紙の本
永遠に生きることの重み
2020/09/29 04:50
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球と同じ時間の流れと記憶をもつエマノンが、魅力的でもあり儚げにも映ります。永遠に生きることよりも、限られた人生の素晴らしさを感じました。
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『おもいでエマノン』に続くシリーズ第2作。
5篇が収録されているが、『まじろぎクリィチャー』が一番面白かった。
モチーフにやや古さを感じるものもあるが、発表年代を考えると仕方がないか……。
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環境破壊を意識していた巻だと思う。作中に作者が登場したりとか、結構実験的なことも。終末装置がちょっと中途半端だった気はする。
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さすらいビヒモス
まじろぎクリィチャー
あやかしホルネリア
まほろばジュルパリ
いくたびザナハラード
だんだんエマノンが世界を救う一端を、担うか、解説するか、の役割を与えられつつある。
主に自然破壊があるところに、世界崩壊の予兆があり、その予感をとらえてうろついている。
崩壊を回避する鍵となりそうな人が、エマノンに助けられてなんとかする、と。
もちろんシリーズ化の功罪だとはわかるが。
もっと風来坊であってほしいとは、やはり最初の作品が圧倒的に美しいからか。
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今回のエマノンは、
前作「おもいでエマノン」の人との出会いと別れという要素から
人と人が過ごす時の流れにいつも存在する少女というより、
人間の環境破壊だとか、汚染だとかに呼ばれて
人間と地球、自然の間を漂う人類生命のあらわれという感じ。
ちょっとドラマとしては物足りない気分。
しかし、梶尾真治先生本人も登場です。
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原始生命時代から人間に進化した今までの全ての記憶を持つ女性・エマノンの旅を描く短編集で、「おもいでエマノン」の続巻。世界のあちこちで出会った相手側の目線で、各編が進みます。人間の文明化の影響で悲鳴をあげている生物や地球そのものの悲鳴にエマノンが応えていく……という社会派的な色合いが強くなってきた気がしました。
それが特に顕著だったのが、最後に収録されている「いくたびザナハラード」。そんな人類は滅亡すべきなのかどうか、主人公は思い悩みます。新装巻になり追加された短編なのでしょうか、「おもいでエマノン」の書籍そのものや著者の梶尾氏本人も物語に登場するという、メタ的な展開であるのも面白かったです。
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エマノンシリーズ。
他種族との関わりが多い、この巻。
環境破壊、兵器製造、人間の愚かさに胸が痛む。
でもエマノンが人間である限り、わたしたちは人間でいられる。
愚かな種族だけど、だけどどうか許して愛して。
「まじろぎクリィチャー」の紅い花が哀しくて綺麗。
「あやかしホルネリア」の赤潮リビングデッドが恐怖。
この二編が好き。
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原生物のときから全てを記憶している少女エマノンのシリーズ2作目。
1作目よりも、環境問題や社会批判的な内容が少し含まれた感じ。
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面白かった。
最後の、いくたびザナハラードを読み始める前に、ある種予感めいたものを感じ、しばらく読まずに放っておいた。
意を決し読み進んだ。うぎゃー!なんじゃこりゃ!はれひれほれ!って感じでした。
ちょっと、オールドファンにはきつかった。
でも、読了感はよかった。
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【感想】
・鶴田謙二さんのカバー絵&各章の扉絵がよい。
・ビヒモスは最後の個体になったからか総てがわかるようになったと言った。ならエマノンの能力も似たようなものなのかも? 最後の生命エマノンに能力が発生し、逆算してそれ以前の総てのエマノンが能力を持った。受け継がれたのではなく「生命の滅び」という結果が先にあり、「生命の発生」という原因までつなげられた感じかもしれない。
【一行目】
雪が舞っていた。
【内容】
・街で大暴れする地球最後の象をエマノンはかつて小動物だった頃に助けてくれたビヒモスだとエマノンは言う。
