これはイマイチだった
2017/05/31 15:22
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投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
有吉佐和子にハズレなしと思っていましたが、これはイマイチでしたね。
着物の興味が無い人だと本当につまらないかも。
更沙の描写以外は面白くなかった。
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更紗に生きる古風な女性の更紗に込めた情熱と恋愛の物語。
文体はさすがに60年近く経過していて古さを感じるが読みにくさはなく、むしろその流麗な文体に惹かれる。物語にもミステリー要素もあり、興味を持って最後まで楽しんで読めた。主人公、紀代の更紗作品を買い求める謎の女性、のり子の存在は不思議に思いながらも終盤の展開には素直に驚く。それにしても偶然と片付けるには狭すぎる出会いで、物語のご都合と感じる。新聞記者、丸尾の靖子への転身の理由がいまいち語られてないが予想しない展開に驚いた。
結局恋は成就しなかったが、読了感は決して悪くない。
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有吉佐和子の初期の作品。
37歳の郷原紀代は、未亡人の手すさびに更紗を染めていたが、舅のお膳立てにより作家としてデビューすることに。その美貌と、なまじ財力のある舅を後ろ盾にしたことで、採算度外視の金持ちの道楽だと指摘され、仕事としての更紗染と向き合う覚悟に目覚めていく。
おっとりとして、自立の必要性を感じながらも舅の庇護に甘え、自分への好意を隠さない実業家には興味を引かれず、初めて自分にはっきりと物を言う年下の男性に新鮮な想いを抱き惹かれていく‥。
育ちが良く、苦難を知らずに生きてきた典型のような紀代。
彼女が作家として確固たる方向性を見出すまでの成長記ともいうべき物語だ。
悪役がいないのがやや物足りなくもない。
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1962年の作品。古い感じなく読むことが出来ました。想定していた結末とは違ってなかなか面白かった。「色止め」をどの様に解決したのか?と最後の解説にあったが、まさにその通り。
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更紗染めの未亡人のお話でした
恋愛というか自然な流れか男との話を織り込みつつ
でも話が短いのでその中でまとまっていた感じでした
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裏表紙のあらすじに、「至高の恋愛小説」とあり、有吉佐和子さんのまっすぐな恋愛小説読んだことないな、と思って手に取ってみた。
描かれる心の機微は、夏目漱石の「月がきれいですね」の世界で、ものすごく遠回しでさりげなく、昔は勘がいい人しか恋愛できなかったんじゃないかと思うほど。非常に奥ゆかしく、ときめきなんてないに等しいので、そういう期待はしない方がいい。
ラストには、物語はすっかり仕事による女性の自立小説に姿を変える。意外と予想外の動きをする男たちなんて、添え物でしかなかった!
有吉さんが描きたいのはいつでも、1人の人間として背筋を伸ばして立つ女性なんだ。しっかり芯もアクもある、かっこいい女になりたいと思った。
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美貌の未亡人、紀代。
隠居した大実業家で、紀代をお気に入りの舅、玄助。
かつては紀代に思いを寄せていた、亡き夫貞一郎の親友で実業家の、岩永。
世間知らずの紀代に遠慮会釈ない意見を述べる、新聞記者の青年、丸尾。
紀代はしなしなとこの三人それぞれを頼りにしつつ、趣味で始めた更紗の着物作りを自分の仕事にしていけるのか、そして最後は誰と結ばれるのか……。そういう話であると紹介しても間違いではないが、「とにかくすごいもの読んだ…」という読後感に圧倒された。
出来事の説明や風景の描写と地続きに、静謐ながら感情が匂い立つような文章。激しさはないのに、読んでいると人物たちの想いがこちらの心にまで流れ込んできて溺れそうになるような感覚を覚えた。文章の美しさが紀代の人物像とも重なり、作品世界に惹き込まれた。
恋の顛末については、それだけで何時間でも語れそうなくらい言いたいことはあるが、きりがなくなりそうなので割愛。『更紗夫人』というタイトルが、最後には燦然と輝いているような、そんな印象を持ったことだけ書いておく。
また、これもどちらかというと脇道の感想だが、更紗を“作る人”に対して“着る人”がいるということに紀世が気付くシーンも好きだった(このシーン自体は“脇道”ではないが)。紀代は、のり子の着姿に、自分が作っただけでは到達できなかった“完成のかたち”を見たのかもしれない。作るという行為は実は孤独で、“受け取る”側が生む奇跡を待っているのかもしれない。