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紙の本
これで終わりです。でも何だか欲求不満が残る、どう言っていいかわからない終わり方です。
2010/09/05 15:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「東京にはない仕事と恋が、京都にはある」とのコピーを表紙にも入れ込んであるので、変な期待をしたのがいけなかったのか。確かに舞台は京都だし、京都でしばしば見かける骨董店にかかわる話ではあったけれど、読み終えてみるとそれはただ舞台設定の域を出ていなかったように思う。別に金沢でも、長崎でも、場合によっては札幌でも那覇でもありかな、という感じだ。ただしもう一方の設定であるテレビ局とかテレビ制作会社の異動というところにある程度のリアリティを持たせるには、せいぜい名古屋か大阪あたりまでなので、骨董や美術品を扱うということになれば京都にせざるを得なかったのかもしれない。もっともこんなこと考えること自体が深読みなのかもしれないけれど。
ともかく読む側として何か変な期待をしてしまったのだけは確かだ。それまで、どちらかというと東京を中心とした大都会に生きる、比較的若者(というか、作者・柴門ふみと近い世代)の人間模様を描いてきた作者なので、舞台を京都に変えたということでまた違った人間模様を描き出してくれるのかと、勝手に思ってしまったのだね。だから、ついに最後まで違和感を覚えたままできてしまったのだろう。
最終巻となるこの4巻目で、柴門ふみの描き出したかったものが、京都でもなく、テレビ業界の裏側でもなく(これはキャラクター設定が作者の近著『ザ・ゴールデン』の延長にあるからそう思ってしまうのだけれど)、作中の言葉を借りれば「美は、人間の心」ということだったのかと、ようやく何となくわかったような気がする。だから、やはり違和感を覚えてしまったのだろう。それならそうと、最初から余分な設定ははぶいて、真正面から描いてくれたら、もっと面白い話になったのではないか。
もうひとつ、これは私の個人的な好みの問題かもしれないが、重要人物である歳多修治が芸術家であるが故か、どうにも性格破綻者に見えてしまい、そんな人間にどうして女性たちが惹かれていくのかという点も違和感を持ち続けた理由だった。マンガのキャラクターとしてはそれなりに面白くはあるのだろうけれど、ある種リアリティを持ったマンガで評価を得てきた柴門ふみの作品で、「どうしたってこんな人、この世の中でうまくやっていけるわけないでしょう」と思えるキャラクターが重要視されているのが不思議でならなかった。それもやはり「美は、人間の心」ということを描くためのキャラクターならばわからなくもない。
以前別のところでも書いたように、柴門ふみと私はほぼ同世代であり、マンガに出てくるキャラクターには共感できる部分が多かったので、いつしか同世代のことを描いてくれる人だと思ってしまっていたところがあるのかもしれない。いつまでも一つのイメージを持ち続けるのは無理かもしれないし、そんな読み方しかできなくなるとそれはそれであまり良い読み方をしていないということなのかもしれない。
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