・約束を果たすため化学兵器が漏れ禁忌区となった場所に行こうとするエマノンだが得たいの知れぬものが出没するという。
・人を襲う赤潮。
・呪術師の父と兄からの謎の呼びかけに故郷に戻ろうとしているブラジルの少年。
・普通の女性がチャネリングする「ザナハラード」という存在と、彼女が入手した『おもいでエマノン』という本。
▼エマノンについての簡単なメモ(一巻目からの累積)
【アイオン】エマノンと同じくすべての記憶をもっている植物。「永遠の時」という意。エマノンの知り合い。
【アマゾンの密林】意外に土地は痩せていて同じ種の樹は密集せず住み分けている。開発すると元には戻らない。焼畑ならなんとか共生できる。
【アレフ】ステフの飼い犬。
【猪部一雄】肥乃国日報文化部芸能欄担当の記者。裏のない性格で飄々としている。
【いい人】《私、いい人はわかるの。》「ジュルパリ」p.171
【X―パウダー】米国がベトナム戦争で使うために開発していた化学兵器。
【エド】サンデイの夫、トミーの父。
【エマノン】だいたい粗編みのセーターとジーンズを身に付けナップザックを背負っている若い女。《私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ》「おもいでエマノン」p.18。そして記憶の重みにうんざりしている。最初の話の時点では昭和二十五年生まれの十七歳。娘が生まれたら記憶は娘に受け継がれ元のエマノンには残らない。両切りのたばこをすう。家事力は高い。超人的な肉体能力を持つ。可聴域も人間より広い。
【エマノンの名前】no nameの逆さ読みらしい。
【エルムヘッド】米国、メイン州、何かがあって入ってはいけない場所。最近亡霊が出るとの噂。
【邑上】九肥放送のVTR編集室勤務。大柄で繊細さとズボラが同居している男。「ワイドおはよう列島」というキー局発信の番組で鉈地英子と組むことになった。
【おもいでエマノン】とある古本屋に置かれていて杜倉倫子が入手した売れそうにない本。表紙の絵がかつての級友のエマちゃんのようだった。
【カール】米国メイン州、初老の農夫。怖い何かに出遭う。
【学生】名前はわからない。最初のエピソードでエマノンと出会った青年。SFが好き。ずっと後にエマノンと再会するが。
【梶尾真治】『おもいでエマノン』という売れなさそうな本の著者。杜倉倫子は自分のかつての級友のエマちゃんを知って書いたのだろうと思った。カジオ貝印石油の社長さんでもある。
【片岡雅子��九肥放送のアナウンザーだったがある日突然マイクの前でしゃべれなくなって今は資料室勤務。
【神月潮一郎】初めてエマノンと会ったときどういう者であるかをを看破した傲慢で酷薄な高校生。わかってしまう能力とケガをしてもすぐ治る肉体を持っている。
【ガリオン】コンピュータ。意志が感じられる。
【川にいた老人】「いくたびザナハラード」で死んだ川をよみがえらせようとしている老人。
【記憶の引き継ぎ】娘が生まれたらその娘に記憶は移行してしまい母には残らない。ということは「生命の記憶」そのものがエマノンという存在なのだろう。
【傷つける】《本質的に彼女には、決定的に他人を傷つけることができないのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.119
【禁忌区】→エルムヘッド
【キンテーロ】フーリオの知人いい人。
【黒】ティラノサウルス。
【雑音】《そう雑音は複数の情報が輻輳したものなのよ。雑音の中には、宇宙の真理を始めとする総ての情報が入っている。》「ザナハラード」p.270
【ザナハラード】杜倉倫子とつながった存在。《私は、導くことは、しない。ただ、考えてもらいたいだけです。何故、この世に、人間が生まれたのか。それがいいことなのか。悪いことなのか。》「いくたびザナハラード」p.247-249
【サロメ】アレフの孫。セントバーナードの突然変異種。
【サンディ・ペイジ】新しい人生を送ろうとしている女。トミーという息子がいる。
【終末装置】ザナハラードが杜倉倫子に作らせた機械。日用品だけを使い人類だけを滅ぼすことができる。どっかのギャクマンガでそんなのがあったような気がする。ぼくが作ってしまったらつい作動させるかもしれない?
【ジュルパリ】精霊。
【晶一】セラピーにかかっている瞳の大きな少年。出生前の記憶を持っている。両親が死んだ交通事故のときエマノンから輸血を受けた。《でも、晶一くんはほしになったんだわ。願いがなかったじゃない。》「さかしまエングラム」p.60。
【ジョシア・カトレア】砂漠にも寒さにも耐える全天候型のカトレア。ステフの農場で生まれ、ステフの婚約者の名前を付けた。
【ジョンのバー】米国、メイン州にある酒場。むさ苦しすぎで女性従業員は長続きしない。
【ステフ・ランズバーグ】崖から落下したエマノンを救った、遺伝子組み換えにより植物の品種改良をしている男。エルムヘッド出身。婚約者はジョシア。
【ダウジング】エマノン特殊能力のひとつ。道具なしでダウジングできる。砂漠で水を見つけるのも簡単!
