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ちょっと驚きの作品、私にはそのような感じでした。タイトルにとらわれているからか、この作品の本旨?のような部分としっくりこない、先入観というか、そのようなものを感じました。もう一度よめば楽しめるのか、どうだろうか、という印象。 別に、芥川賞の選考委員の方々の選評というのも、興味深く拝見しました。
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話題になった本ということで手に取ってみましたが、面白いというよりはそんな人もいるんだなという感じでした。
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男の結婚生活を描いた結婚小説とも言え、ある意味サラリーマン小説でもある。しかし、そのように括ってしまうには読後にあまりに不穏な手触りが残る。時間の中に、人生の中に閉じ込められているとうことが描かれる怖さ。
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非常に支離滅裂な男の話。
内容もそれほど面白くなく、あまり評価はしない。
後半の作品も同じような感じである。
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二十代の長く続いた恋愛の終わりを迎えた者同士が夫婦となり、不安定な関係のままある出来事を境に夫が妻に
11年間口を聞かれなくなるというストーリー。
あらすじからして感じが悪くかなり人を選びそうな題材ですが、如何様にもドロドロした愛憎乱れる悲喜劇のようなテイストに
できそうなものを徹底して冷え冷えとしてかつ、引いた視点で物語が淡々と進んでいくのが余計居心地が悪いと感じます。
登場人物の名前は一切出てこず、主人公の男視点で進むにも関わらず、3 人称の彼というフレーズが使われるくらい冷え切った文体です。
不気味な読後感と抗いようもない時間の無常さにぐったりときました。
好み別れる作風だと思いますが、個人的にはかなりハマった1冊です。
蓮實重彦さんの解説も素晴らしかった。
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かなり好きだった。「次に妻が彼と話したのは、それから十一年後だった」がカッコよすぎる、それまでの澱みからこの跳躍。観覧車のゴンドラに最後もなにもない、どれもが最初であり最後でもありそしてやはりそのいずれでもない、そういう時系列のない壮大な循環のなかで一つ一つの出来事、そして人間が偶発的な成り立ちをしている。だから複数いた女は結局ひとつの人格でしかないともいえ、彼の発案した商品だって無数の可能性のなかでたまたま彼がその役を引き受けたに過ぎないし、妻の「いまに限って怒っているわけじゃない」という言葉もそこに収斂される。そしてそういったことを受け容れたときにようやく、家を建てる=場を固定するという決意に至る。それはある種の諦念にも近い。無限の拡がりのなかに固定させた直線的な時間の流れはあまりにも短く、だから死を思うしかないのだ。「ペナント」も概ね同じように読んだ。
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感想
重なり合う複数の可能性。選択することは捨てること。ああなりたかった、こうしたかった。そんな感慨は後になって湧いてくる。袋小路へ歩いていく。
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目次
・終の住処
・ペナント
芥川受賞作にはあまりご縁がないが、間取り好き、住宅好きの私としては、素通りできないタイトル。
しかし、思っていたのと違った。
まあ、芥川受賞作ということを考えれば、こっちが正統か。
30歳を過ぎて結婚した男の、妻とのままならぬ結婚生活を描いたもの。
お互い20代の時に長く交際していた人と別れたあとで付き合い始め、結婚願望などというものも感じないまま流されるように結婚。
妻はいつも、ここではないどこか遠くを見ていて…。
男は、仕事はできるようだ。
女性にももてる。
何しろ11年間に不倫した相手は8人だ。
だけど、どうにも男の輪郭ははっきりしない。
結婚についてもそうだったけれど、流されているだけのように思える。
妻はいつも、ここではないどこか遠くを見ているように男は思っているが、妻もまた男に対してそう感じているのではないだろうか。
そんな彼が作品中初めて自らの意志で行動したのが、2歳の娘を連れて家族で遊園地に行こう、だった。
2歳児の行動は当然親の想像とは異なって、彼は遊園地に来たことを後悔するのだが、妻は「観覧車に乗りましょう」という。
観覧車の高みから見た世界。
観覧車を見上げる世界。
妻がいるのは、彼がいるのは、不倫相手がいるのはどちらの世界だろう。(わりと結婚直後から不倫をしている男である)
なんてことを考えながら観覧車に乗る男。
それから11年、妻は口を利かなかった。
次に彼が自発的な行動が「家を建てるぞ!」
それに対して妻が「そうね、もうそろそろ、そういう時期ね」
ここから夫婦で話し合って理想の家を作る、わけではなく、妻が見つけてきた建築家にすべて丸投げ。
こだわりの強い建築家が家を完成させたとき、娘は既に独立し、”これから死に至るまでの年月を妻とふたりだけで過ごすことを知らされた。それはもはや長い年月ではなかった。”
え~、家を建てるわくわく感ないの~?
というのはおいといて、実はこういう男性多いのかもなって思いました。
これからは減っていくと思いたいのですが、家庭に対することはお手伝い程度で基本丸投げ。
結婚したという事実だけで、社会的信用ができ、職場での立場は順繰りに上がっていく。
家に居場所はないけれど、会社にはいつまでもいられる。
良い人生をおくることはできましたか?
