便」が2009年4月から届くようになった。それまでは、毎月年金保険料を払っていても、自分の年金に関する情報がなく、ほとんどブラックボックス状態だった。だから、ねんきん定期便は大きな情報開示と言える。
社会人になってからこれまで納めてきた年金保険料や、将来の受け取り見込額などが数字で明記されている。特に、「標準報酬月額」の変遷をみれば、”月給の歴史”を一望できるという著者の着想はその通りだと思う。
これをもとに、年金制度の仕組みを解説し、ねんきん定期便の活用の仕方を提案してくれる著者はよきナビゲーターだ。年金制度全体は複雑だが、サラリーマンにとって必要な部分に限定してみれば、意外に分かりやすい。
国民年金の未納が増えていて、年金制度の将来が危ういという声があるが、未納者は年金制度加入者の5%程度に過ぎないので、揺らぐことはないと著者は安心させる。たしかに、サラリーマンや公務員などは給与から天引きされるので、働き続けている限り、未納にはならない。
著者の言うことで意外だったのは、「最低保障年金」が唱えられても、制度の大きな変更の際には、10年~20年の移行期間が設けられるのが一般的なので、政権交代があっても、当面は現行制度の延長で考えておいた方がよいという点だ。すぐにも老後の生活面で心配の要らない年金制度が始まるのかと思いきや、そう単純なものではないらしい。
ただ、選挙のたびに各党とも年金制度改革を打ち出すので、それがいつ始まるのか、どう変わるのかを、有権者としてしっかり把握しておきたい。
本書では、「受給資格を得るには25年」という現行制度をもとにしているが、政党によっては、これを10年に短縮しようと言っているので、特に若いサラリーマンは気にかけておいた方がよさそうだ。
本書でとくにためになるのは、第5章の「稼ぐ力と貯める力が分かる」だ。
自分の毎年の「標準報酬月額」を表に書き込めば、これまでのサラリーマン生活で稼いできたおおよその賃金が推計される。これで、自分の稼ぐ力が高いのか、普通なのか、不足なのかがざっくりと分かる。
また、今の自分の貯蓄額をやはり書き込めば、月給額に対して貯蓄が多いのか少ないのかがざっくりと分かる。これで自分が浪費派なのか、堅実派なのかを知ることができる。こうしたマネーの自己分析はやったことがなかったので、けっこうためになった。
本書を読んでも不安を解消しきれなかった部分は、老後に用意すべき資金額だ。日本の年金制度は充実していると著者は言うが、ゆとりのある老後のために必要とする額を年金だけで確保するのはむずかしい。
著者は、夫婦二人で老後は「月30万円」として計算を進める。男は85歳、女性は90歳過ぎまで生きるとして、65歳以降に合計1億1,320万円が必要になる。公的年金は6,845万円支給される。貯蓄が1,200万円あるとしても、計8,045万円だ。3,275万円足りない。サラリーマンなら退職金が2,000万円期待できると著者は言う。それでも1,275万円不足する。
この不足を補う努力の方法を、著者は次の章で示してくれるが、かなりの自助努力が必要となる。こうした特別の努力がなくてもやっていけるような年金の制度設計が、国民の将来不安の解消や、現在の消費の好転のために、求められるのだと思う。
北欧諸国の高福祉は、そうなっているので、高負担でも国民の不満がなく、消費が落ち込まず、強い経済が維持できている。
このあたりをお願いするのが、政権党への国民の期待になるのではなかろうか。5年後、10年後の政界を予想するのは簡単ではないが、これからの政権党は年金制度だけをとっても、もうひとがんばり、ふたがんばりしなくてはならない。
電子書籍
40歳を過ぎると・・・
2016/03/21 16:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やまちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
40歳を過ぎるとどうしても守りに入るよね。防御を固めて攻めに転じる。今のうちから年金、保険の勉強はとても大事だと思う。この本は勉強になった。特に過去の標準報酬月額の活用の仕方はなるほどなぁと思った。貰える年金額の根拠を知ることは大事だね。
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[ 内容 ]
「年金」と「お金」の基礎を知り、将来のマネープランを立てる。
「見えない不安」が「見える希望」に!
