紙の本
もっと短編を!
2013/02/03 20:52
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
リンカーン・ライムからディーヴァーの世界に入った私にしてみれば、それ以前に短篇集があるとは露ぞ知らなかった。各書評を読むと大変評判も良いようだ。ということで遂に購入して読んでみた。
短編の世界で読者を楽しませてくれたのは、長編でも傑作を描いた作家兼元政治家のジェフリー・アーチャーである。短編はその一語一句が見逃せない。どんな意味が含まれているかが分からないからだ。一篇の全てをその一語一句に集約してある場合もある。書き手も神経を使うかもしれないが、それに呼応して読み手も神経を使う。つまり密度が高いと言えるであろう。
ディーヴァーの書き方はそうすらすらと読めるとは限らない。日本の小説のように会話形式がそれほど多くないからだ。つまり、状況や登場人物の感情の説明に多くの頁が費やされているといっても良い。
本書は短編16編という分厚い文庫本である。登場人物は男女の組み合わせが多い。よって、人物の背景や経歴、そして感情の動きの説明が多いのである。16編の中には何とリンカーン・ライムの断片を削り取ったような一篇もあり、見事に読者の期待に応えている。登場人物ももちろん同じである。
ただし、私にとってはストーリーを語る短編が好みなので、作品の内容としては十分に満足したとは言えない。展開の早いライムのような刑事モノの方がよかった。
訳者も異なっており、目次には誰が訳したかが記されている。誰であっても著しい差異は感じられないが、いずれも読者に滑らかな読書感覚を提供していると言って良い。アーチャーのように、短編と長編を交互に著し、短編ファンに楽しみを提供して欲しいものだ。
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全作すべてにサプライズが用意されている。短編になってもディーヴァーのストーリーテラーぶりは見事。短編の方がますます読みやすくなった気もする。捻りのきいたトリッキーなアイデアもあれば、深みのあるショート・ストーリーをじっくり読ませる作品もある。短編なので伏線の数は少ないが、逆に読み終えた瞬間にその妙に気づき、思わずにやりとさせられる。読み手を選ばない作品に仕上がっている。『ジョナサンがいない』『身代わり』『三角関係』が気に入った。
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短篇集。長編を多く書いている著者が、年少時代より親しんでいる短篇を綴った。最後の一行にどんでん返しがあり、余韻を楽しめる一冊
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16作品からなるショート・ストーリーで捻りの効いた、どんでん返し満載の書。
最近、長編ものばかり読んでいたけど久々に肩に力を入れず一気に読んでしまった。どれも面白かったけど、中でも「ノクターン」、「被包含犯罪」、「パインクリークの未亡人」が僕のBEST3。
「ノクターン」は洒落たラストが用意され、ちょっと心温まる作品。
「被包含犯罪」はショート・ストーリーながら法廷物として十分楽しめる作品だった。作品中で「法とは、結局のところ、言葉の蓄積なのだ。」という言葉がこの作品の全てを表現しているように思う。
「パインクリークの未亡人」はアメリカの田舎町で起こる未亡人と詐欺師の騙し合い。話は2転3転し以外なラストが待っている。
あと、忘れてはいけないのが車椅子の探偵リンカーン・ライムと女刑事のアメリア・サックスが登場する邦題の作品。映画「ボーン・コレクター」でデンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリーが演じていたあのサスペンスものの書き下ろし。こちらも洒落た会話とライムの明晰な推理が如何なく発揮されていて、今度は小説版の方を読んでみたいと思った。
長編ものに飽きた人にはお薦めな本です。
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ディーバー初の短編集。どの作品も相変わらずのどんでん返しで楽しませてくれる。なかでも気に入ったのは「三角関係」「ノクターン」など。リンカーンライムシリーズも出てきます。ただ、やはり短編は疲れる・・・
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短編集。作者のまえがきが大いに気に入った。短編とは《登場人物について時間をかけて学び、その人物を愛し、あるいは憎むことではない》。全くその通り。しかしひとつひとつのお話を読むのには多少の疲労感も感じるのでなかなか進まない(笑)
が、物語に仕掛けられた「どんでん返し」はどれも素直で忠実な読者であるわたしを裏切ってくれて楽しめた。
「三角関係」「釣り日和」「宛名のないカード」そしてリンカーンライムシリーズの「クリスマス・プレゼント」などが良かった。
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これもmarieさんオススメの本、ディヴァー初の短編集です。
全部で16の短編が載ってるんですが、どれもこれも結構面白く読めました。