【田口】セラピスト。晶一を治療している。
【旅】《エマノンは記憶の原初からずっと、旅を続けているのだった。理由など見当たるはずもなかった。そらはエマノンにとって本能なのだ。》「とまどいマクトゥーヴ」p.120。《旅することが私が生きてること》「まじろぎクリーチャー」p.78
【丹下丈二】創業以来九肥放送勤務していたが取材中の事故で退職したらしい老人。今は酒びたりの日々。
【ツチノコ】美郷健が高校教諭をしていたころのアダ名。ツチノコに似ているからとか。今はJ・K・インダストリィ傘下の企業をやっている。
【トミー・ペイジ】サンディの息子。
【鉈地英子】ローカル局、九肥放送��道局のアナウンサー。天草に行く途中のバスでエマノンと出会う。エマノンと同じE・Nというイニシャル。
【人間】《天敵の存在しない生命というものは、自分で天敵を生産してしまわねばならないという思いあがった使命感を持ってでもいるのだろうか。》「まじろぎクリーチャー」p.82
【ヒデノブ】予知能力者。ヨシフミと組んでいる。未来に起こることが全て書かれている一冊の本を持っている感じで読めばなんでもわかるが、決定された運命を自分がなぞるだけだと悟りヒデノブはなるべく読まないようにしている。エマノンとは真逆の方向の能力者。
【ビヒモス】人間からひどい目に遭い街で大暴れしている地球最後の象。常に警告している。かつて鼠のようなデリタリウムという小動物だった頃のエマノンたちを助けてくれた。なせたすけてくれたのかを知りたくてエマノンは会いにゆく。聖書やゲームでお馴染みの「ベヒーモス」のことだろう。《生命は憎むために生きているのではない。》「さすらいビヒモス」p.41
【フーリオ】ブラジルの少年。バウパナ族。父は呪術師(魔法医)で兄のトルヒヨが後を継ぐと思われ自分はその予備に過ぎないと部族を飛び出してきた。フーリオはひとつだけ術を教わっている。今はアマゾン・インディオたちの「普通の生活」を観光客に見せる「俳優」。
【フチザキ化学】何にでも手を出す企業。
【古橋】東阪石油の備蓄基地建設のための駐在員。いろいろ苦労している。
【フレデリック・F・フリードマン】サンデイの父、トミーの祖父。〝狂気の3F(ルナティック・スリーエフ)〟と呼ばれた有名な研究者。宇宙生物学を研究していた。ガリオン・ラボを開いた。
【ホルネリア】赤潮。
【マクトゥーヴ】「運命づけられたもの」とか「予定されたもの」といった意味。神月潮一郎が自分のことをそう評した。
【杜倉倫子/もりくら・のりこ】なんとなくで生きてきたとアラフォーの女性。1953年生まれ。未婚。他者に対して距離を置きがちであまり人づきあいせず生きてきた。デパートの婦人服売場店員→探偵社の事務→「医灯新聞」の事務→木庭(こば)内科医院の受付と医療事務を十三年間。「ザナハラード」という言葉が頭にこびりつく。中学生の頃「エマちゃん」というクラスメートがいて巫女の力があると言われたかも?
【約束】《約束をかわすというのは、人の生命の貴重な〝時〟を確保しあうことだもの。私は必ず守る》「まじろぎクリーチャー」p.79
【UFO】光る物体。特に異星人とは関係なさそうだ。何かに迷っているらしい。
【雄司】百八十センチの長身とたくましい肉体を持つメガネ男。とある漁港にある魚類養殖研究施設「マリン・コーラル」にいる。
【由紀彦】父親が最後の象に殺され復讐しようとしている少年。コミュ障で読書好き。
【ヨシフミ】精神感応力者。元暴走族だがケガをしてオートバイの運転ができなくなり今はヒデノブと組んでいる。
【良三】五十間近の男。フリーのシナリオライター。1973年に記憶を失ったエマノン(荏麻/えま)に会い結婚した。その娘が荏衣子(えいこ)。
【歴史】《歴史って、人類や生命全体の〝おもいで〟に違いないのよ》「おもいでエマノン」p.30
【老人】良三が荏麻と名付けたエマノンの���親。
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SF。ファンタジー。シリーズ2作目。連作短編集。
バラバラの順番で読んでいるシリーズ。特に問題はない。
「まじろぎクリィチャー」がベスト。かなりインパクトが強いSFホラー。
全体的に環境問題に警鐘を鳴らすような作品も多かった印象。