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現在の日本、そして世界が置かれている経済の状況を、ストンと腑に落ちる論理で上手く説明してくれる本だと思う。
資本主義は欧州の本質的な理念である「蒐集」に最も適したシステムとして創りだされ、その本質は経済空間の中を「中心」と「周辺」に分割し、富やマネーを「周辺」から蒐集して「中心」に集中させることである、という筆者の説明は、素人である自分にも非常にわかりやすいものである。
従来の資本主義は「先進国=中心」「途上国=周辺」であった。従来の途上国が中心へと移行するに伴い、新たな周辺となる空間を開拓しなければならないが、残された周辺はほとんど無い。グローバル資本主義は、国家内の社会の均質性を消滅させ、国歌の内側に「中心」と「周辺(=国内の低所得者層)」を生み出し、国内の格差の拡大が進むことになった。
筆者は日本が世界の先頭を切って突き進む資本主義の終焉に向けて、ソフトランディングとなるための方向性を示しているが、現実には現政権はそれとは反対のハードランディング一直線の道を突き進んでいるように思われる。
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米国が世界を巻き込んで金融市場を取り返しのつかないものにして、日本も含めていろいろ足掻いているけど、もうすぐ破綻しちゃう、ってこと。
こんな視点があるとは正直驚いた。しかも否定するだけの根拠が見出だせない。生きていくために準備、対策をしようと思う。
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このところいきすぎた商業主義というものに非常に疑問を持っているので、とても示唆に富む内容でした。なんとなく資本主義こそが最良などと思っていますが、とにかく成長至上主義であること、フロンティアを探し続けないと行き詰ることなど、負の部分もそうとう見えてきています。考え続けなければならないテーマです。
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少なくとも現状の原因分析については、歴史的背景も含めかなり正しいと思われる。まさに、これまで脈略もなく起きていたと思われることが、実はそうではなく、資本主義や民主主義が本来内在しているリスクを発現しているだけということが分かった。ただ、唯一残念なのが、じゃあ、これからどうすれば良いの?という段になると、俄然著者のトーンが下がってしまうところ。そりゃ、格差を期待ぜず現状維持を前提として、慎ましやかに生きていく、という選択もありでしょうけど、それじゃあ若者の暴動が起きますよ、というか起こして欲しいけど。確かに沢山お金を稼いで贅沢をするということではないんでしょう。では、これから人類は如何に生きていくべき?私は、諦めの境地ではなく、ここにこそ解があるんじゃないかと思っています。
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経済についての知識はほとんどないが、そんな自分でもわかりやすく書かれており、筆者の主張も納得できた。
「資本主義」そのものが抱える問題、そして、日本経済、資本主義の将来について、深く考えた。
巻末に参考文献が多く載っているのも、個人的には、信頼できると思った。
良書だと思う。
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今の資本主義、民主主義が破綻に近づいていることがよくわかった。国際企業に伍する勢力、G20がグローバルに再分配する取り決めをするのは良いと思う。
個人として何をすべきだろうか。
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現在、世界そして日本の経済で起きていることを、そもそも資本主義とは何なのか、という観点に立ちかえって歴史的に解き明かしています。今後起きそうなこと、それに対する対策の方向性というか心構えくらいまでを示唆しています。明確な解決策は示されていない印象ですが、著者も認識しているようにそんなに簡単に答えが出るはずもなく、読者が各々考えるのかな、という感じです。
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アベノミクスの成長戦略の是非について議論される中、巨視的な立場で近代及び資本主義について考察するのも、時には必要だと思う。
そんな時にオススメなのがこの一冊。
「なぜ、我々は成長し続けなければいけないのか?」それは、経済的にみれば近代と成長は同異義語であるからだ。
近代社会で或る以上、経済的成長というのは宿命づけられているのであるが・・・。
どうも最近その近代社会というのが怪しくなってきたぞ、とうのが本書の論点。
昨今、先進諸国の国債利回りの際立った利子率低下が目立つ。
国債の利子率が2%を下回るということは、資本家が資本投資をして工場やオフィスビルをつくっても資本家や投資家が満足できるリターンが得られなくなっていることを示す。
資本利潤の著しく低い長期化は、国内の経済活動において設備資産を拡大していくことができなくなったとことを示しているという。
つまり、先進諸国には、国内に高い資本利潤を生み出す投資先が無いということ。
なぜ、先進諸国は資本利潤が低くなっているか?
利潤低下の原因のひとつとしては、「交易条件」が挙げられる。
輸出物価指数を輸入物価指数で割った比率でもとめられるもので、工業製品を輸出する先進国にとっては、資源を安く手に入れ効率的に生産した工業製品を高い値段で輸出することで高い利潤が得られ交易条件は好調となる。
逆に原材料の高騰は、利潤が低下するので交易条件が悪化したこととなる。
1970年代までは先進諸国にとって好調だった交易条件も、石油や粗鋼などを産出する後進国の経済発展により、粗利率が低下し投資効果は悪くなっていった。
先進諸国の存在条件として、自国(中心)と途上国(周辺)という格差が必要なのだが、20世紀後半から途上国が成長し新興国に転じたため、先進諸国の基盤が揺らいだのだ。
資本主義は、この時点からゆるやかに終焉を迎えるはずであったのだが、歴史は新たな局面に移る。
1980年代後半、経常収支赤字に苦しんでいたアメリカは、近代資本主義システムに代わる新たなシステムを構築するのではなく、別の「空間」を生み出すことで資本主義の延命を図った。
IT技術と金融自由化が統合してつくられた空間である「電子・金融空間」
1995年の金融自由化により、世界の余剰マネーを「電子・金融機関」に呼び込み、その過程でITバブルや住宅バブルを引き起こす結果となった。
アメリカの経常収支の赤字を上回る資金を世界中から集め、それを世界へと再配分していくようになった。
マネー集中一括管理システムにより、アメリカは「アメリカ投資銀行株式会社」となり、全産業利益に占める金融業のシェアは24.4%(2001〜2007)という金融立国へと変貌した。
「電子・金融空間」に巨大資本が流れ、グローバル化は加速度的に進んでいるこれからの未来は、どのような時代になるか?