「ジョナサンがいない」で最後の思わぬ一捻りに驚き、「身代わり」でどんでん返しの巧みさに頷き、「三角関係」では意外な人物設定に感心しました。
ディーヴァーって、短編も結構イケルって言うか、16作あるとある程度のパターンもあるんですが、どれもこれも、お得意のジェットコースターがあざとくなる前に終わってしまうので読んでて楽しい(笑)。ディーヴァー好きの方にはお勧めの一冊です。
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巧いなあ。大体にこういうのは騙されるために読むんだけど、それはつまり、簡単にはだまされないぞ、って天邪鬼な決意もあるわけね。でも、見事にやられちゃうんだなあ、これが。ツボを押さえてるっていうか、手持ちのツボが多いというか、褒め言葉を幾つ重ねても足りない。
全ての編を語るのは無理なので、書き下ろしの「クリスマス・プレゼント」についてだけ。他が全て、所謂短編小説の体を成してるのに対して、こいつはちょっと違うよね。中編というか、長編崩れというか。おそらく、想像するに、まず前半を思いついたんだね、普通の短編として。で、どうかして物足りなくなって後半を足したんだろうか。では、リンカーン・ライムを登場させようか、なんてね。ちょっと不思議なバランスの一編です。
それはさておき、かのリンカーン・ライム(+アメリア・サックス)も常に長編になるような事件ばかりを扱っているわけはないだろうから、日常的にはこういう事件が多いはずだよね。てことは、こういう中短編がもっとあっても良いよね。そういうのを集めた一冊があると、こういうお洒落な短編集とは違う味わいがるのではと、期待するのです。
小説自体もめっぽう面白いけど、この本は各編の扉の絵がまた良いのだなあ。タイトルに偽りはないです。騙されたと思って騙されましょう。
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「どんでん返し16連発!」との宣伝文句だが、逆にそう書かれていたため、作品によっては途中から話の先が見えてしまうのが残念。
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どんでん返し、と謳っている作者がスゴイ。本当にどんでん返しでしたが、中には先が読めてしまうものも。「パインクリークの未亡人」が一番好き。「釣り日和」みたいなのも好きでした。
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楽しめました。水準は高いのですがこの作者の作品といてはものたりません。作者の持ち味は短編ではないですね。彼が技を駆使するには長さが必要です。そして彼の作品は技を楽しむべきものです。
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世間の評判どおりに面白い作品!
「大どんでん返し」な作品が16篇並んでいます。
作品によっては、二転三転する結末もあり、思わずニヤリとしてしまいます(まあ、ミステリー好きな人には、簡単に先が読めてしまうであろう作品もありますが・・・)。
短篇ということで、空いた時間に気軽に読み始めてしまうと、いつの間にか抜け出せなくなる面白さです。
注意してください!
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1つ1つが短編で読みやすいし、ミステリとしてはよくできている作品ばかりだと思う。
ただ、私個人の好みとしては、やっぱり日本の作品の方が好きだなぁ…。
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ディーヴァーの短編集。
どんでん返し16連発というコピーに偽りはありません。
出来は五つ星レベルといってもいいです。
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クリスマス・プレゼント 文藝春秋 文春文庫 ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子 他訳 905円(税抜) ISBN416766187X 2005年12月10日初版短編集。
収録内容は、未亡人のマリッサが海で死んだ夫を偲びながら新たな恋愛に向かおうとしているところのように語る物語「ジョナサンがいない」、銀行強盗犯と人質の信頼関係「ウィークエンダー」、
セラピストと幽霊の声を聞く患者「サービス料として」、ストーカーに悩む元スーパーモデル「ビューティフル」、
夫の殺害を前科ある男に依頼する妻「身代わり」、おまわり二人と、強盗の目撃者のいじめられっこ「見解」、一人の女性を巡って対立する男。男だけで狩りにいく「三角関係」、父の敵に復讐。シェイクスピアをも巻き込む「この世はすべてひとつの舞台」、父とのトラウマなど、精神が疲弊した男がリラックスするために選んだ趣味は釣りと収集「釣り日和」、ストラディバリウスを盗んだ若い強盗と刑事の話「ノクターン」、「非包含犯罪」「宛名のないカード」「クリスマス・プレゼント」「超越した愛」「パインクリークの未亡人」「ひざまずく兵士」「非包含犯罪」の最初のほうまでしか読めてません。
「ビューティフル」「三角関係」「この世はすべてひとつの舞台」「釣り日和」が印象に残ってます。
大体どんでん返しは読めるけど普通に楽しめます。