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表題作『終の住処』に加え、『ペナント』の2編が収録。
ともに、どこにでもありそうな風景から微妙に不気味さ、さみしさが滲みだしてきてその切ない世界に取り込まれてしまうような作品。
段落や改行などの区切りが少なく、会話さえ地の文の中に埋め込まれている。
そこから生まれるグルーブがクセになる。
一気に読んだ。
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第141回芥川賞作品。
漂うのは虚しい孤独感だが物語自体は主人公の一人称であり、彼の完全なる主観で語られているため歪みを感じる。
現実は夫として父としての責務から逃げ続け、幾人もの女性と関係を持っているのに、それでも自己の正当性を失わない語りが気持ち悪い。
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文学とは何か、芥川賞の傾向は。
これをよく研究し、敢えて改行を用いず、読解の難易度を修辞的、技巧的に付与したもので、小説世界とは別の「読み難さ」により、読書における肉体的疲労感を意図的に演出している打算が、合わない。深く沈みたい時には良いのだろうか。
人生のイベントを自己目的化し、それを遂げる事を通過儀礼のように捉える。結婚をしても、家を建てても本質は変わらぬようだが、実際には、徐々に自分自身の感受性は変容し、いつからか別の人間になっている。やがて老い、後天的に獲得した形質や変化の方が肉体の中で市民権を得て、それに従うのが当然のような生活になる。自分にとっての「終の住処」とは、その纏わりつく肉体や精神の変遷の歴史である。
素直に本作が読めない自分と対比し、タイトルを見て、そうぼんやりと考えた。
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⚫︎受け取ったメッセージ
人生に起こる様々な出来事は
時間と距離を持って俯瞰すると
まとまった一つの風景として見える
そしてその風景が
近景しか見えないか、遠景しか見えないか、
両方とも見えるのかは
人それぞれ。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
結婚すれば世の中のすべてが違って見えるかといえば、やはりそんなことはなかったのだ―。互いに二十代の長く続いた恋愛に敗れたあとで付き合いはじめ、三十を過ぎて結婚した男女。不安定で茫漠とした新婚生活を経て、あるときを境に十一年、妻は口を利かないままになる。遠く隔たったままの二人に歳月は容赦なく押し寄せた…。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。
⚫︎あらすじ(ネタバレ)
二人が結婚したことは二人のタイミングが合った偶然の上で成り立っており、「彼」の実力よりも、結婚したことが出世に結びつく。彼が浮気をし、離婚話を切り出そうとしたら、赤ん坊を授かっており、離婚回避。
妻が何を考えているのかわからない。面と向かって問いただすこともしない。赤ん坊の娘も掴みどころがない。
遊園地から帰ってきてから、11年間、妻は彼と口を聞かない。その間、彼は8人と浮気する。
突然家を買うという宣言に、妻はそうね、そういう時期ねという。
建築士に信服し、家のことを結果丸投げし、完成。
彼はアメリカ滞在中仕事で成果をあげ、戻ってきたら、娘がアメリカへ行っていると初めて知る。
最後は妻と向かい合い、目を見て、ここが終の住処であり、残り長くない人生を妻と過ごすのだ、と思う。
⚫︎感想
なんといっても観覧車のところが名場面だと思う。
観覧車の場面で、妻は県境の方までずっと続く遠くの方を見ている。彼はあれこれと不倫相手や自分の家が点で存在するのだということに気づく。そしてバラバラに見えていた遊具が、実は扇状に整然と配置されていたのだと気づく。
このことからわかるのは、彼にとって、なぜ妻が何を考えているかわからないのか?ということだ。それは妻が人生を彼よりも俯瞰して見ているからだ。だから、妻は不倫のこともお見通しであり、諦観しているということを表しているのではないか。また、彼の方は、俯瞰して見ることができないので、妻のことはがんばっても理解できない。
観覧車について、浮気相手に聞いたら、浮気相手はお金をもらっても絶対に乗りたくないという。これは彼女もまた、彼と同様、人生を俯瞰して見たくはないという隠喩だと思う。
ただ、彼がたくさんの女と関係し、それを断ち切り、また仕事の上で成功してきたことは間違いない。妻はあたかもそれをはじめから知っていたように、読めた。それらをひっくるめて受け取る妻は、「いつでも別れようと思ったら、別れられるのよ」と言いながらも、別れなかったし、浮気にも気づいていただろうが、そのことを問いただすこともしなかった。
妻は全てを諦観しているように見え、現在に不満を抱いてはいるものの、彼と向き合って、自分の思っていることを話そうとはしない。
11年間におよぶ会話のない生活は、彼の「家を建て��ぞ!」という一言で打開する。しかもそれは妻のことを慮ってのことではなく、「恋愛に取り憑かれた、延々と続く暗く長い螺旋階段を登り続けた彼の人生のひとつの時代が、この日ようやく終わった」という、彼の中で起こった変化であり、区切りであった。
「終の住処」で、やっと真正面から向き合う彼と妻は
諦観したような疲れたような、良く似た顔で、やっとお互いに向き合う。
「妻」は「彼」よりも精神的に大人であるためか、人生の遠景を見ている。50になった「彼」に見られても目を逸らさず見返すところから、これから二人はやっと対等に、逃げずに向き合えるのではないかな、と思った。
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妙にユーモアの効いた絶望感のあるお話だった。
ユーモアが効いてるので読んでる最中はスラスラと楽しくページが飛んでいくものの、読み終わったあとに「なんだったんだ、これは、、、」という絶望感。
なんとなくストーナーと似てる感じではあるけど、あっちは読後感にうっすらと希望があったけど、、、こっちは反対に絶望感。時代の問題か?
あと、中年男性ってそんなにモテるの!?自分にはそんな気配ゼロだけど!?