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田舎の閉塞感。思春期の子供が持つ傲慢さ。そして「こじらせた人」を書かせたら右にでるものはいないんじゃないか。な、辻村深月が文春で書く物語はどこか陰惨。村ひとつダムの底に沈めた村が持つ不正を暴くことを建前に帰郷した由貴美。彼女に惹かれる村長の息子・広海。「空が青いのと、家ん中が暗いのの差がすげえ」この村で生きてくと決められたら、広海の悲劇は回避できたのかもしれない。大人ってずるくて汚い生き物だったね。
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ツライ、コワイ、ヘン、イヤダ。
だんだんイヤになっていく。
ラストはイイけど、でもどっかで救われて欲しかった。
生きてて欲しかった。
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”ツナグ”を読んで、『もういいか』くらいに思ってた作家だけど、こちらの方が良かったです。わだかまりが残るクライマックスも自分好みだし、ムラ的閉鎖空間で織りなされる悲喜劇も個人的には好物。満点。ってなりそうなんだけど、少し前に”まじもの~”を読んじゃってました。同系統として考えた場合、どうしても後者に軍配が上がります。ボリュームも考慮すると、こちらも十分に楽しめたので、良い作品だったとは思います。
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「空が青いのと、家の中が暗いのとの差が凄い」
田舎のつまったにごった感じが滲み出てた。
恋愛メインじゃない作品に恋愛が色付いてくるの好きじゃないんだけど、
この話は平気だったから、恋愛のお話なんじゃないかと思う。
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半分くらいは、あんまりおもしろく感じませんでした。主人公の心の動きが、ちょっと面倒くさい。でも、後半は変化が大きくて面白かったです。村、ありそうで怖い。
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辻村さんの作品は好きなものも多くて、ぐいぐい引き込まれるものが多いのですが、この作品に関しては、相性があまりよくなかったのか、前半なかなか物語に没頭できずに、”気持ちが乗る”のに時間がかかりました。
それでも、中盤から後半にかけてだんだんページをめくる手も早くなり、そうやって最後まで読ませる筆力は素晴らしいと思いました。
色んな事が悲しく切なすぎる物語ですね。
大人になるってなんでしょうか。
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「私はこの村に復讐するために帰ってきた」と言う芸能人の由貴美。謎めいた魅力の虜になり、彼女に協力する高校生の広海。村の秘密が暴かれる時、壮絶な悲劇が巻き起こる。
ロックフェスがウリの過疎地の村。地方特有の慣習や因縁、そして濃密な人間関係。広海の心情の揺れ動きがとにかく痛々しい。ラストの広海の行動を正義とみるか、青臭いと感じるか。読み手側の感性で異なってくると思う。
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こんな村ありそうで怖いのだけど、なにより広海の人生に与えた影響がでかすぎて、それを思うと受け止めきれないところもあり。。。
でも面白く読めました。
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田舎町に連綿と続く悪しき慣習に対し被害妄想じみた恨みを持ち、それを暴くことで終止符を打つことに執念を燃やす女性の話。
と書くとホラーじみた怖い内容みたいですが、別の視点から読めば甘酸っぱい男子高校生の恋愛物語。
どう見ても田舎の純粋な高校生が年上の女優に利用されているのに、それでも由貴美の魅力に惹かれてしまうのはよく分かる。
最後に眼が覚めるところが不完全燃焼のようでいて、妙に現実的な終わり方だったな。
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とても清謐な感じを与える文章で彩られた小説。
なんていうのか、読後感はとても息苦しい。
これはきっと、地方都市の息苦しさ。
地元と土着していないと生きていけない、地元と切り離すことのできない日常がこれでもかと辛辣に描かれていた。
