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風のなかの櫻香 みんなのレビュー

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みんなのレビュー10件

みんなの評価4.0

評価内訳

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10 件中 1 件~ 10 件を表示

紙の本

奈良と三重の結びつきが唐突であった

2014/05/24 21:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は内田康夫の浅見光彦シリーズの1編である。時折、登場する奈良の寺に関する小説である。今までも当麻寺など、それほど名の知れた寺ではないが、浅見との接点を作っている。今回は尊宮寺という架空の寺が登場し、そこの養女がヒロインである。櫻香とはその養女の名前である。

 尊宮寺とはいうものの、名の通った如意輪観音があり、法隆寺と隣接しているとあれば、もう中宮寺がモデルになっていると考えるしかない。中宮寺は門跡寺院で格の高い尼寺である。この寺の養女と、三重県の財閥との関連が徐々に露わになってくる。

 この手の推理小説では、昔から血縁関係が不詳で、その謎を解き明かすことが読者の驚きと意外性を突くことが常套手段である。本書もその例外ではない。その点では古典的な筋立てと言えるのである。浅見光彦の兄も、地元警察の刑事たちもお決まりのように登場してくる。もう浅見の探偵としての名声?は、警察では有名になっているようだ。

 しかし、ストーリーにはやや無理がある点が気になる。内田康夫のいつものスタイルであるが、最初に登場人物を登場させて、終末近くになると登場人物やそれに合わせてストーリーの辻褄を合わせるスタイルである。突然、登場する怪しげな人物や大物実業家の執事、秘書的な人物である。

 慣れてしまえば、ストーリーの邪魔をするわけではないが、この養女との血縁関係がなんの前触れもなく明らかにされるところなどは、いささか強引な運びである。そういう点では本書は、浅見光彦シリーズ全体を凝縮したような趣がある。

 すでにシリーズの大半を読んでいる読者にとっては、もう少し変化を付けるが、大どんでん返しをするか、たまには何か奇想天外な展開を期待したい。だが、初めて読む読者に、これが浅見シリーズだと思われるかも知れないというリスクと、読み始めて間もない読者の期待感を裏切ることになるので、出版社を含めてそういうこれまでのイメージを壊すようなことはけっしてしないであろう。誠に残念な話である。

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2014/01/14 00:50

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2014/04/20 20:31

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