加入者全員に送付される「ねんきん定期便」。
サラリーマンのために厚生年金に絞って知っておくべき知識を厳選して紹介。
制度の仕組みから年金額の計算方法まで「初歩の初歩」をわかりやすく解説する。
定期便を使えば個々人の「稼ぐ力」と「貯める力」がわかるなど意外な活用法も伝授。
すぐ役に立つ入門書の決定版。
[ 目次 ]
序章 「年金」を味方につけよう
第1章 年金、基礎の基礎
第2章 「ねんきん定期便」はこう読め!全マニュアル
第3章 もらえるのか、もらえないのか―「25年」をクリアせよ
第4章 いつから、いくら、もらえるのか―自分で計算してみよう
第5章 「稼ぐ力」と「貯める力」が分かる―マネープラン大作戦パート1
第6章 足りているのか、いないのか―マネープラン大作戦パート2
第7章 足りない時の対策―マネープラン大作戦パート3
第8章 そのほかの「年金」重要事項
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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一時期は騒がれたものの、最近はあまり聞かなくなった年金問題。
問題は何も解決しておらず、ただメディアが報じなくなっただけである。この国民煽動とそれに煽られる国民問題は問題だが、この本とは関係ないので、特に触れない。
そして、年金記録漏れなどから、その解決を目指して国民1人1人に対して加入記録などを伝える「ねんきん定期便」が開始された。
今なお、政治には胡散臭い権力闘争があり、官僚にも負のイメージがつきまとう。
これを主導しているのは、厚生労働省からの派生した独立行政法人である「日本年金機構」
まあ、組織とは往々に巨大になると動きにくくなるものだ。
このように切り離した方がよいというのは、官僚の優れた洞察によるものではないだろうか。
本書を読み、届けられるねんきん定期便の役割などは理解できた。
記載にもあるが、目に見えないことに対する不安があることで、国民は煽動される。じゃあ、可視化すればいいではないか。
このように加入履歴に基づいて、自身の年金額まで出してくれているのだから。
本書執筆の時点ではないが、現在、年金ネットという形でこのねんきん定期便はネット化されている。
http://www.nenkin.go.jp/n_net/
20歳以上のすべての国民が対象である。
ぜひIDを取得してほしい。
だが、年金がわかるだけでは不十分。
それを日常のお金管理と結びつける必要がある。
マネールックというお金管理サービスがある。
https://www.moneylook.jp/
こちらでは、銀行や証券などかなりの金融サービスが管理できる優れもの。こちらで前述のねんきんネットも管理が可能だ。
国民の金融リテラシー教育の欠如は問題となっているが、未だ解決策どころか方向性すら出せていない状況。
1人1人が意識改革をすることでしか、もはや状況は脱せない。
自主自律。これが大切である。
本書は年金に興味のある方には大変おすすめです。
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書名のとおり、ねんきん定期便を活用してご自分の年金について理解を深めることができます。後半のマネープランは中途半端な内容に感じました。
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家族が増えるに伴い、将来の生活設計を考え直す一環として読んでみた。老齢年金に限らず、遺族・障害年金にも言及しており年金制度の基本を理解するには一定の良書と言える。特に老後に実際いくら必要で、いくら受給が見込め、いくら足りないか、計算根拠・方法を示しており、気付かされる人も多かったのではなかろうか。もう一歩踏み込んだ、サラリーマンを対象に具体例を盛り込んだ、社会保険・民間保険・マネー全般の指南書を続編で読んでみたいものだ。
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年金の基礎が丁寧に説明されている。
国民年金の保険料は性別・年齢・所得に関わらず一律で、2017年に1万6900円(改定により16,490円)になって、それ以降は固定される。保険料を40年間納めた場合に支給される満額の老齢基礎年金は、年間79万2100円。
マクロ経済スライドは、物価上昇率から0.9%下げた率で年金額を改定する制度。ただし、物価上昇率が0.9%に満たない場合は年金額を改定せず、物価が下落した場合は、物価の下落率にあわせて改定する。
年金は支給申請をしないと支給されない。年金の受給を繰り上げる場合は、繰り上げた月あたり0.5%減額される。60歳から受給する場合は30%減額され、65歳から受給する場合と比べると、受給総額は76歳の半ば以降少なくなる。受給を繰り下げる場合は、繰り下げた月あたり0.7%増額される。70歳から受給する場合は42%増額され、82歳以降に受給総額は多くなる。
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「ねんきん定期便」が届いたので、どういうものか調べてみた。
すると、日本年金機構のホームページには、
「年金制度への理解を深めて頂くこと等を目的に、毎年誕生月に、ご自身の年金記録を記載した「ねんきん定期便」をお送りしています。」
と書かれている。
ということは、毎年、受け取っていたのだろうか?
受け取っていた記憶はないのだが、もしかしたら、それは、私自身の関心度が低かったからかもしれない。
ともあれ、60歳になったこともあり、今回は、関心度が高い。
見込額を見ると、う~ん、という感じ。
●2023年1月11日、追記。
ねんきん定期便が、到着。
間もなく、62歳の誕生日を迎える。
65歳からの年金見込額は、1,517,029円。
1か月当たり、126,419円。
こんなもんですかね。
●2023年1月21日、追記。
「特別支給の老齢厚生年金」を調べておく。
私の場合は、64歳になると、支給されるようだ。
年額は、817,299円。
1か月当たり、68,108円ですか。
この「特別支給の老齢厚生年金」だが、男性の場合は、昭和36年4月1日以前に生まれたことが、支給要件の一つになっている。
昭和24年から昭和36年にかけて生まれた男性の場合は、支給開始年齢が異なってくる。
私の周辺の人々との会話で、支給開始年齢が嚙み合わないことがあるので、整理しておく。
・昭和24年4月2日~28年4月1日生まれ 60歳から
・昭和28年4月2日~30年4月1日生まれ 61歳から
・昭和30年4月2日~32年4月1日生まれ 62歳から
・昭和32年4月2日~34年4月1日生まれ 63歳から
・昭和34年4月2日~36年4月1日生まれ 64歳から
それから、著者情報を引用しておく。
---引用開始
ファイナンシャル・プランナー(CFP)。埼玉大学経済学部非常勤講師、社会保障審議会専門委員。1959年生まれ。84年、慶應義塾大学経済学部を卒業、朝日新聞に入社。「AERA」「論座」「週刊朝日」などを経て、現在「朝日新書」編集長。「週刊朝日」時代にマネー担当記者としてマネー取材を開始。自身もファイナンシャル・プランナーの資格を取得する。
---引用終了