日本の過疎地域が抱える闇でもあるのだと思うと胸が痛い。そんな、一冊。
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辻村作品らしくない、と言えばらしくない作品。
他の辻村作品の方が面白いのはあるし、小説としても大傑作かというとそうでもない。凡作っちゃ凡作。だけど、俺これ好きだわ。
悪女に翻弄される、いたいけな男児高校生。それもまた青春でエエやんか。モヤモヤしろ青春真っ盛り!女の魅力で若い男を翻弄したれ、ファムファタル!そういうお話なのかと思って読み進めると…。
後半は一転して、たかがロックフェスと土木事業だけで生き延びている、過疎寸前の小さな村社会が、2人に大きくのしかかってくる。その息詰まるような圧倒的閉そく感が凄い。俺たちとは違う凡庸な人と小馬鹿にしつつ、善人だということだけは信頼していたご近所さん、親類縁者、親兄弟までが閉そくの側に立ち、二人を囲い込んでいく描写はすさまじい。
ぼっち飯が恥ずかしいとか、
女子高生は一人でトイレも行けないのかとか、
SNSを読むと自分だけが疎外感を感じるとか、
そういう類の現代社会病が根に持っている根底、それこそが二人を囲い込んだものであり、この作品のテーマだと思う。
盗んだバイクで走りだしても、夜の校舎窓ガラス壊して回っても、子猫のような泣き声で睦声をあげても…村社会は全てをその淀んだ水底に隠して何もなかったかのように明日を迎える。
尾崎豊でも村社会に勝てない、という絶望感。
救いの少ない小説だがそれでも俺、これ好きである。
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七章の終わり方がとても綺麗だったので、できるならそこで終わって欲しかった。そうでなければ、八章はもう少し書き込んで欲しかったなぁ。
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何物にも染まっていない、純粋さだけが詰まっているような…その年齢にだけ通用する真実がある。
捉えどころのない由貴美に翻弄される広海だったけれど、由貴美の中にどんよりと蠢いている悪意を徐々に自分の中に取り込んでいく。
勘違いだったとはいえ、復讐心に燃えていたときの由貴美はそれなりに美しかった。
方法は間違っていたけれど、孤独な魂が拠り所を求めていたと思えば哀しいけれど納得もできた。
閉鎖的な故郷を嫌い、その場所に、男に、しがみついている母を嫌い、ひとりで生きてきた由貴美。
でも、本当にひとりきりになったとき、弱さの裏返しの強さに頼るしかなかった。
終盤、信じていたものがすべて幻だと知ってからの由貴美の描き方に物足りなさを感じてしまった。
だからだろうか?
読んでいるときは面白かったのに、読み終わってみれば何も残っていない。
いつもなら強烈な爪あとを残していくはずなのに。
広海が染まってしまったのは由貴美が持っていた毒なのか。
それとも孤独な魂が見せた儚い純粋さだったのか。
いまひとつスッキリとしない終わり方にも、少しだけ残念な感じがした。
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私はやっぱり辻村さんの書く若者の孤独感が好きだと感じた。
広海が由貴美にどんどんハマっていく様子が分かった。自分でダメだと思っているのに止まらない、広海の気持ちも仕方がないと思った。
自分は大人だと周りを軽蔑する気持ちは、大人にならなくていい人を羨む気持ちに変わる。
子供でいるということは難しい。
全体を通して暗い雰囲気はあったが、最後の終わり方は個人的には好きだった。
どうしようもないことがたくさんある世界で、何かを諦めて生きなければならない。
そんなやるせなさと、後から気づく純粋な恋の気持ちが切なくて、美しいなと思った。
終わり方はやるせないけど私はいいと感じた。広海は村を離れて生きてほしいな。
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これで読んだの3回目なのに全然内容が違って見えた
前に読んだときは切ないラブストーリーだと思っていたのに
こんなにドロドロなストーリーとは思ってなかった
昔は広海のラブストーリーにだけ注目していて、ゆきみの魂胆や、達哉の気持ちは読み飛ばしていたのだろう
同じ本で毎回違うストーリーに感じるのは不思議だ
前の僕はどんな状況でどんな気分で読んでいたのだろう
僕の知らないうちに書き換えられていたようにさえ感じる
読書の醍醐味なのだろうか
不思議な感じだ
昔、好きだったイメージはどこにいったのだろう