グローバリゼーションの進んだ現代では資本はやすやすと国境を越えて行くため、これまで先進諸国と発展途上国という二極が国境を越えて国家の中に現れる。
アメリカで言えばサブプライム層。EUで言えばギリシャやキプロス。日本で言えば非正規社員がそれにあたる。
貧富の二極化が、一つの国内で現れ、中間層を没落させることが予想されるという。
資本主義の発展によって多くの国民が中産階級化するという点で資本主義と民主主義はセカンドベストと言われながらも指示されてきました。
しかし、グローバル化によって、これまで国家と資本の利害が一致していた資本主義が維持できなくなり、中産階級の没落による民主主義は失われてしまう。
資本が国家を超越し、資本に国家が従属する、資本のための資本主義へと変貌するというのだから凄い。
変革の時代と言われて久しいが、本書を読むとまさに今が変化の時代であることを認識すると共に現在の資本主義の限界を痛切に感じた次第である。
民主主義・資本主義といった無批判に受け入れる思想の危うさをきちんと教えてくれた良書であった。
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これは良書。現代における資本主義の仕組みの成り立ちから、それが臨界点を迎えているということを
史実を元にわかりやすく解説されている。バブルの仕組みなどは、初めて理解でした。
こちらの作者の本をもう少し読みたい。以下抜粋。
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・価格革命:国家と資本の利害が一致していた資本主義が維持できなくなり、資本が国家を超越し、資本に国家が従属する資本主義へと
変貌しているもの
・資本主義とは、「過剰、飽満、過多」を有するシステム
・金融バブルの発生には
1.貯蓄が豊かであること
2.地理的、物理的拡大が限界を迎えているということ
・資本主義とは、神の所有物を人間のものにしていくプロセス(時間(利子により)、知(情報により)
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資本利潤率が低下して投資をしても充分なリターンの得られない社会が到来しているという点は説得力があって面白いが、この社会が一時的なものなのか、それともある時代を形成するその発端となるのかは、16世紀のヨーロッパ社会との対比だけでは、説得力がないように感じます。著者がいくつか出している事例も同じ。例えば鉄の消費量は近代化のバロメーターといいながら、情報革命によって、経済成長のネタは既に変わっていて、鉄の供給過剰をもって説明するのはちょっとつらい。貿易の自由化は「ウイン・ウイン」の関係ではなく、先進地域から後進地域への資源の収奪による、一方通行的なものしか想定していないのも、どうかなと思います。などなど新しい時代がきたという仮説を検証するいくつかの事例に粗さが目立つ点、彼の説には疑念を感じざるをえません。
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国債の利率が下がってるってのは、つまり、もう、成長の余地がないってことですよ。ということがメインアイディアです。それ以外の論考はそれほど深みのあるものではないのですが、資本主義が終わりますよ。というテーゼを提示したというところを評価します。あとは、資本主義は15%の人々しか幸せにしてないとか、雑な議論を繰り返しリーマンショックの時は!とか熱く語ってるだけかなあ。テクニウムと比較するのは間違ってるんだろうけど。
え、でもこの人モルガン・スタンレーのチーフエコノミストなの?なるほど。
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資本主義が16世紀から始まっていたというのは驚きだった。その歴史を分析した上で今起こりつつあることに楽観的な結末はなく、新たなしくみを創りださない限り世界は週末を迎えるのだという事か?フロンティアのない世界、格差のない世界をどのように実現していくのか?一人の構成要員として全体に奉仕・貢献する覚悟を持ちたいと思った。
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ピケティに比べると、確かに一歩先の議論をしている印象。ピケティはなぜ格差が不可避であるかをつまびらかにし、本書はそれを所与として議論を続けるような。
解決策はピケティに通じるところがあり、結論はマルクス的。
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経済システムとしての資本主義の限界を論じる中で、アベノミクスの恩恵が雇用者給与に反映されず、格差が広がり続ける理由についても分かりやすく説明している。
多少論理展開が強引なところや、結局の資本主義に変わる新たな経済システムへの示唆も少ないところがマイナスかとは思いますが知っていて損は無い内容です。
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資本主義は行き詰まっていると認識していましたが、ここにきて考えを修正しました。資本主義は民主主義と生活の向上を導くものと理解していましたが、ここが既に変質しています。国家を使用人としてしまった強欲な資本主義は、シェール革命により交易条件を改善し、したたかにプレゼンスを高めるのではないでしょうか。リバイアサンのように。本書で気になったことですが、従来、資本主義が終焉する要因として、筆者は資源価格が規定する交易条件の悪化を重視していましたが、本書では殆ど触れていません。これは一貫性を欠くものに思えます。